シガーソケットをご存知でしょうか?シガーとはシガレットいわゆるタバコ(煙草)のことです。
シガーソケットは、タバコに着火するための電熱線がソケットについているタバコ用着火装置のことをいいます。
シガーソケットは1950年代以降、自動車の標準装備として急激に普及しましたが、現在は喫煙者が減少傾向にあることや電子タバコの普及もあり、現在はシガーソケットではなく、アクセサリーソケットとしての標準装備されていることが多いです。
実はシガーソケットは使い方次第で、とても便利なアクセサリであり、喫煙者の方でなくとも沢山の有効活用方法があります。
こちらでは、シガーソケットの使い方について解説していきます。シガーソケットについてだけでなくアクセサリーソケットの使い方もご紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。
シガーソケットはどんな車載装備?
シガーソケットとはどんな車載アクセサリ装備なのでしょうか。
シガーソケットの車載位置は、主に車のカーオーディオなどが設置されるフロントパネルです。大きさはコンセントの差込口と同程度の大きさで、ソケットの形状は丸型になります。
また、シガーソケットの装備は車種によってシガーライターが刺さっている状態になっている場合もあります。シガーライターが付いていない場合はソケットにホコリなどが侵入しないよう、上蓋がついていることもあります。
シガーソケットの仕組みを解説
シガーソケットは元来タバコに着火するための車載装備として登場しました。
そのため、喫煙家の方が多かった頃は、電熱線のついたシガーライターとセットになっている車が多く、近くに灰皿ホルダーもあったのです。シガーソケットとライターの構造は、ソケットからシガーライターに通電し、シガーライターについている電熱線が電気コンロのようになり、タバコに着火出来る仕組みになっています。
ところが、最近では喫煙者が減少傾向になってきたことから、シガーライターは付属しておらずシガーソケットのみが標準装備されるように変わってきています。
シガーソケットはタバコに火をつける用途以外では、車から電気を取るために使います。シガーソケットの電流は直流で電圧は12Vが一般的です。トラックなど一部の大型車では24Vの場合もあります。
タバコと関係ない使い方をすることが多いことから、シガーソケットではなく、電力が供給できるアクセサリーソケットとして装備されている車も増えています。
シガーソケットからプラグへ電気が流れる構造とは
車側のシガーソケットにはプラス配線端子とマイナス配線端子がついており、車と端子が接続して車載バッテリーから電力を受け取りソケットに電流が流れます。
そのシガーソケットに、プラグを挿すことで先端部がプラス点、プラグの側面スプリング部分がマイナス点に接点します。接点した瞬間に車からソケットへ、ソケットからプラグへ電流が流れます。
このようにシガーソケットの構造は出来ているため、供給される電気は直流(DC)となります。家庭用電源は交流(AC)のため家庭用電気製品もAC対応が多く、シガーソケットは直流の構造のため、ほとんどの家庭用電気製品は使用ができません。
現在は外部給電が出来るAC交流型のコンセントを持つ車種も多くなっていますので、家電など使用したい電気製品が使用できるかどうか確認が必要です。
シガーソケットはいつごろ普及した?
シガーソケットは、1950年代以降にアメリカから段々と普及し始めた車のアクセサリー装備です。
日本国内でも1960年代以降普及拡大したため、古い車であれば基本的に標準装備されている車が多くなっています。
ただし現行モデルは、シガーソケットではなくアクセサリーソケットと名称も変わり、電源供給に使用される車載用電源として標準装備の車が多くなっています。
アクセサリーソケットはシガーソケットと用途や見た目もほとんど変わりません。ただし、シガーソケットはタバコ着火用でもあったことから耐熱仕様となっていますが、アクセサリーソケットは耐熱仕様になっていないものがほとんどです。
そのため、アクセサリーソケットにシガーライターを使用すると、ソケット側が故障する可能性が高くなります。
現行車でシガーライターソケットはないの?
