ガソリン車のバッテリーは、2~3年を目安に交換するものです。それでは電気の力でも走れるハイブリッド車は、いつ頃バッテリーを交換するのでしょうか。世界初のハイブリッド車であり、20年以上経った今でも根強い人気があるプリウスを例えに紹介します。
プリウスのバッテリー交換時期っていつ?
プリウスには2つのバッテリーが搭載されており、それぞれ役割も交換時期も異なります。1つは駆動用のメインバッテリーで、もう1つは補機用のバッテリーです。
駆動用バッテリー
プリウスの駆動用バッテリーは車を走らせるためのもので、一般的な鉛蓄電池ではなく、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池を採用しています。どちらも高電圧で大容量でありながら、小型化できるのがメリットです。一般的なバッテリーはDC12Vですが、プリウスの駆動用バッテリーはDC207V(4代目)にもなります。
コンピューターで制御されていることもあり、プリウスの駆動用バッテリーは長寿命です。トヨタでは新車から5年間、走行距離10万kmまでに寿命を迎えた場合は、無償で交換しています。これは自信の表れともいえるでしょう。
実際は15~20万kmが寿命の目安です。2003年に販売された2代目や2009年の3代目の中には、10万km以上走行しても駆動用バッテリーを交換していないプリウスがたくさんあります。
場所は後部座席の下あたりにあります。
補機バッテリー
一方、プリウスの補機バッテリーは、ガソリン車のバッテリーと同じく、ヘッドライトやカーナビなどの電装品を動かす役割があります。一般的なバッテリーと同じくDC12Vの鉛蓄電池で、寿命は4~5年とやや長めです。
そしてもう1つ、補機バッテリーにはハイブリッドシステムを起動させるという重要な役割があります。そのため、補機バッテリーが上がってしまうと、駆動用バッテリーが充電されていてもプリウスは動きません。
運転中は、駆動用バッテリーから補機バッテリーへと充電され、駆動用バッテリーが切れそうになったら、ガソリンエンジンが作動して発電します。ガス欠にならない限り、運転中にバッテリーが上がることはありません。
バッテリー上がりをするのは、駐車時に半ドアで室内灯が点けっ放しになったり、ACCの状態でカーナビなどの電装品を使い続けたりした場合です。そこはガソリン車と変わりません。
3代目まではトランクルームに補機バッテリーが搭載されており、エンジンルーム内にはバッテリーが上がったときの救援端子が用意されていました。4代目からはインバーターの小型化によりエンジンルームへ移動しています。そのため、赤色のブースターケーブルも補機バッテリーのプラス端子と接続します。
プリウスのバッテリー交換時期の前兆
プリウスのバッテリーが交換時期になると、どのような前兆が現れるのか、エンジンとそれ以外に分けて説明します。
エンジンの症状
駆動用バッテリーの交換時期が近づくと、充電や放電がうまくいかなくなり、燃費が悪くなる可能性があります。けれども、実際は明らかな症状が出る前にハイブリッドシステムが寿命を察知して、点検するようメッセージで促すようです。そのまま走り続けるとハイブリッドシステムが立ち上がらなくなるので、早めに交換したほうが良いでしょう。
一方、補機バッテリーの交換時期が近づくと、「充電不足」というメッセージが表示されるようになります。ただし、それより早く「READY」というインジケーターが点灯しなかったり、ハイブリッドシステムが立ち上がらなかったりする不具合が出るようです。救援や充電で回復しても、すぐにバッテリーが上がる場合は、同じく交換したほうが良いでしょう。
エンジン以外の症状
エンジン以外では、一般的なガソリン車と同じで、電装品に不具合が出ます。例えばヘッドライトの明るさが不安定になったり、自動ドアロックやサイドミラーの動きが鈍くなったりするなどです。パワーウインドウの動きも遅くなるでしょう。バッテリー液を補充しても減りが早く、本来は透明なのが濁ってくる現象も見られます。
プリウスのバッテリー交換時期が来た時の費用
バッテリーの交換には、新しいバッテリー代と取り付け工賃がかかります。費用によっては乗り換えも視野に入ってきますが、プリウスの場合はどれくらいかかるのでしょうか。
費用は高め
駆動用バッテリーの本体価格は税抜で13万円くらいします。これに工賃が数万円ほどかかって、トータルすると17~18万円くらいです。プリウス専用のバッテリーであるため、他で代用することはできません。
