トヨタ自動車は8月6日に、スープラ誕生35周年を記念した特別仕様車の販売を発表しました。
スープラ35周年特別仕様車の名前は「35th Anniversary Edition」。SZ-RとRZの二つのグレードをベースに、各35台ずつの限定販売となります。限定のため抽選販売となる特別仕様車の商談申込はすでに開始されており、申込期間は2021年8月6日から8月31日までとなっています。合計70名のみが車の購入権を得た当選者となります。
こちらでは今年35周年を迎えたスープラについて、スープラの歴史や人気のモデル、GR SUPRAの最新情報、旧車スープラの人気の理由など、くわしくご紹介します。
人気モデルA70スープラと最新のGRスープラ
トヨタスープラの歴史は、実は1978年まで遡ります。
日本でセリカXXという車名で発売を開始したA40は、北米ではセリカXXの「Xを並べる」表記を避けるため、スープラという車名で発売しました。セリカXXは、セリカのボディをベースに開発がすすめられたことから、セリカの派生車種のような位置づけでしたが、フルモデルチェンジした際に、セリカベースから独立し派生車種ではなくなり、日本国内での車名もスープラへと統合され、初代スープラが誕生しました。SUPRA(スープラ)は、ラテン語で「超えて」や「上に」という意味があり、英語のSuper(超)という言葉に相当します。
こちらでは、人気モデルのA70型初代スープラと、最新のGRシリーズ専売車種となったGRスープラについて詳しくご紹介します。
A70初代スープラが人気となった理由
1986年にフルモデルチェンジし登場した初代スープラは、セリカの派生車種という位置づけから独立し誕生した3ドアのファストバッククーペです。日本名で初めてスープラと名付けられたA70が、2021年現在も人気のクラシック車となっている理由が、当時販売された500台限定車3.0GTターボAです。
A70スープラの販売期間は1986年から1993年までの7年間でした。
その販売期間中である1988年8月にマイナーチェンジがあり、同時に限定モデルの3.0GTターボAが500台のみ販売されました。この3.0GTターボAの魅力は、最高出力270馬力の圧倒的なパフォーマンス力のある車というところで、量産タイプの240馬力を超えたパワーを持っていました。
また、特徴的なフロントバンパーセンターの3連ダクトはターボAダクトと呼ばれ、内外装やホイールなどはすべて黒で統一されたブラックのみの販売となっていたことも人気の理由の一つです。
貴重な限定500台のうち現存する車体も減少しており、2021年現在はほとんど流通がないものの、中古車市場で販売されると高値での取引が行われています。
最新モデルGRスープラはBMWとの協業
現在販売中のGRスープラは、トヨタ自動車とBMWの技術提携により共同開発された、最新モデルとなっています。現行モデルの登場は2019年で、2002年にA80型スープラが自動車排出ガス規制によって生産を終了して以来、17年ぶりの販売となりました。
2019年に販売されたスープラは、トヨタのスポーツカー・モータースポーツブランドであるGRの専売車種となったため、商品名は「GRスープラ」に変更されています。ただし、国土交通省への届け出による車名は変わらずスープラを継続しています。
GRスープラはトヨタとBMWの共同開発車であることから、今までの市販仕様スープラにはなかった直列4気筒エンジン搭載車両を選択することが可能になりました。この直4エンジン搭載モデルのグレード名は、SZ-RとSZです。SZ-Rは排気量が2.0Lの最高出力258PS、SZは2.0Lで最高出力197PSとなっています。
また、A70型スープラでも人気のあったスープラ伝統の3.0Lターボエンジン搭載モデルももちろん生産されています。直列6気筒3.0Lエンジンのインタークーラーターボ付きのグレード名はRZで、ツインスクロールターボエンジンの最高出力はさらにパワフルな387PSとなります。
最高出力の表記、PSとは?