現在販売されている国産メーカーの車で、シガーライターの装備がついている車の販売は減少傾向で限られています。現在はオプション装備で選択出来る車がいくつかありますが車種は限られます。
ホンダでは、2020年7月に販売を終了したグレイスがシガーライターのオプションを選択することが可能でした。ところが、グレイスの販売が終了してしまったため現在シガーライターのオプションを選択可能な車種はなくなっています。
現在確認できるところでいえば、スズキのエブリイやスバルのインプレッサは、メーカーのオプションカタログに純正のシガーライターが掲載されています。シガーライターのオプション装備の価格相場は3,000円~4,000円前後です。
メーカーオプションでの用意がそもそもない場合は、社外品で販売されているものや他車のものを利用する方もいらっしゃると思いますが、三菱自動車工業の公式ホームページでも記載があるように、他車のシガレットライターを装着し使用すると故障や過熱による火災を招く可能性もあるため、純正以外のシガレットライターの使用をするにあたっては、適応しているかどうか確認が必要です。
シガーソケットの有効な活用方法
もともとはタバコに着火するための役割が主だったシガーソケットですが、今では車載用電源として多く活用されています。こちらではシガーソケットを上手に有効活用する方法をご紹介します。
シガーソケットは車載用電源として活躍
シガーソケットを通じて、車を電源とし外付けの電気製品に電力を供給することが出来ます。
例えば外付けオーディオやドライブレコーダーなど、シガーソケットに対応する電気製品がカー用品店では多く販売されています。
シガーソケットが一つしかついていないが取り付けたい電気製品が複数あるという方には、ソケットに取り付ける分配器なども販売されていますので、最大電圧などに注意すれば複数の外付け製品を作動することが出来ます。
このように車載用電源として使用する時は、シガーソケットの電流が直流(DC)であることと、電圧が一般的には12Vであることを前提に装備品を揃えるようにしましょう。
一般的に日本国内で販売されている家電(電気製品)は、AC(交流)で100Vの電圧が必要な製品が多いため、シガーソケットでの利用は難しくなります。カー用品店など、シガーソケットに対応した電気製品が販売されているところでの購入をおすすめします。シガーソケットに対応していてカー用品店での購入も可能な外付けアクセサリというと、ドライブレコーダーやカーオーディオなどがあります。車の中で使用する電気製品は、シガーソケットを電源として使用できるものが多いです。
また、普通乗用車のシガーソケットの電圧は12Vが一般的ですが、トラックなど一部の大型車両の場合24Vになります。
シガーソケットから電源供給してバッテリーは大丈夫?
シガーソケットから電力供給を受けて電気製品を作動することが出来、有効に活用が可能になったものの、電気製品を使用すると車のバッテリーの消耗や容量不足があるのではと不安になる人もいるでしょう。
しかし、カーナビやドライブレコーダーなどに使用する程度の消費電力であれば、バッテリーの消耗や劣化に影響するまではいきません。
車のバッテリーの仕組みとして、走行すると充電できる仕組みになっています。その充電量に比べると、シガーソケットで消費される電力の方がずっと少ないのです。
特に、ほとんどの車種でシガーソケットから給電できるのは、エンジンをかけているときだけです。エンジンを切ると通電しなくなるため、待機中の放電の心配もありません。後付けのカーナビやドライブレコーダーであればプラグをシガーソケットに差しっぱなしにしていても、基本的に動作も停止するため待機電力を使用する事はありません
もし、シガーソケットを使っていてバッテリーが上がってしまった場合には、他に原因がないか確認してみましょう。
シガーソケットを使ってスマホを充電する方法
前述したようにシガーソケットは直流の電力のため、プラグを挿入し電力供給を受け取ることが出来る電気製品は限られます。ほとんどがカー用品店で販売されている車に関する電気製品となるでしょう。