高く思えるかもしれませんが、違うメーカーのハイブリッド車は40万円ほどかかるといわれています。それと比べれば、まだ安いほうなのかもしれません。
一方、補機バッテリーは本体価格が税抜で3~5万円と、ガソリン車のバッテリーより割高です。さらに工賃が数千円ほどかかります。
同じ鉛蓄電池ですが、3代目まではトランクルームにあったため、充電時に発生する水素ガスを、ホースを通して車外に排出できるVRLA(制御弁式)のバッテリーでなければいけませんでした。4代目からはエンジンルームに移っていますが、それでも欧州統一規格のバッテリーに交換するよう指定されています。
自分で行うと安い
先述のとおり、駆動用バッテリーを交換するには、プリウスの専用品が必要です。さらに高電圧が流れているので、迂闊にさわると感電の恐れがあります。配線も複雑です。新しいものを取り付けたらシステムを更新しなければいけません。
交換できる整備工場もありますが、リビルド品を使っても、工賃を含めて2~3万円安くなる程度です。いずれにせよ古いバッテリーはトヨタで回収するので、最初からディーラーで交換したほうが無難でしょう。
一方、補機バッテリーは純正でなくても対応品が販売されており、脱着するのは工具があれば、それほど難しくはありません。
まずは装着されている補機バッテリーからマイナス端子の接続を外し、次にプラス端子の接続を外します。新しいものに交換したら、今度は逆にプラス端子から接続して、マイナス端子を接続すれば完了です。自分で交換できれば工賃料はタダです。
ただし、バッテリーの端子を外すと、コンピューターの記憶が消去されたり、スマートエントリーでの解錠ができなくなったり、トランクを開けられなくなったりします。ナビによってはロックされて、解除にパスワードが必要になるかもしれません。そうなるとディーラー以外は手に負えないため、やはり最初から頼んだほうが無難です。
ディーラーによっては、インターネットで安く購入したものを持ち込めば、取り付けてくれるところもあります。
プリウスのバッテリーについてよくあるご質問
プリウスのバッテリーに関して、よくいただくご質問にお答えします!
Q.プリウスのバッテリーに寿命はある?
A.プリウスはハイブリッド車のため2つのバッテリーが搭載されています。車を走らせるための駆動用バッテリーと電装品などの電力を供給したり、システムを動かすための補機バッテリーです。駆動用バッテリーは鉛蓄電池ではなく、リチウムイオン電池やニッケル水素電池で高電圧で大容量バッテリーとなっています。交換時期も15万~20万kmと言われているため、走行距離が10万kmを超えている車でも、交換したことがない車もあります。補機バッテリーは鉛蓄電池ではあるものの、寿命が4年~5年と一般的なガソリン車のバッテリーに比べると長くなっています。
Q.プリウスのバッテリー交換時期の目安になるのは?
A.プリウスのバッテリーの寿命は前述したとおり一般的なバッテリーに比べると長いです。ただし、寿命はあるため、交換や点検が必要となった時はメッセージが表示されるようになります。特に目安となるのはエンジンの症状で、充電や放電がうまくいかなくなるため、燃費が悪くなったり、ハイブリッドシステムが立ち上がらなくなってしまいます。また、補機用バッテリーが交換時期になると、電装品に不具合が出るため、一般的なガソリン車と同じように、ライトが弱くなったり、パワーウィンドウが遅くなるなどの症状が出ます。
Q.プリウスのバッテリー交換の費用はいくら?
A.プリウスの駆動用バッテリーは高電圧で大容量なこともあり本体価格自体が高額になります。本体価格にさらに交換の工賃がプラスになるため、17~18万円程度かかる可能性があります。補機用バッテリーは本体価格が3万~5万円となり、工賃が数千円かかるため、ガソリン車のバッテリーに比べると高い印象です。
まとめ
プリウスは2つのバッテリーを搭載しているのが、ガソリン車との大きな違いです。補機用のバッテリーは、ガソリン車のバッテリーに似ており、4~5年くらいの寿命があります。ただし、取り外すとコンピューターやナビの初期設定、パスワードの入力などが必要になるので、自分で交換するのはおすすめできません。
駆動用のバッテリーは15~20年の長寿命です。10数万円という費用を考えると年式や走行距離によっては、交換せずに手放したほうが良いかもしれません。バッテリーだけでなく、ハイブリッドシステムやエンジン周りも劣化している恐れがあります。
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