車のメーターにあるヨットのようなマークは水温警告灯と呼ばれるものです。エンジンを冷やすための冷却水が熱くなりすぎて異常がみられる時は赤色に、逆に温度が低すぎるときは青色に光ります。赤色に光ったときは、速やかに安全な場所に停止しなければなりません。
今回は、水温警告灯が光ったときの対処法について説明していきます。
ヨットみたいなマークは水温警告灯
車のインパネには、様々なメーターや警告灯、表示灯があります。ヨットのようなマークは、エンジンを冷やす冷却水の温度が高すぎるときは警告灯として赤色に光り、低すぎるときは表示灯として青や緑色に光ります。赤色に光るときは水温警告灯と呼ばれます。
水温警告灯が赤色に光るときは、エンジンが高温になりすぎて焼き付くオーバーヒートが起こりそうな状態、あるいは起こっている状態です。走行を続けるのは危険なので、もしも点灯あるいは点滅したら安全な場所に速やかに停止してエンジンを冷やしましょう。
水温警告灯は、水と温度計を示すピクトグラムですが、波のような水の表記の上にまっすぐ温度計がたっているような形をしています。車の警告灯や表示灯はメーカーや車種によって多少の違いはありますが、赤色=高温、青色=低温であることと、赤色=警告灯であり、走行を中止するべき異常が起こっているということは、国際的に決まっています。
メーカーや車種による違いとしては、赤色に点灯する前に点滅するパターンや、青色ではなく緑色に光るというパターンがあります。また、赤色の時はH、青色や緑色のときはCという記号とともに表示されることもあります。これは、高温(Hot)と低温(Cool)を示している記号です。水温計のメーターにHとCの表記があることも多いです。
水温警告灯(赤)が点灯したときの対処法
水温警告灯が赤色に光る場合は、エンジンを冷やす冷却水が高温になり、すでに異常がみられているという危険な状況です。そのため、速やかに走行を中止して安全な場所に停止します。赤色に点滅しているときも、点灯の前触れのため同様に走行を中止します。
そのまま走行を続けたらオーバーヒートになってしまい、エンジンが焼き付いて故障してしまいます。オーバーヒートを起こしたら、エンジンを丸ごと交換するか車ごと廃車にしなければならなくなります。何より、オーバーヒートを起こしたエンジンは走行できなくなってしまうため、走行中にオーバーヒートを起こすことは事故に繋がる危険性があります。
安全な場所に停止したら、エンジンを冷やします。エンジンルームの温度を速やかに下げることで、エンジンへのダメージを軽減させることが出来ます。
エンジンを効率的に冷やすには、エンジンを切ってボンネットを開けてエンジンルームの風通しをよくするとよいでしょう。
ただし、高温になってしまっている車のボンネットを開けるときは火傷の危険が伴うため、避けたほうが良いでしょう。ボンネットを開くレバーだけ車内から操作することで、高温のボンネットに触らずに隙間を開けて風を通すことが出来ます。その状態で、温度が下がるまで待ちましょう。
ボンネットが冷えたら、エンジンルームの冷却水の液量を確認してみましょう。水温警告灯のが灯った原因が単なる冷却水不足であれば、冷却水をつぎ足すことで問題なく走行が可能です。ただし、冷却水はカー用品店などで売られている特別な液体のため、ない場合はロードサービスに連絡して車を運んでもらいましょう。
しかし、冷却水が漏れていたり冷却系統の部品が故障している場合は修理が必要です。JAFなどのロードサービスに連絡して、レッカー車で車を整備業者のところまで運んでもらいましょう。
高温がエンジンにダメージを与える理由
走行中のエンジンの内部では燃料が燃えています。そのため、エンジンは放っておくとどんどん高温になってしまうのです。それを防ぐために冷却水でエンジンを冷やしています。走行中の冷却水の温度は90~110℃くらいだと言われていますが、この温度を超えてしまうと、エンジンを十分に冷やすことが出来なくなってしまいます。
冷却水が110℃を超えるような高温の状態で、エンジンはどのようにダメージを受けるのでしょうか。
エンジンはいくつかの種類の金属の部品によって構成されていますが、金属は熱によって膨張します。金属の膨張の身近な例は、キッチンのステンレスのシンクに熱湯を流すと、シンクがぼこっと音を立てることです。ステンレスのシンクは100℃近くで音を立てるくらい膨張しますが、どれくらいの温度でどれくらい膨張するのかは、金属の種類によって異なります。
このことが、エンジンが高温によってダメージを受ける原因になります。エンジンが高温になりすぎると、同じ温度でも異なる種類の金属がそれぞれ別の大きさに膨張します。そこで、部品同士に隙間が生まれてしまいエンジンが変形してしまうのです。一度高温によって変形してしまうと、たとえ冷えて熱膨張が収まってもエンジンに影響が残ってしまいます。
水温警告灯(赤)が点灯したときの原因
水温警告灯は冷却水の温度が高いことを示しています。そのため、エンジンを冷やす役割の冷却系統に異常が起こっていると考えられます。
よくある原因は、「冷却水漏れや冷却水不足」です。
冷却水はエンジンルームの中の半透明のポリタンクに入っている色のついた液体ですが、エンジンが冷えている状態で液量を確認して、2本の基準線の間に液面があれば問題ありません。基準線よりも少ないとエンジンルームを冷やすことが出来ていないのでつぎ足すことが必要があります。冷却水自体はカー用品店などで買ってつぎ足すだけなので費用も手間もそこまでかかりません。
しかし、冷却水が漏れていることで少なくなっている場合は、つぎ足しても根本の解決にはなりません。
冷却系統は、ウォーターポンプによって押し出された冷却水がエンジン内部の水路を循環することでエンジンルームを冷やしています。エンジンから熱を奪った冷却水は一度熱くなってしまうので、車の前部にあるラジエーターという部品で、車が走行中に受ける風を利用して冷やされます。
冷却水の漏れは、冷却水の通り道の部品のゴムが劣化していることや、ラジエーターが損傷してしまっていることなどが原因として考えられます。ラジエーターは車の前部の下の方にあるため、飛び石などで損傷しやすい部品です。
また、冷却水自体には問題がなくても、それを循環させるウォーターポンプや、冷やすラジエーターが故障している場合や、冷却水がどこかで詰まってしまっている場合も、正常にエンジンを冷やすことが出来ないためオーバーヒートを起こしてしまいます。
青または緑に光るときは
冷却水が熱くなりすぎるとエンジンにとって大きな問題がありますが、逆に冷えすぎている状態もエンジンにとってはよくありません。冬のエンジン始動直後などは冷却水の温度が低く、その場合は水温表示灯は青色や緑色に光ります。エンジンを始動してしばらくたつと温度が上昇してくるため、多くの場合は放っておいてもじきに消えます。しかし、ずっと水温表示灯が消えない場合は、車を検査に出しましょう。