冷却水が漏れている場合、どのような症状が出るのでしょうか?
この記事では、冷却水が漏れているかもしれないときの確認方法や応急処置、修理費用などについて説明します。
冷却水(クーラント)とは?
冷却水(クーラント)は、車の冷却装置の一部です。エンジンの内部を循環することで走行中のエンジンを冷やす役割を担っています。
冷却水が漏れると、エンジンは高温になりすぎて熱で変形して故障してしまいます。これをオーバーヒートと呼びますが、エンジンの交換が必要になるような重大な故障です。
冷却水は、エンジンルームのリザーバータンクの中に入っています。液体は赤や緑、ピンクや青などに着色されているのが特徴的です。
種類は、LLCとSLLCという2種類が存在しています。LLCは2~3年で交換が必要で、赤色や緑色をしています。最近は、7~10年ほど交換が不要なSLLC(ピンクや青色)が普及しています。
冷却水が漏れているとき、冷却装置のどこかで故障が生じていたり、ゴムやホースが劣化していたりすることが考えられます。冷却水が漏れると最悪の場合オーバーヒートを起こしてエンジンがダメになってしまうため、漏れている恐れがあるときはそのままにせず対処が必要です。
冷却水漏れの症状
冷却水が漏れてしまっているとき、どのような症状が現れるでしょうか。
冷却水の漏れを感知する
冷却水が漏れていることが明らかに分かる例です。
- 地面に赤や緑、ピンクや青などの着色された液体がこぼれた跡がある
- エチレングリコールの甘い匂いがする
冷却水の特徴から目や耳で異常を感じ、冷却水の漏れに気づくことが出来ます。異変が感知できるほど漏れてしまっている場合は、そのまま走行するとエンジンがオーバーヒートを起こす可能性が高いです。走行せずにロードサービスなどを利用したほうが良いでしょう。
オーバーヒートの症状が現れる
オーバーヒートの症状が現れます。初期症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 水温計がH付近になる
- いつもよりスピードが上がらない感覚がある
- エンジンの回転が安定しない
- アクセルを踏むと異音がする
このような症状は、エンジンが十分に冷却されずにオーバーヒートを起こしかけているような状態かもしれません。
気づかずに走行を続けると、水温計がHを超えて水温警告灯が赤色に点灯します。こうなると確実にオーバーヒートを起こしていると言えます。速やかに安全な場所に停止してエンジンを切りましょう。
あともう少し、と思って走行を続けると、焦げ臭いにおいや異音がして、エンジンルームからは煙が立ち上ります。エンジンは焼き付いて完全に止まってしまい、二度と使用することが出来なくなってしまいます。
オーバーヒートの兆候に気づいたら、速やかに走行をやめて安全な場所に停止しましょう。
エンジンは高温の状態なので、まずは冷やしましょう。水温計がHを振り切っていなければアイドリングのまま水温が下がるかどうかを確かめます。下がれば冷却系統が完全にはダウンしていないということです。冷却水をチェックして問題がなければ修理工場までの走行は可能かもしれません。
水温計がHを振り切っている、あるいは温度が下がらなければエンジンを完全に切ります。ボンネットを開けて風通しを良くすることも効果的ですが、高温の状態でボンネットを開けるのは危険が伴うため、無理はしないようにします。
エンジンが冷えるのを待ってから状況を確認しますが、自分で対処が難しい場合はロードサービスなどの専門業者に連絡をしましょう。
オーバーヒートの原因は冷却水漏れ以外にも、冷却装置の部品の故障などが考えられます。冷却水が不足しただけであれば、つぎ足して走行が可能です。しかし他の部分が故障していたり冷却水が漏れていたりする場合は、修理が必要です。
冷却水漏れの確認方法
冷却水漏れの症状が認められ、もしかして冷却水が漏れているかも?という場合、どのように確認したらよいのでしょうか。
注意点と確認方法について説明します。
走行直後の場合は火傷に要注意!!
走行中、エンジンは高温になります。走行中に異常を感じて停止した場合や、走行直後に感じた場合は、すぐに状況を確認することはやめましょう。高温になったエンジンルームは非常に危険で、冷却水の入っているリザーバータンクを開けようとすると、100℃近い液体が噴出してきて火傷する恐れもあります
安全のためにも、焦って状況を確認しようとせず、まずは水温計の温度が下がるまで待ちましょう。
冷却水の液量の確認方法
タンク内の冷却水の液量を確認してみましょう。極端に少ない、あるいは短期間で減っている場合は冷却水が漏れている可能性が高いです。
①まずは、水温計の温度が十分に下がったことを確認します。高温の場合はタンクのキャップを外すと100℃近い水蒸気や冷却水が噴出してきて火傷を負う危険性があります。また、冷却装置の仕組み上、温度によってタンクの液量が変化するためエンジンが冷えた状態での液量を確認します。
②エンジンルームを開けて、リザーバータンクを探します。半透明のポリタンクであり、中には青やピンク、赤や緑といった液体が入っているのが見えるはずです。容器はホースでラジエーターとつながっており、上部に「冷却水」や「COOLTANK」などと記載されていることもあります。
※エンジンルームには液体が入った半透明のポリタンクが複数あります。ウォッシャータンクなどと間違えないように注意しましょう。
③タンクの横には、目盛り線が2本付いています。FULLとLOWあるいは、MAXとMINなどと記載されていることが多いです。液面がこの線の間にあれば、液量は問題ありません。
少ない場合は補充が必要ですが、もしもどこかで冷却水が漏れている場合は補充してもまたすぐに減ってしまい根本的な解決にはならないでしょう。また、極端に少ない場合はどこかから漏れている可能性が高いです。
