車を運転したいのに、ギア(シフトレバー)が動かないと困ってしまいます。けれどもトラブルには必ず何らかの原因があるものです。いざというときに慌てなくて済むように対処法を紹介します。
なお、ぶつけたり事故によりギアが動かない場合は、修理に高額な費用が必要になりますので、基本的には廃車買取に出す事になります。
その場合は、事故車や故障車の買取も可能なカーネクストに買取に出すようにしましょう。
車のギアが動かないとき、まずは小さな確認漏れをチェック
意外と初歩的な理由で車のギアが動かなくなるケースがあります。慌てているときほど気づきにくいものです。まずは以下の4点を確認しましょう。
エンジンはかかっている?
AT(オートマチック)車の場合は、エンジンがかかっていないとシフトレバーを動かせないようになっています。まずはエンジンをかけましょう。もちろんガソリンが切れている(ガス欠を起こしている)なら給油しなければいけません。
バッテリーは上がっていない?
AT車はバッテリーが上がっていてもシフトレバーを動かせません。そもそもエンジンもかかりませんからディーラーやガソリンスタンドで充電するか、正常な車のバッテリーとブースターケーブルでつないで起動しなければいけません。
なおMT(マニュアル)車は、バッテリーが上がっていてもギア操作はできますし、「押しがけ」といって人力で後ろから押しながらエンジンをかけることができます。
ハンドルロック(ステアリングロック)はかかっていない?
盗難防止のためにハンドルロックを搭載している車は、これを解除しないとエンジンがかからないようになっています。AT車の場合はシフトレバーも動かせません。車種にもよりますが、ハンドルを左右へ小刻みに動かしながらエンジンをかけると解除されます。
MT車の場合はこれに加えて、普段エンジンをかけるときと同じく、ギアを「N(ニュートラル)」に入れてクラッチペダルを踏む操作が必要です。
ペダルは踏んでいる?
AT車は停車時にシフトレバーが「P(パーキング)」に入っていると、ブレーキペダルを踏まないと動かせないようになっています。
一方、MT車もクラッチペダルを踏まないと動きませんし、無理すると車が壊れる原因にもなります。「N」に入れるときはギアを抜くだけなのでペダルを踏まなくても容易に動かせますが、やはり車を傷める可能性があるので避けたほうが無難です。
これらを試しても、まだシフトレバーが動かないようであれば、故障が原因の可能性が高いので、次に紹介する方法でチェックしてみましょう。
それでも車のギアが動かないとき、考えられる理由とは
先ほどペダルのところで触れたとおり、AT車はシフトレバーを「P」からそれ以外へ動かすときはブレーキペダルを踏む必要があります。
そうしないとアクセルを踏まなくても、クリープ現象で「D(ドライブ)」なら前へ、「R(リバース)」で後ろに進んでしまうからです。
そのため正しくブレーキが作動していないと、AT車のギアチェンジはできません。車を停止できないほどの重症でなくても、軽微な不具合でシフトレバーは動かなくなります。
例えばブレーキランプの故障です。ブレーキを踏むと「カチッ」と音がして後部のブレーキランプが点灯し、シフトレバーにブレーキが正常であるという信号が送られ、初めて動かせるようになります。
ブレーキを踏んでもシフトレバーが動かないときは、ブレーキランプの球がすべて切れていたり、ヒューズが飛んでいる可能性が考えられるでしょう。
ブレーキランプが点いていてヒューズも飛んでいない場合は、「ストップランプスイッチ」という部品が故障しているかもしれません。あるいはブレーキランプに至る回路のどこかで不具合が発生している可能性があります。
例えば「カプラー(コネクター)」や、配線を束ねた「ワイヤーハーネス」、アースなどです。
もう1つ考えられるのが「シフトロックソレノイド」の故障です。これはブレーキからの信号をキャッチしてシフトレバーのロックを解除する装置です。
他のブレーキ周りに不具合はないけど、この装置から「カチッ」という音が聞こえない場合は故障を疑ってみましょう。
なお、これらはすべてAT車特有の症状であり、エンジン始動時にクラッチペダルを踏んで操作するMT車には発生しません。ただし、クラッチ系統の不具合によって起こる大がかりな故障はあります。
AT車も同様にミッションが故障している可能性が考えられます。その原因や対処法については後で紹介します。
