自動車検査証記録事項は発行できる?車検証代わりになるの?

自動車の基礎知識

2023年1月に普通車の車検証が電子化され、2024年1月には軽自動車の電子車検証の交付が始まりました。それまでの紙の車検証とはサイズ・記載内容等が異なり、券面で確認できる情報が減ってしまったために、お困りの方も多いようです。

券面に載っていない車検証情報を見るにはスマホやPCでの操作が必要ですが、スマホが使い慣れていないという方へ補助をする目的で、車検証電子化から三年間は【自動車検査証記録事項】が発行されています。

自動車検査証記録事項とはどのような書類なのでしょうか。また、手元にない場合に自動車検査証記録事項の発行は自分でできるのでしょうか。こちらで詳しく解説します。

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自動車検査証記録事項とは

自動車検査証記録事項とはどのような書類なのでしょうか。

電子車検証を補助し車検証情報の確認ができる書類

車検証の電子化に伴い、以前は紙面で確認ができていた車検証情報はICデータへと格納されました。これにより、車検証情報を確認したいと思っても券面ではできず、スマホやICカードリーダーのあるPCでICデータを読み取る操作が必要となったのです。しかし、スマホやPCの操作に慣れていないユーザーにとってICカードの読取やアプリの操作は困難で、正しい情報の確認ができない方も多くなっています。

このようにアプリ操作に慣れない方への補助として、車検証電子化から少なくとも3年間は、車検証情報の確認ができる自動車検査証記録事項(書面)が車検証と同時に発行されています。

自動車検査証記録事項の紙面に記載される車検証情報

車検証と自動車検査証記録事項は、車の所有者によってパターン分けされていて、AタイプとBタイプとがあります。Aタイプは所有者と使用者の情報を記載する欄があります。Bタイプは所有者欄がなく使用者情報のみ欄が設けられていて、備考欄に登録時の所有者情報が記載されています。基本的にBタイプは本自動車検査証発行時の所有者がリース会社等になっていて、所有者であるリース会社等が国土交通省に申請し交付されたものになります。

Aタイプ、Bタイプの自動車検査証記録事項それぞれに記載されている車検証情報が以下になります。

AタイプBタイプ
1.基本情報
自動車登録番号又は車両番号
車台番号
登録年月日/交付年月日
初度登録年月
有効期間の満了する日
1.基本情報
自動車登録番号又は車両番号
車台番号
登録年月日/交付年月日
初度登録年月
有効期間の満了する日
2.所有者・使用者情報
所有者の氏名又は名称
所有者の住所
使用者の氏名又は名称
使用者の住所
使用の本拠の位置
2.使用者情報
使用者の氏名又は名称
使用者の住所
使用の本拠の位置
3.車両詳細情報
車名、型式、原動機の型式
自動車の種別、用途、自家用・事業用の別
車体の形状、乗車定員、最大積載量
車両重量、車両総重量、長さ、幅、高さ
前前軸重、前後軸重、後前軸重、後後軸重
総排気量又は定格出力
燃料の種類、型式指定番号、類別区分番号
3.車両詳細情報
車名、型式、原動機の型式
自動車の種別、用途、自家用・事業用の別
車体の形状、乗車定員、最大積載量
車両重量、車両総重量、長さ、幅、高さ
前前軸重、前後軸重、後前軸重、後後軸重
総排気量又は定格出力
燃料の種類、型式指定番号、類別区分番号
4.備考
【本自動車検査証発行時における所有者情報】
所有者の氏名又は名称
所有者の住所

自動車検査証記録事項はどこでもらえる?

自動車検査証記録事項は、運輸支局もしくは自動車検査登録事務所で、車検証交付時に補助する書類として同時に交付してもらえます。交付される期間は、車検証の電子化から少なくとも3年間となっています。車検証と併せて交付してもらえるのはその時限りとなっているため、発行された書類は大切に保管しておきましょう。

ただ中には、受け取り後の保管中に紛失してしまったり、中古で購入した車に車検証の原本しか備えつけられておらず、自動車検査証記録事項は手元にないとお困りの方もいらっしゃるかもしれません。

こちらでは手元に自動車検査証記録事項がない場合に、車の使用者本人が【自動車検査証記録事項を印刷する方法】をご紹介します。

自動車検査証記録事項を印刷できる端末が設置されている

2024年4月より、各運輸支局や自動車検査登録事務所の窓口付近に設置された端末から、自動車検査証記録事項が印刷できるようになっています。手元になくて車検証情報が分からず、スマホ等の操作も困難で厳しいという方は、車の手放しを検討するまでに、最寄りの運輸支局へ行って印刷しておき、手元に保管しておくことをおすすめします。