また、液量だけでなく冷却水の状態も合わせて確認しましょう。本来は透き通った鮮やかな色をしていますが、劣化すると茶色っぽく濁ってしまいます。劣化した冷却水は交換が必要です。また、白濁しているときはエンジンオイルの混入が考えられます。その場合は修理が必要です。
冷却水漏れの応急処置
冷却水が漏れている可能性があるが、修理工場まで持っていきたい、走行中に気づいたがどうしたらいいのか分からないなど、状況・程度別で冷却水漏れの応急処置について紹介します。
軽微な冷却水漏れの場合
カー用品店で購入できる水漏れ補修材やクーラント(冷却水)をつぎ足すことで、修理工場まで走行できるかもしれません。
水漏れ補修材は、冷却水に添加して使用します。クーラント漏れ止め、ラジエーター漏れ止め剤などとも呼ばれています。注入することで、ごく小さな穴を化学的に硬化することで漏れを止めることができます。ただし、冷却水の通り道にさびや水垢があると内部を詰まらせてしまう恐れもあります。
軽微な冷却水漏れであっても、車の心臓部分ともいえるエンジンを守る大切な冷却装置の異常です。応急処置だけで放置せずに必ず修理工場に点検・修理を依頼しましょう。
走行が難しい場合はロードサービスを呼ぶ
明らかに冷却水が漏れている場合は応急処置ではふさげない穴が開いている可能性が高いです。ロードサービスなどでレッカー車を呼び、修理工場まで運んでもらいましょう。
また、オーバーヒートは冷却水漏れ以外の原因でも起こります。冷却水に問題がなくても水温計がHを振り切った場合や、明らかな異常がみられて走行に不安がある場合もロードサービスを利用しましょう。
無理に走行すると、エンジンにさらなる深刻なダメージを与えてしまうかもしれません。
冷却水の代わりに水を使うのは最終手段
本当に切羽詰まった場合は、冷却水の代わりに水を入れても一旦は走行が可能です。しかし、水は0℃で凍って膨張することで部品を壊す恐れや、防さび効果がないため錆を発生させる恐れがあります。
修理工場でのちに修理を行うこと前提であれば水を入れて走行してもよいでしょう。あくまで、「オーバーヒートしてエンジンを交換するよりはまし」というくらいの認識です。
冷却水漏れの原因
冷却装置のどこかから冷却水が漏れているのでしょうか。起こりうる例をいくつか紹介します。
ラジエーター本体の故障
ラジエーターは、走行中に最も風が当たりやすい前方部分に取り付けられています。これは、ラジエーターが走行中の風を利用し冷却水を冷やしているからです。
車の前方にあるラジエーターでは、飛び石による損傷や縁石に乗り上げたことによる損傷が起こることがあります。損傷以外にも、ラジエーターの劣化によって冷却水が漏れてしまうひびがはいることもあります。これらの損傷や劣化によって冷却水の漏れが発生します。
また、ラジエーターキャップも内側にゴムが用いられており、経年劣化して冷却水が漏れる原因になることがあります。
ホースのゴムの劣化
冷却水が循環するための通り道であるラジエーターホース・ヒーターホースのゴムが劣化してひび割れ、ホースの接続部分から冷却水が漏れてしまうことがあります。
ウォーターポンプの故障
ウォーターポンプは冷却水を循環させるポンプです。ウォーターポンプの内部やエンジンとの接続部分では冷却水の漏れを防ぐ部品が用いられていますが、これらの部品が劣化してウォーターポンプが故障することで冷却水が漏れてしまうことがあります。
ガスケットの劣化
車のエンジンは燃料を燃やしてピストンの往復運動を生み出し、その力を回転運動の力に変換しています。往復運動が行われている円筒(シリンダー)は高い気密性が求められますが、それを実現しているのがガスケットという部品です。
シリンダーの部品同士の接合面にはガスケットという部品が設置されています。ガスケットはアルミニウム合金をゴムでコーティングした部品で、部品同士の隙間を埋めるパッキンのような役割を果たしています。このガスケットが劣化すると、隙間から冷却水が漏れ出てしまう恐れがあります。
冷却水漏れの修理費用
冷却装置のどこから冷却水が漏れているのかによって修理費用は異なります。考えられるのはラジエーター本体やウォーターポンプの故障、あるいはラジエーターホースやヒーターホースなどのゴムの劣化です。
それぞれの部品代と工賃を含めた修理費用の目安は以下の通りです。※車種によって異なるため、参考程度にご覧ください。
ラジエーター本体の故障 | 5~10万円 |
ホースのゴムの劣化 | 1~3万円 |
ウォーターポンプ故障 | 1~3万円 |
ガスケットの劣化 | 4~10万 |
ラジエーター、ウォーターポンプ、ゴム類の寿命はどれも10年が目安です。そのため、10年ほど乗った車では複数個所の故障や劣化が見つかって修理費用も高額になることもあります。その場合は、買い替えを検討してもよいかもしれません。
買い替えか修理か検討しよう
古い車は故障個所が増えたり税金が課税されたりするため、車検費用などの維持費も高くなっていきます。古い車は故障を機に買い替えを検討することもあるでしょう。
買い替えの時期は、今後のライフプランと車の維持費、修理費用と新車の購入費用などを総合的に考慮して決めることをおすすめします。また、故障した車は廃車買取に出すことで新車の購入費用の足しにすることもできます。
買い替えか修理か検討する際には廃車買取の査定も行ってみましょう。廃車買取業者は海外への輸出販路や車をパーツとして活用する方法があるため、ディーラーの下取りや中古車店の買取では査定額が付かない故障車も高く買い取ることが出来ます。
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