車のギアが動かないときの対処法について
先ほどのブレーキ周りの不具合に伴ってギアが動かない場合は、ある程度簡単な対処法で直せる可能性があります。
まず車内でブレーキを踏んで、家族や同乗者にブレーキランプが正しく点灯するか見てもらいましょう。ランプを交換しても点かない場合は、他の部分が故障しています。
次にブレーキランプのヒューズを確認します。ヒューズは運転席側のダッシュボード下部にある「ヒューズボックス」の中に格納されているはずです。
どれがブレーキランプのヒューズなのかはメーカーや車種によって異なるので、説明書で確認しましょう。もしヒューズが飛んでいると、内部で断線しており交換が必要です。
ヒューズにも問題がない場合は、「ストップランプスイッチ」が故障している可能性があります。これはブレーキを踏むとランプがON、離すとOFFになるスイッチで、場所はブレーキペダルの付け根周りです。交換するとシフトレバーが動くようになるかもしれません。
それでもダメならブレーキランプに至る回路の不具合となります。ここまで来ると原因を特定するだけでもフロアマットや内装を剥がす必要があるため、車に詳しくない人が手を出すと、かえって故障の範囲が広がる恐れがあります。
整備工場やディーラーに修理を依頼しましょう。シフトロックソレノイドの故障も同様です。
「シフトレバーが動かなければ、車を動かせないのではないか」と思うかもしれません。けれどもAT車はそのようなトラブルが発生したときに、シフトレバーのロックを解除するスイッチが備わっています。
スイッチの位置や形状はメーカーや車種によって異なりますが、簡単には押せないようになっているのは共通です。まずは車のキーを「ACC」に合わせ、マイナスドライバーでカバーを外したり、先の尖った細い棒でスイッチを押したりしなければいけません。
その上でシフトレバーを「N」に動かすと、ロックが解除されるはずです。車をレッカーして運ぶなら「N」のままにします。
ただしロックが解除されても正しくギアチェンジされないなど、運転中に何らかの不具合が起こる可能性があります。あくまでも緊急時の対処法なので、解除後は速やかに修理するのをおすすめします。
ギア(シフトレバー)の異音の対処法とは
先ほどは、AT車がブレーキランプ周りの故障によってシフトレバーが動かない場合があると説明しましたが、他の原因として「トランスミッション」の故障も考えられます。シフトレバーから異音がするのも症状の1つです。
本来、車の速さを変えるには適切なギアに変更して、エンジンの動力をタイヤに伝えます。MT車は一連の操作をクラッチペダルとシフトレバーの組み合わせで実現していました。
クラッチペダルを踏むことでエンジンとタイヤの連結が一時的に外れ、その間にギアを変更します。
けれどもMT車のギアチェンジはコツが必要で、苦手とする人も大勢います。そこでオイルを使って自動的にギアチェンジできるようにしたのがAT車です。
コンピューターが車の状況を読み取って、自動的に最適なギアを選んでくれるため、シフトレバーやクラッチペダルの操作が不要です。トランスミッション内にある「トルクコンバーター」がその役目を果たします。
トランスミッションに不具合があると、思うように加速できなかったり、燃費が悪くなったりします。シフトレバーの位置を変えたときに異音や衝撃があるのも、そのせいです。
主な原因としてはATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)という、トルクコンバーター内のオイルが漏れている可能性が考えられます。ATFが漏れていると焦げ臭いので、早めに気づくはずです。
またトランスミッション内のオイルが劣化すると、ギアの操作がスムーズに行われなくなります。そもそもトランスミッションが壊れているかもしれません。
オイルの劣化であれば簡単に交換できますが、ATFの漏れやトランスミッションが破損したときの対処法は大がかりな修理や交換作業になります。
一方、MT車でもクラッチ系統が摩耗・破損したり、オイルが劣化したりすることでシフトレバーの不具合が発生します。
AT車もMT車も頻繁にギアチェンジをしたり、エンジンブレーキを多用したりするとミッションが故障する原因になります。もちろん単なる寿命の場合もあります。
そもそも車のギアってどういう機能?