自動車検査証記録事項は自宅プリンタからも印刷可能

車検証の電子化に伴い車検証情報がICタグにデータとして格納されたため、データの閲覧方法としてスマホ用車検証閲覧アプリの配布と利用を開始しました。

車検証閲覧アプリは、電子車検証のICタグを読み取ってスマホ画面で確認ができる他に、車検証データをダウンロードしてプリントアウトすることも可能になっています。自動車検査証記録事項のデータをダウンロードし、ご自身でお持ちのプリンタへスマホからデータを出力できる設定にされていれば、自宅でも簡単に印刷が可能です。

自動車検査証記録事項でわかること

前述のとおり自動車検査証記録事項では、紙タイプの車検証の紙面にあった車検証情報がそのまま確認できるようになっています。普通自動車や軽自動車の廃車手続きや車の売却をする時に必要となる情報も、すべて確認ができるため、これから手続きを進める予定がある方で車検証が電子車検証になっている方は、自動車検査証記録事項を手元に準備されておくことをおすすめします

自動車の手続きに必要な書類がわかる

車の手続きをするには、所有者の書類を揃える必要があります。しかし電子車検証の場合、一目見ただけでは所有者の確認ができなくなってしまいました。そのため、廃車手続きや車の売却など所有者の了承を得て手続きをすすめなくてはいけない場合は、まずは自動車検査証記録事項を用意して書類を集めるようにしましょう。

例えば、自動車検査証記録事項を取得したところ、所有者情報の氏名・住所が結婚・転居によって変更されていて記載内容と現時点が異なっている場合は、所有者の氏名と住所がどのような理由で変更になったのか、つながることを証明する書類を別途集めなければいけません。

所有者情報を確認せずに手続きをすすめようと運輸支局に向かってしまうと、必要な書類が足りていなかったため手続きを進めることができずに二度行かないといけない可能性があるのです。

自動車検査証記録事項で確認後の対応方法

下記は、自動車検査証記録事項に記載の所有者情報が、手続き時の所有者情報と異なる場合の対応方法です。

所有者の名称・住所等が印鑑証明書の情報と異なる場合

自動車検査証記録事項に記載されている所有者の住所が、手続きで準備した印鑑証明書の情報と一致している必要があります。もしも情報が違っている場合は、通常の廃車手続き書類に加えて繋がりを確認するための書類が別途必要となります。住所が異なる場合は戸籍附票が必要となりますので事前に準備をしておきましょう。

所有者の欄がローン会社または、法人名義の場合

自動車検査証記録事項がBタイプで発行されており、所有者が個人ではなくローン会社・法人になっている場合が、車をローンを組んで購入していたパターンになります。当時のローンをすべて完済している場合は手続きを進めることはできますが、手続きには所有権者が発行する所有権解除の書類が必要です。もし住所が異なる場合には、さらに所有者(法人)の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)で住所をつなげる必要があります。
ローンの残債がある場合は所有者の欄に記載してあるローン会社・法人に相談し廃車の了承を得て、書類の発行を依頼しなければいけません。

所有者が亡くなってしまった場合

自動車検査証記録事項を確認したところ所有者が既に亡くなっている方になっている場合には、必要な書類に加えて、戸籍謄本、除籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書もあわせて必要になります。
また戸籍謄本には所有者の死亡が記載されている必要があります。戸籍謄本で所有者の死亡が確認できない場合に除籍謄本が必要となります。
遺産分割協議書には、相続人全員の記入押印がなされており、代表相続人のみ実印が押印されていることが必要です。印鑑証明書は代表相続人(1名)のものです。

まとめ

電子車検証の交付が開始されました。電子車検証では多くの車検証情報がデータ化されたため券面では確認ができません。車検証情報確認のためにスマホ操作やアプリ操作をするにも不慣れで難しいという方に向けて、運輸支局では補助を目的とした自動車検査証記録事項を合わせて交付しています。

自動車検査証記録事項は、車検証情報を容易に確認できる書面となっており、車の売却を検討している時や手続きを進める際には手元にあるだけで、手続きをスムーズに進めることができるでしょう。

自動車検査証記録事項は車検証と異なり、証明書としての効力はありません。

しかし、情報の確認がしやすいという点ではかなり有効な書類となっています。手元にお持ちでない方は、こちらの記事を参考に自動車検査証記録事項を印刷して保管されておくことをおすすめします。

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