ヘッドライトのせいで車検に通らないときの対策は?

トラブル・修理

2015年(平成27年)9月1日からヘッドライトの検査基準が変わり、車検に通らない車が続出しています。自らヘッドライトのバルブを交換して、ユーザー車検を受ける車に多いようです。どのように対策すればいいのでしょうか。

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検査基準の変更で不合格になる車が続出

まずは検査基準の変更点と、どのような車が不合格になりやすいか紹介します。

どこが変更になったの?

かつてヘッドライトの検査はハイビーム(走行用前照灯)で行われていましたが、2015年9月1日からロービーム(すれ違い前照灯)で検査するようになりました。これは1998年(平成10年)9月1日以降に製造された車のヘッドライトが、ロービームを基準に設計されていることによるものです。

当初は同時に車検でもロービームを検査基準にする予定でしたが、検査できる機器が行き渡っていなかったのと、新しい基準の車が少なかったことで見送られていました。近年、新しい基準の車が9割に達し、ようやく車検でも検査基準を変更したというわけです。

ハイビームを検査基準にしていたときは、最も明るいところが1mと10mの距離で大きく違わず、規定の明るさ以上であれば合格できました。

ところがロービームでは、カットオフライン上にある「エルボー点」の位置が厳密に定められており、明るさを測定する位置も決まっています。それまでハイビームで調整していた車は、これらの位置が不十分で不合格になっていました。

ハイビームと違って、ロービームは対向車が眩しくならないように、光の上部がカットされています。その境界線がカットオフラインです。さらに左側通行で歩行者を照らせるよう、エルボー点から左上がりになっています。

ただし1998年8月31日までに製造された車は、ヘッドライトがハイビームを基準に設計されているため、検査も従来どおりハイビームのままです。

他にも2006年(平成18年)1月1日以降の登録車は、ヘッドライトの色が白でないと合格できないようになりました。それ以前の車であれば白に加えて黄色でも合格できます。

こんな車が不合格に

検査基準の変更によって、不合格になりやすいのは、自分でヘッドライトのバルブを交換したドライバーです。ヘッドライトはバルブが発する光をリフレクターが反射したり、プロジェクターが拡大したりすることで、あの明るさを実現しています。

けれども元となるバルブの光が弱かったり、形状によってうまく反射や拡大できなかったりすると、十分な明るさになりません。その結果、カットオフラインもぼやけてしまいます。その状態で暗い中を運転するのは危険なため、純正のバルブに戻したほうが良いでしょう。

また右側通行の仕様で輸入された車は、カットオフラインが右上がりになっており、そのままでは合格できません。かつてヘッドライトの規格が世界共通だったころは、日本の規格に合ったものに交換すれば対応できました。けれども、近年はヘッドライトのデザインが多様化したため、車種によっては対応できないかもしれません。

他にもヘッドライトカバーの曇りや黄ばみによって、明るさが足りなくなるケースもあります。特にポリカーボネート製のカバーは紫外線の影響で曇ったり黄ばんだりしがちです。カーショップで磨いてくれますし、DIY用のキットも販売されています。ただ磨くだけでなく、最後にコーティングするのが効果を長持ちさせるポイントです。

※車自体が古くなっている場合は、廃車買取に出して新車に乗り換える方法も一つの手段でございます。

車検に通るヘッドライトその1

続いて、どのようなヘッドライトが車検に合格するのか、光軸と光量の基準を見てみましょう。

光軸が正常な位置にある

「光軸」とは光が照らす方向のことで、ロービームの場合は対向車が眩しくないよう、中央より下に照らすのが基本です。先述のとおり、光の上部にあるカットオフラインは左上がりになっており、その起点が「エルボー点」と呼ばれています。

車検では前方10mを照らしたときのエルボー点がどこにあるか確認します。ロービームの中心が地面から1m以下の高さにある場合、上下は中心を通る水平線より2cm下から15cm下(1m以上の高さにある場合は7cm下から20cm下)、左右はそれぞれ27cmの枠内にエルボー点があれば合格です。

光軸はバルブの交換だけでなく、事故などで外部から強い衝撃を受けてもずれます。また、サスペンションのへたりやタイヤの摩耗も影響するので、車検前には確認しておきたいところです。ヘッドライトには光軸を調整するネジがあり、場所によっては長軸のドライバーが必要になる場合もあります。

十分な光量がある

車検では「光度測定点」と呼ばれる箇所で明るさを測定します。位置はロービームの中心が地面から1m以下の高さにある場合、中心から下に11cm(1m以上の高さにある場合は16cm)左に23cmのところです。

もしカットオフラインがはっきりと見えない場合は、最も明るいところがロービームの中心を通る水平線より下、垂直線より左になければいけません。

明るさはいずれも1灯につき6,400cd(カンデラ)以上です。ヘッドライトにおいては「ルーメン」と混同されがちですが、こちらは光の総量(光束)を表す単位であり、カンデラとは異なります。

どんなにバルブが明るくても反射や拡大が不十分であれば、検査基準に達しません。社外バルブに交換するときは「車検対応」と書かれているものを選ぶと安心です。

車検に通るヘッドライトその2

車検ではヘッドライトの色も厳しくチェックされます。また、プロに調整してもらう方法についても確認しておきましょう。

色が検査員の目で白く見える

ヘッドライトに限らず、電球や蛍光灯、モニタなど光の色は「ケルビン」という単位で表されます。数値が低いほど黄色が、逆に高いほど青みが強くなり、ヘッドライトが白く見えるのは3,000~7,000ケルビンが目安です。

けれども車検では機器でなく目視で測定されるため、検査員によって評価が分かれます。ケルビンが白く見える数値の範囲でも、検査員が白く見えないようであれば不合格です。

特に最近人気のHIDバルブは高いケルビンのものが普通に市販されており、実際に数値が上限に近くなるほど青みがかって見えるバルブもあります。ファッション性はありますが、かえって視認性が落ちるため実用的ではありません。そう考えると、3,500~6,000ケルビンの範囲で選ぶのが無難といえます。

プロが調整やチェックをしている

ユーザー車検を受けるためにヘッドライトを調整するのは、意外と難しいものです。光量と色はバルブの交換などで対策できますが、光軸の調整は何かと手間がかかります。せっかく調整しても、検査場まで移動する間にずれることもあります。

せめてヘッドライトの調整だけでも整備工場で依頼すれば、1,000~5,000円くらいで対応してくれます。また検査場の近くには「テスター」と呼ばれる予備検査場があり、本番と同じように測定できるのが魅力です。基本的には業者向けのサービスですが、一般のドライバーが利用できるテスターもあります。光軸の調整だけなら料金は2,000円前後です。

安上がりに済ませられるのがユーザー車検の魅力ですが、いずれも自分で調整したのに合格できなかったときに、頼ってみると良いでしょう。

まとめ

ヘッドライトの検査基準は、従来のハイビームからロービームに変更されました。これにより、エルボー点や光度測定点の位置が厳密になって、合格できない車が続出しているようです。ディーラーや整備工場におまかせすれば何の問題もありませんが、ユーザー車検なら光軸などを自分で調整する必要があります。

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