車の運転中に点いた警告灯が分からず、調べてみたらエンジン警告灯だったという方も、多いのではないでしょうか。
エンジン警告灯の見た目の特徴は、点灯色がオレンジ色か黄色であり、形は左側と上部にT型のプロペラがついたヘリコプターに似ています。
自動車の取扱説明書などでは、故障警告灯と呼ばれることもあり、車に故障や不良があることをドライバーへ伝えるためのものです。
エンジン警告灯が点いたら、車にはどのような故障や不良があり、どんな警告の意味があるのでしょうか。こちらでは、エンジン警告灯について、エンジン警告灯の対処法を詳しく解説します。
エンジン警告灯はどんな警告灯?
車のハンドル付近にあるパネル内に、エンジン警告灯は表示されます。
普段から車に乗る機会が多い方は、車のエンジンをかけると同時に様々な警告灯が点滅する仕組みになっているので、点灯しているのを見たことがある方も多いでしょう。
エンジン警告灯の形や色について
警告灯にはいくつかの種類がありますが、左部と上部にプロペラがついたヘリコプターを横から見たような形のマークが、エンジン警告灯です。
実はヘリコプターではなく、エンジンそのものの形をしているのですが、車のエンジン自体を見たことがない方も多いと思いますので、パネル上でどこにあるのか探す時は、ヘリコプターのような形を探すか上記画像と同じようなマークを探してみてください。
点灯時は、エンジン警告灯はオレンジ色もしくは黄色に光ります。
エンジン警告灯が点灯している時の対応
エンジン警告灯は、エンジンに関する故障や不良があると点灯します。車種によっては、エンジンの故障や不良だけでなく、トランスミッションのトラブルにも点灯する場合があります。
エンジン警告灯はオレンジ色または黄色に点灯します。
他の警告灯が赤色に点灯するのに比べると、オレンジ色や黄色の警告灯は、緊急性は高くはないといわれていますが、エンジン周りに故障や不良があり、不具合がでていることを示していますので、できるだけ早く修理工場やディーラーなど適切な専門業者で点検や整備による確認をとることをおすすめします。点検と修理ができるところへ依頼をすると、点検時に故障が見つかった時もスムーズです。
またエンジン警告灯の点灯時は、エンジン周りに不具合があるということですので、あまりエンジンに負担を掛けないようにすることをおすすめします。
例えば、高速道路など一定以上の加速が必要な所や、長距離渋滞にはまって長時間低速で走り続ける必要がある場合などは、エンジンに負担がかかる可能性が高くなります。点検をして、不具合を確認するまでは出来るだけ走行を控えるとよいでしょう。
警告灯は緊急性や危険度により色が違う
車の警告灯はいくつか種類があり、エンジン警告灯はオレンジ色または黄色に点灯します。その他の警告灯も、その点灯する色によって危険度や緊急性の高さを知らせています。
また、このエンジン警告灯の緊急性による色分けは、国際標準化機構(ISO)の策定により世界共通となっています。
色 | 緊急性・必要な対応 |
---|---|
オレンジ色 黄色 | 何らかの不具合が起きているため、点検を行い適切な対応をとるようにという警告。すぐに車を停める必要があるわけではありませんが、早めに点検をしましょう。 |
赤色 | 車に重大な不具合が起きていて、走行を続けるのは危険という警告。速やかに安全地帯へ車を寄せて停車させ、ロードサービスやディーラーに連絡をとり、指示を仰ぎましょう。 |
青色 その他の色 | 異常を知らせるものではない。作動していることを知らせるものや、ライトの切り替えを行った時にドライバーに知らせるためのもの。 |
エンジン警告灯が点灯した原因とは
車のエンジン警告灯が点灯した原因はひとつだけではありません。
まず、エンジンのスイッチをONにすると、エンジン警告灯が一度点滅することがあります。これは正常にエンジンがかかっている証拠で、一時的に点灯しエンジンが始動すればすぐに消えてしまいますので、気にする必要はありません。
エンジンが始動した時以外で、エンジン警告灯が点灯した時は、エンジン周りの故障や不良で不具合がでているということです。具体的にどのような不具合があると、エンジン警告灯は点灯するのでしょうか。
こちらでは、エンジン警告灯が点灯する原因となる「エンジンの故障や不良」はどんなものか詳しく解説します。
O2センサー(酸素センサー)の故障
エンジン警告灯が点灯する原因と考えられる一つ目は、O2センサーの故障です。O2センサーとは、車の排気ガスの酸素濃度を測るものです。
O2センサーが故障していると、排気ガス内の酸素濃度が測れないため、車の燃費が悪くなり排ガスの臭いも強くなります。
エンジンの燃焼には酸素が必要ですが、その酸素濃度を正常に測れていないため燃費が悪くなって燃料費もかさみますし、余計な燃焼が起こることで排出ガス等の有害物質も増加させてしまうことになります。
また燃焼量が増えると、すすも増えるため、エンジン内部の汚れや他部分の故障にも繋がります。