シフトレバーやトランスミッションが故障する原因の1つに、ギアを入れる場所を間違えるというのがあります。機能を理解して正しく入れるよう心がけましょう。
MT車の場合
1~5までの数値はギアを表しており、数値が大きくなるほどギアは小さくなり速度を上げられます。呼び方は1速、2速…です。
「R」はリバースという意味で専用のギアがあり、後ろに下がるときに合わせます。
表示はありませんが中央に合わせると「N(ニュートラル)」で、どのギアともつながっていない状態になります。
AT車の場合
「P」はパーキングで駐車するときのポジションです。駆動輪をロックする効果があり、坂道でも動きません。エンジンをかけるときも、ここに合わせます。
「R」はMT車と同じくリバースで、後ろに下がるときに合わせます。
「N」もMT車と同じくニュートラルで、どのギアともつながっていない状態です。車を牽引したり、後ろから押したりするなど、自力で動けず誰かに動かしてもらうときに合わせます。
「D」はドライブで車が前に進み、このポジションにある限り自動的にギアチェンジします。
「2」は2速の意味で、それ以上はギアチェンジしません。坂道を上るときなど、より大きな力を必要としたり、エンジンブレーキを効かせたかったりするときの対処法として合わせます。
「L」はローまたは1速という意味です。2速でも思うように動かない場合、さらに大きなギアへとチェンジします。
CVTのようにオイルでギアではなくベルトをコントロールして変速する車は、「2」や「L」の代わりに「S」や「B」というアルファベットがあります。
前者は「スポーツドライブ」、後者は「(エンジン)ブレーキ」という意味で、必要以上に変速しないという点では「2」や「L」と似ています。
ギアに関する故障の修理費用について
ここまでギアが動かないときの原因や対処法を紹介してきましたが、最後に費用がどれくらいかかるか見てみましょう。
ブレーキランプの球切れ | 交換 | 500円前後 |
ブレーキランプのヒューズが飛んだ | 交換 | 100~300円 |
ストップランプスイッチの故障 | 交換 | 1,000~3,000円+工賃 |
回路の不具合 | 交換・修理 | 5,000~10,000円+工賃 |
シフトロックソレノイドの故障 | 交換 | 10,000~20,000円+工賃 |
ATFの劣化 | 交換 | 1,500円前後+工賃 |
ATFの漏れ | 修理 | 50,000~100,000円+工賃 |
ミッションオイルの劣化 | 交換 | 2,000円前後+工賃 |
ATミッションの故障 | 交換・修理 | 200,000~800,000円+工賃 |
クラッチ系統の故障 | 交換・修理 | 20,000~40,000円+工賃 |
軽微な交換程度であれば数百円から数千円程度ですが、大がかりな修理になると数万円から数十万円です。工費も数万円単位で請求されるでしょう。あまりに年式が古い車だと修理するよりも廃車にしたほうがお得かもしれません。
まとめ
車のシフトレバーが動かないのは、AT車ならブレーキ周りに不具合があったり、トランスミッションに異常が発生していたりする可能性が考えられます。MT車でもクラッチ系統の摩耗や破損により、ギアが正常に切り替わっていないのかもしれません。
こうした不具合はランプやヒューズ、オイルを交換するくらいなら安いですが、大がかりな修理になると数万円以上の出費になります。
弊社カーネクストではシフトレバーやギアの故障で動かなくなった車でも廃車買取しております。走行不能時のレッカー代も無料です。修理か廃車で困ったときはぜひご相談ください。