2020年、2021年度は感染症拡大防止と経済活動の両立を図るため、テレワークを企業へ推奨する動きが活発になりました。国や自治体も人流の抑制や出勤抑制の方策としてテレワークを推奨しており、テレワーク導入企業への支援事業や取り組みが随時行われています。
ただ、テレワークをいざ実施しようとしても、家庭の事情や自宅環境によって難しいという人も少なくありません。例えば、小さなお子様がいるご家庭で様子が気になって仕事が手につかない場合や、夫婦どちらもテレワークとなり、ワークスペースの確保が難しいといったこともあるでしょう。このようにテレワークを始めたいが今の環境では難しく、パーソナルな空間で静かに作業したいという方へおすすめの方法が、「車内テレワーク」による新たなクルマの活用方法です。
こちらでは車内テレワークをするための方法や、車内テレワークにおすすめの車種やグッズ、車内テレワークの注意点などについて、くわしく解説します。
車内でテレワークするための準備
ネットカフェやノマドスペースなど社外や自宅外で作業するのであれば、その場所で用意されている電源を使用して仕事することが可能です。ただし車内テレワークとなると、電源の確保をまずしなくてはいけません。
電気自動車やハイブリッド車などは、ACコンセントが備えつけられている車も多くなっていますが、ガソリン車の場合ACコンセントは基本的にありません。ガソリン車に備え付けられていて電源確保できるといえば、シガーソケットまたはアクセサリーソケットと呼ばれるフロントパネル下あたりにあるソケットです。もともとはシガーソケットといってタバコに火をつけるためのソケットとして使用されていましたが、現在は喫煙者の減少もありアクセサリーソケットとして携帯電話やスマートフォンの充電に多く利用されています。しかしシガーソケットからの電源確保は可能なものの、供給される電力は車のバッテリーの電流と同じDC12Vとなるためモバイルパソコンなどの規格とは異なり、使用することが出来ません。そのためシガーソケットから電源をとり使用するのであれば、規格を切り替えるインバーターが必要となります。
また、ガソリン車のシガーソケットからの電源をとると、車のバッテリーから取っていることになるため、走行せずに長時間使用するとなるとバッテリー上がりになる可能性が高くなります。電力を必要とするモバイルPCやWi-Fi機器等を長時間使用するための電源を確保するなら、大容量モバイルバッテリーやポータブル電源などがあると、車への負担を抑えることが出来るでしょう。
車内テレワークスペースを作る
モバイルパソコン(ラップトップ)などを使用してテレワークをする場合、電源の確保のほかに作業スペースも車内で作ることになります。運転席で作業するのであれば、ハンドルに取り付けることが可能な車載用テーブルが販売されていたり、バンやワゴンなど後部席にゆとりがある車を利用するのであれば、シートを畳んだり取り外すことでスペースを確保し、折りたたみデスクや椅子を用意して作業スペースを作ります。このようなテーブルなどの作業台は、インターネット通販等で【車載用テーブル】で検索すると購入が可能です。また、車内テレワークを快適に過ごすためのまとめ記事が、日産自動車のウェブサイトで公開されており、そのなかには不要な段ボールを活用したダンボールハンドルデスクや、モバイルWi-Fi電波強化グッズなどの作り方が公開されています。
どんな車が車内テレワークに向いているのか
では、どんな車であれば、車内テレワーク用途に向いているのでしょうか。
車内テレワークをする場所が運転席ではなく、後部席や荷室に作業スペースを確保したいのであれば、ワンボックスカーなどの積載性が高い車で、アレンジ性が高い車をおすすめします。また、電源の確保がしやすく、モバイルバッテリー等の購入をそのためにしたくないという方であれば、外部への給電に強い電気自動車やプラグインハイブリッド車がおすすめです。
後部席や荷室にゆとりがある車
作業スペースの確保には、一定の広さと快適さが必須となります。ワンボックスのバンや、後部席が広く天井の高さもあるLサイズミニバンがおすすめです。
- ハイエース(トヨタ)
- キャラバン(日産)
- アルファード(トヨタ)
電気自動車・プラグインハイブリッド車
電気自動車であれば、二酸化炭素や一酸化炭素を排出しないため、エンジン音の他、排気ガスの臭いなども気にせず快適に過ごすことが出来ます。
- リーフ(日産)
- プリウス(トヨタ)
- アウトランダーPHEV(三菱)
車内でテレワークする時に注意すること
車内テレワークをする時、健康のための留意点や、スペースとして使用する車に負担をかけてしまうことがないように注意するポイントがいくつかあります。こちらで注意点を解説します。
換気と温度の調節で快適なワークスペースの確保
車を自宅駐車場に停めている状態で車内テレワークをする場合、気をつけておきたいことの一つが空気の入れ替えなど換気をおこなうことです。特にガレージ内で車内テレワークをする場合、気温によってはエアコンをつけることもあるかもしれません。ガソリン車でエアコンをつけるためにエンジンを回転させている場合、排気ガスは少量であっても排出されています。車内に排気ガスが入り込み、換気を行わずにそのままにしておくと、気づかないうちに一酸化炭素中毒になってしまいかねません。特にガレージなど空気が籠りやすいところで車内テレワークをするのであれば、ガレージの換気と車内の換気を行う必要があるでしょう。
また、ガレージではなく青空駐車場などで車内テレワークをするのであれば、季節や気候によって外気温の変化があります。夏に車内で作業をするのであれば、熱中症対策には気を付けなければいけません。また、天気の良い日は陽の光が差し込むことでエアコンの効きが悪くなったり、作業する上で眼に負担がかかることもあります。サンシェードやシェードカーテンなどを活用することをおすすめします。
ストレッチや休憩をすることで身体への負担を軽減
車内テレワークを行うにあたり、長時間同じ体勢を続けての作業を行うことも多いでしょう。ワークスペースとして広くとることが出来る車であれば足を伸ばしたり、体を横にするなども出来るかもしれませんが、運転席にハンドルテーブルなどを設置して作業をする場合、リクライニングできたとしても可動域は限られます。食事や水分をとり、定期的に車外に出てストレッチを行うなどで血流をよくするように心がけ、エコノミークラス症候群にならないようにしましょう。
電源確保によるバッテリー上がりに気を付ける
また、前述したようにシガーソケットからの電源を使用するのであれば、バッテリー上がりにも注意しなくてはいけません。特に長時間ガソリン車の車内でモバイルパソコンとモバイルWi-Fiどちらも使用する場合、ガソリン車のバッテリーからの電源だけではバッテリー上がりが起こる可能性が高くなります。バッテリー上がり自体は、ブースターケーブルに接続するなどで復帰が出来るとは思いますが、一度バッテリー上がりを起こしてしまうと、そもそものバッテリーの劣化をすすめてしまうことになります。電気自動車やプラグインハイブリッド車のように充電をしながら、外部給電が出来る車であれば、充電をしながらのテレワークも可能です。ガソリン車での車内テレワークをするのであれば、外部電源用にモバイルバッテリーやポータブル電源を購入することをおすすめします。
まとめ
国や地域などの自治体から推奨されるテレワークやリモートワークを導入しようと考える企業や個人の方が増えています。テレワークをいざ始めようと思っていても、なかなか作業スペースの確保が難しいなど悩んでいる方は、一度車内テレワークの方法を検討されてみてはいかがでしょうか。
少し自宅から離れたところまでドライブをして、景色の良いところで仕事してみると気分転換にもなります。これからの、新しいクルマの活用方法の一つとしてぜひ参考にご覧ください。