O2センサーの故障の場合は、すぐに車が不動になるといったことはありませんが、さらなる故障に繋がったり、燃費などの費用で損をすることがありますので、早めの修理または交換を依頼すると良いでしょう。
エアフロセンサーの異常
エンジン警告灯が点灯する原因と考えられる二つ目は、エアフロセンサーの故障や不良です。エアフロセンサーとは、エンジンが吸入している空気量を測定するセンサーのことです。エアフロメーターとも言われます。
エンジンが燃焼するのに必要な酸素は、外気から吸入されます。その吸入している空気量をエアフロセンサーが測定し、適正な燃料を噴射して燃やす仕組みとなっているのです。
このエアフロセンサーが故障し吸入空気量が不明になった時や、通気口が詰まって吸入量が減少していると、エンジン警告灯が点灯することがあります。
ただ、このエアフロセンサーによりエンジン警告灯が反応することは稀なようです。
イグニッションコイルの異常
イグニッションコイルとは、エンジンを点火させるのに欠かせない部品です。イグニッションコイルは、車中に流れる電流を低圧電流から高圧電流に変えることができます。高圧電流はスパークプラグで火花を起こし、混合気に点火することでエンジンが燃焼します。
イグニッションコイルに不具合がでたり故障があると、正常に点火できずエンジンが不完全燃焼になることもあります。イグニッションコイルの不具合検知したイグニッションセンサ―によって、エンジン警告灯が反応し点灯している場合は、カーショップなどで点検を依頼するようにしましょう。
イグニッションコイルは消耗部品になります。使用状況にはよりますが、適切な時期に交換をしていないと、劣化により点火異常がでてしまうこともあるでしょう。
また、イグニッションセンサーによってエンジン警告灯が点灯している場合、点火タイミングのずれにセンサーが反応していることも多いと言われていますので、覚えておくようにしましょう。
バッテリーセンサーの異常
バッテリーセンサーの異常の場合にもエンジン警告灯が点灯します。このバッテリーセンサーとは、バッテリーの動作をチェックするセンサーの事です。
また、バッテリーセンサーの異常の場合だけではなく、バッテリー交換目安の時期(タイミング)に点灯するという場合もあります。バッテリー交換を行ってエンジン警告灯が消えた場合は、交換が必要なタイミングを知らせていたということです。
バッテリーの交換の目安は他にも、パワーステアリングが重くなっていたり、パワーウィンドウの動きが鈍い、ヘッドライトが暗く感じるなどもあります。いくつかあてはまるものがあり、警告灯が点いているのなら、一度バッテリー交換を検討してみても良いでしょう。
バッテリー交換は、カーショップなどで行う事もできますし、車に詳しい人であれば自分でバッテリー交換を行う人もいます。
出来るだけ安く交換したいと考えている人は、自分で交換を行うのが最も費用をかけない方法です。ただし、感電や、バッテリー液の液だれなど、安全に十分に注意しなくてはいけません。慎重にバッテリーの交換を行ってください。
カム角度・クランク角度センサーの異常
カム角度・クランク角度センサーの異常がでている場合も、エンジン警告灯が点灯することがあります。
カムシャフト・クランクシャフトの角度を測るセンサーが故障をしている、または本来のカムシャフト・クランクシャフトの角度とズレていることによってセンサーが反応し、センサーが異常を伝えていると警告灯が点灯します。
カム角センサーの故障や異常がでていると、エンジンのかかりが悪い、エンジンが始動できない、エンスト―ルが始動できないなどの状態になる場合があります。
エンジンがかかりづらく運行中にエンストが度々おこるなど、おかしいと感じたら、必ず整備工場などに行って点検を受けるようにしましょう。そのまま放置してしまうと、とても危険です。走行中に突然エンジンが停止してしまうと、自分自身もそうですし、他の人にも大きな迷惑をかけてしまい、事故を引き起こす原因となる可能性が高いので注意しましょう。
アクセルポジションセンサーの異常
アクセルポジションセンサーとは、簡単に言うとアクセルの踏み込みと加速を測るセンサーのことを指します。
このアクセルポジションセンサーに異常があると、エンジン始動時にセルモーターは回りますが、キーを離すとアイドリングせず、エンジンがかからないことがあります。また、エンジンはかかったとしても、エンジン警告灯が点灯することがあります。
このアクセルポジションセンサーに異常がある場合は、車載コンピュータ制御システムにアクセスする機械をもつディーラーや修理工場であれば、原因が究明しすくなっています。ディーラーなどに点検を依頼するようにしましょう。アクセルポジションセンサーやアクセルペダルの交換等も必要となります。ディーラーはもちろんですが、対応できるカーショップなら部品専門店で交換をしてもらう事も可能です。
その他の異常
エンジン警告灯が車の異常を知らせるために点灯する原因は、上記に挙げたものの他にもあります。