PSとはドイツ語のPferde(馬)とStrake(力)の二つの言葉の頭文字からとられた言葉で、馬力のことを指しています。PSの計算式は、1秒間に75キログラムの重量を、1メートル動かす時にどのくらいの仕事率がかかるかを計算し、算出した数値です。
最新のGRスープラだからこその最新の設備も追加されています。
それが、GRスープラの仕向地ごとに異なる、マフラーを搭載していることです。
これは、近年日本国内のご近所トラブルとして話題になっている、騒音トラブルに対しての取組装置です。車がエンジンをふかすとき、特にスポーツカーなど走行に力を入れている車はマフラーから独特な吹かし音が出ます。特に住宅地では、住宅密集地となり近隣同士の車の音が騒音になってしまうことから、車の出す音にも騒音規制が行われているのです。この騒音規制の内容は国や地域ごとに異なるため、仕向地のルールにあわせたマフラーが作られ、装備されています。
スープラ(トヨタ)の廃車買取実績をご紹介
スープラ(トヨタ)は1986年にセリカから独立し、今年35周年を迎える車です。こちらでは、今までにカーネクストが実際に廃車買取したスープラの廃車買取実績をご紹介します。低年式や多走行、事故車や故障車でも買取していますので、見積もり前の参考にご覧ください。
A80スープラ故障車の廃車買取実績
年式:H6
型式:JZA80
走行距離:226,000km
買取金額:550,000円
停車中のオイル漏れがあり、アイドリング不調とエアコンの不調もあったため走行は可能だったものの、修理費用との折り合いが合わず、買取のご依頼をいただきました。低年式車の場合や、希少車の場合、修理に必要な部品が揃わず代替適合品による修理となったり、高額な修理費用となってしまうことがあります。修理をしてから車の売却をされると修理費用が買取額を上回ってしまい損をすることもありますので、カーネクストでは修理をせずそのままの状態で査定し、こちらの金額で買取をさせていただきました。
A80スープラ事故車の廃車買取実績
年式:H8
型式:JZA80
走行距:170,000km
買取金額:450,000円
フロント衝突による事故車で、右側面とフロントは大破しタイヤ軸も折れている状態でした。ボンネットやエンジンルームにも影響があり、エンジン不動で全く動かない状態となっていました。自損による事故だったため、リア側には損傷がなく特に海外で人気の希少車であるため、事故車であっても部品価値が高くこちらの金額で買取させていただきました。
A80スープラ事故車の廃車買取実績
年式:H8
型式:JZA80
走行距離:200,000km
買取金額:200,000円
車両同士の左フロント側衝突事故による事故車となっていました。フロント左は事故の衝撃で歪みやヘコミなどがあり、タイヤ軸も曲がっていましたが、エンジンは動く状態でした。年式経過による劣化や錆もところどころあったもののエンジンなどの内燃機関の部品価値も高いくるまですので、こちらの金額で買取させていただきました。
A70スープラ放置車の廃車買取実績
年式:H1
型式:MA70
走行距離:130,000km
買取金額:100,000円
車検切れから乗ることなく、放置されている状態のためエンジンかかるか不明かつバッテリが弱っている状態の車の買取をご依頼いただきました。野外放置の影響でガソリンタンク等にも錆が出ていたことから、エンジンはかけずに引取出来るトラックを手配し、お引上げさせていただきました。外装にも錆や劣化はあったものの、人気のA70でしたので部品価値も高く、こちらの金額で買取させていただきました。
スープラ(トヨタ)が海外で人気となった理由
前項でご紹介した買取実績からもわかるように、事故車や故障車となっていても部品価値が高いことから高額査定が出来るスープラですが、特にカーネクストで高額査定が出来ているのは海外で絶大な人気がある車だからです。なぜ、海外でこのように人気が高い車となっているのか、こちらでご紹介します。
映画で登場したスーパースポーツカー
2001年に公開されたアメリカ映画「The Fast and the Furious」(日本名ワイルドスピード)に登場する主人公ブライアンが、劇中で三菱エクリプスから乗り継いだ車がJZA80の4代目スープラとなっています。ボディカラーのオレンジが特徴的で、劇中でもレースシーン等で活躍することから、北米において一躍人気車となりました。北米では映画公開の前に既にA80ターボモデルの販売が終了していましたが、A80を求める人が多く、日本に買い付けにくる海外バイヤーもいるほどの人気モデルとなっています。
2021年6月には、劇中で登場したスープラの撮影1号車が世界最大級のオークションに登場しました。こちらのスープラは、主人公が実際に乗車し使用された車ということで、約6,000万円で落札されています。同映画の最新作が2021年8月6日に公開され、最新のGR スープラがその劇中に登場していることも発表されたため、今後GRスープラの人気が高くなっていくことも予想されています。
日本車のカスタムが北米のトレンドになっている
実は、北米の自動車カスタムシーンにおいて、日本車カスタムが人気となっていることも海外でスープラの人気が高くなっている理由の一つです。
北米の輸入ルールにより、25年以上の年式が経過した車は輸出コストが抑えられるため、輸出業者から人気となっています。特にネオクラシックといわれる1980年代から90年代前半の国産中古車は人気が高いのです。北米輸入ルールとは、通常の輸出中古車であれば北米の安全基準を合格しなければいけませんが、経過年数25年を超えていれば、その安全基準をスキップすることが可能となるルールです。本来であれば輸出出来ないはずの右ハンドル車が、クラシック車という扱いになるため、そのまま日本国内仕様車の状態で北米へ輸出が出来ます。安全基準への達成のためかかっていた費用がなくなるため、輸出コストが抑えられています。2021年から25年前というと1996年です。スープラの人気の型式A70とA80の生産時期は、北米輸出ルールに重なる車といえるでしょう。
また、北米ではJDM仕様のカスタムが人気です。
JDMとは、Japan Domestic Marketの頭文字で日本国内市場のこと。もともとはアメリカで販売されている海外仕様の日本車をカスタムし、日本国内仕様に近づけた車のことをJDMと呼んでいましたが、現在は25年ルールによって輸出され、北米に輸入された日本国産の車がJDMと呼ばれています。
JDM仕様からカスタムされた古い国産中古車が海外では、人気が高くなっているのです。
特に映画にも登場した北米で人気の高いA80型は、1993年に販売を開始しました。今後A80スープラの25年ルールが適用される車体も増えていくことから、この先海外への輸出台数も伴って増えることが予想されています。
まとめ
スープラ(トヨタ)は、トヨタ自動車が現在もフラグシップスポーツカーとして販売している車です。2021年で35周年を迎え、特別仕様車の発売が決定し、限定車の抽選申し込みが開始されています。人気のモデルは、初代モデルのA70型や、アメリカ映画で主人公の乗る劇中車として活躍したA80型となっています。販売台数ももともと多くはなく、スポーツカーの特性として事故車や故障車も多い車にはなりますが、その人気の高さから廃車買取においても高価買取が出来る車となっています。