例えば、タコメーターや速度計などのセンサー、電気系統に異常がある場合にも点灯することがあります。さらには、給油キャップの汚れや不良がある時にもエンジン警告灯が点灯する可能性があります。
まず、エンジン警告灯が点灯している場合には、その原因を特定することが非常に大切になってきます。バッテリー交換など、比較的ご自身で対応できるものもありますが、個人でその原因を特定することが難しい場合の方が多いでしょう。
車載コンピュータ診断機械などがあれば、原因の特定もしやすくなっていますので、エンジン警告灯が点灯した時は、速やかに専門の業者やディーラーに点検を依頼して、異常があれば交換や修理をしてもらうことが重要なのです。
エンジン警告灯の点灯する原因を知っていると、対処方法もわかりますし、思い当たることもあるかもしれません。知っていれば、いざ点灯しても慌てずに対処できるのではないでしょうか。
エンジン警告灯が点灯した時の適切な対応方法
エンジン警告灯が点灯していると、焦ってしまう方がほとんどでしょう。まずはエンジン警告灯がなぜ点灯したのか、点灯する原因となり得ることを知っておいて、いざそうなった時も落ち着いて行動することが大切です。
こちらでは、運転中にエンジン警告灯が点灯した時の対応方法をご紹介します。
エンジン警告灯が点灯していると、焦ってしまう方がほとんどでしょう。まずはエンジン警告灯がなぜ点灯したのか、点灯する原因となり得ることを知っておいて、いざそうなった時も落ち着いて行動することが大切です。
こちらでは、運転中にエンジン警告灯が点灯した時の対応方法をご紹介します。
エンジン警告灯が点いたら無理して乗り続けない
運転中にエンジン警告灯が点灯し出した場合には、すぐに車をとめて何か対処をしなければならないというわけではありません。余裕を持って安全な場所にとめてからでも問題ありません。ただし、高速道路など、エンジンに負担のかかる走行をしなければいけない状況などで使用することはお勧めできません。黄色のエンジン警告灯は赤色の警告灯ほど緊急性はないと言われていますが、車に何かしらの故障が生じている可能性は否めないのです。警告灯を無視して使用を続けることは、絶対にやめましょう。
まず、エンジン警告灯が点灯した場合は、出来るだけ走行を控えるようにしましょう。警告灯がついた原因は、前項のいずれかの可能性が高くなりますが、あまり車に詳しくないという人が判断するのは良くありません。早めにディーラーや整備工場に相談し、点検してもらうようにしましょう。点検後内容次第で、必要に応じて修理や交換などを行なってもらうことをおすすめします。
エンジン警告灯が点いたら故障修理は費用と要相談
ディーラーや整備工場で点検を受けて、エンジン周辺の故障と判断されると、修理見積もりをとってみたら費用がかなり高額になったということもあるかもしれません。年式が古い車や多走行車になると、エンジンの点検修理で見積もりを依頼すると別のところにも修理や交換が必要な個所があったということも少なくありません。修理するよりも故障車の買取を行っている買取業者に売却し、次の車の購入資金にあてたほうが結果的にお得になる事も多いのです。
エンジン警告灯が点灯した時、その車の年式が10年以上経過していたり走行距離が8万キロを超えている場合は、中古車市場での市場価値よりも修理費用が上回っていることも多くなっています。同条件の車であれば修理して乗り続けるか、修理せず売却するか、一度検討してみても良いでしょう。
エンジン警告灯が点灯した状態では車検を受けれない
通達
異常等が生じている自動車については修理後に審査することを明確にするため、審査時における車輌状態として、以下に該当しない受検車両については平成29(2017)年2月1日以降を審査を行わず、確実に修理した後に検査コースに持ち込みをするように
自動車技術総合機構から上記の通達がありました。この審査時における車両状態とは、次に掲げる全ての要件を満たすものをいいます。
要件
原動機(エンジン)の作動中において、運転席に着席した状態で、容易に識別できる位置に備えるテルテール(前方のエアバッグ・側方のエアバッグ・ブレーキ・ABS・原動機(エンジン))の識別表示が、継続して点灯又は点滅していない状態であること。
平成29年2月1日以降、上記のように決定されたため、車のエンジン警告灯が点灯していると、自動車の継続車検の審査を受けること自体が出来なくなりました。
もしも、黄色い警告灯表示だからといって緊急性がないと修理せず放置してしまっていると、車検を通すことが出来ません。車に乗り続けるには、点検を行い警告灯表示が出なくなるように修理する必要があります。
※テルテールとは、自動表示器、点灯することによって運転者に警告する装置のこと。作動または停止、適正又は異常な作動や状態、作動不能を表す光信号のこと
エンジン警告灯が点灯した時のよくあるご質問
エンジン警告灯が点灯した時に関して、よくいただくご質問にお答えします!
Q.エンジン警告灯が点灯しているかどうかはどこで確認できる?
A.車にはエンジン警告灯やオイルランプ(油圧警告灯)など、車の制御系に異常がある時に点灯し、車の異常を伝えるための警告灯がついています。警告灯の位置は、基本的にはメーターパネルの中に表示されています。エンジンを始動すると、警告灯の表示に問題ないかの確認のため、一度点灯しすぐに消灯しますので、その際に警告灯の位置を確認しておくと良いでしょう。
Q.エンジン警告灯が点灯する原因に考えられることは?
A.エンジン警告灯が点灯する原因は、エンジン本体の異常やエンジン制御システムに関わるパーツの異常があった時です。エンジン警告灯の点灯する原因として、以下の6つが挙げられます。
部品・機構名 | 機能・作動内容 |
---|---|
O2センサー | 排ガス内の酸素量を測り、燃料の噴射量に対して酸素が適切なのかを判断し調整するために必要なセンサー |
エアフロセンサー | エンジンに吸入される空気量を測定しています。エアフローセンサーに異常があり、不具合が出た場合は、アイドル回転数が低くなったり減速時にエンストしそうになることがあります |
イグニッションコイル | イグニッションセンサーは、エンジン点火制御に使われるセンサーで、イグニッションセンサーに異常がある場合エンジン点火に乱れが出ることがあります |
バッテリーセンサー | 自動車の鉛バッテリーの電流や内部抵抗を検出し、バッテリーの劣化判定をしています |
カム角度センサー クランク角度センサー | エンジンの回転制御に必要なセンサーのため、不具合が出るとエンジンの始動不良になったり、エンストすることがあります |
アクセルポジションセンサー | アクセルポジションセンサーに異常が出ている場合は、吸入空気のバルブが開かなくなっていることがあり、空気が入らずエンジンがかからなくなってしまう可能性があります |
Q.エンジン警告灯が運転中に点灯してしまった時の対応方法は?
A.エンジン警告灯が運転中に点灯してしまったら、どのように対応すればよいのでしょうか。エンジン警告灯は、オレンジ色または黄色の点灯色です。オレンジ色や黄色の警告灯は、速やかな車の点検が必要といった意味があります。即座に停車しなくてはいけない、赤色の警告灯の緊急性とは異なります。
しかし、オレンジ色または黄色の警告灯だからと放置して車を使用していると、走行中にエンジンストールを起こしてしまったり、エンジン始動が出来なくなることもあります。慌てず、まずは安全なところで車を停車し、ディーラーや整備工場に相談をして速やかに点検してもらうようにしましょう。
まとめ
エンジン警告灯が点灯した場合、車のエンジンに関して故障や不良などの異常が発生している可能性が高いです。エンジン警告灯が点灯する原因は複数ありますが、個人で原因を判断するのは難しくなっていますので、出来るだけ早く、整備工場などで点検や修理を行うようにしましょう。ただし、エンジン周りの故障や不良の場合、部品代や修理費用で高額な料金がかかる場合があります。エンジン警告灯が点いた車の状態が古かったり過走行車だった場合は、修理をせず乗り換えるというのも選択肢のひとつです。
また、エンジン警告灯が点灯した場合には、エンジンへの負担を掛けないように走行はできるだけ控えて、早めに点検することを心がけましょう。