せっかく電源として使えるとしても、ドライブレコーダー等を使うこともなければ、あまり使い道がないと思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、カーチャージャーを使えば、シガーソケットでスマートフォンの充電が可能になります。
シガーソケットで使えるUSB充電器とは
シガーソケットでスマートフォンに充電するには、充電するためのアダプタとなるカーチャージャーが必要です。このシガーソケットチャージャーは、大型家電量販店やカー用品店、インターネット通販等で購入が出来ます。
シガーソケットチャージャーを選ぶ時は、ソケットに挿入するプラグと電源供給するポートが付いているものを選びます。
シガーソケットチャージャーにはいくつか種類があり、ポート部分がUSBになっているものや、アクセサリソケットとUSBポート両方ともついているものもあります。インターネット通販で検索をするのであれば、車載充電器やシガーソケットチャージャーで検索をしてみましょう。
シガーソケットチャージャーにUSBポートがついていれば、USBプラグ付ケーブルで充電可能な電気製品であれば充電が出来ます。現在多くのスマートフォンがUSBで充電が可能です。運転をしながら充電が出来るので、移動時間を有効に活用できるようになります。
シガーソケットチャージャー(車載充電器)の選び方のコツ
シガーソケットチャージャーの価格帯は数百円~数千円くらいまでと幅があります。
メーカーからも純正品のシガーソケットチャージャーが販売されています。トヨタ自動車では、ヤリスのアクセサリーソケットに対応するUSB2ポートのカーチャージャーが、オプション装備価格税込1,727円で販売されていました
また、100円均一ショップでも取り扱いがありました(2019年販売)。ただし販売価格が安いシガーソケットチャージャーは不安に思う方もいるかもしれません。
シガーソケットチャージャーを購入して後悔しないためのコツ
シガーソケットチャージャーは購入する前に対応電流を確認しておきましょう。
対応電流が低い場合、USB充電器を使用しても時間がかかってしまうことが多いです。特にタブレット端末などの電力を多く必要とするものを充電したいのであれば、2.0A以上に対応していないと、充電できないこともあります。
またクイックチャージといって、急速充電が可能なUSBポートがついているシガーソケットチャージャーもあります。クイックチャージは3.0規格対応端末のみ急速充電出来ます。
クイックチャージの注意点としては、せっかくポートが急速充電に対応していても、接続するケーブルが対応していないことがあるため、どちらの製品も購入時に対応しているか確認することがポイントです。
シガーソケットチャージャーに複数のUSBポートがあると
シガーソケットチャージャーに付いているUSBポートが1つではなく、2つ以上付いているものもあります。複数のUSBポートがあれば、複数のUSBケーブルを同時に使用できるのでさらに便利です。例えば二人でドライブに行く時も、2台同時に充電することができます。
USB機器ではなくシガーソケット対応機器を複数使いたいこともあるでしょう。このような場合に活用できるのが、シガーソケットを分岐させて数を増やせる分配器です。
スマホの充電もしたいが、シガーソケット対応のドライブレコーダーも使いたい時は、シガーソケットの差し込み口とUSBポートの両方を備えているカーチャージャーを選びます。
これなら、カーチャージャー対応機器を使いながら、スマートフォンを充電するというような使い方もできるでしょう。ポートが多いものでも、1,000円から2,000円くらいで買えます。
ただ、複数のUSBポートがある充電器やカーチャージャー対応機器と同時に使用する場合には、合計で何アンペアまで使えるのか確認しておきましょう。オーバーしてしまうと、各機器に十分な電流が供給されず、正常に動作しないこともあります。
シガーソケットがあれば車中で家電も使える?
シガーソケットは12Vが一般的ですが、アクセサリーソケットの中には電圧が高い電気製品にも対応している種類があります。このように最大電圧が高く対応できるアクセサリーソケットであれば、幅広い電気部品が利用可能になります。
家庭用コンセントとして緊急時に使うには
車載用電源としてアクセサリーソケットを使用するにも、もともとアクセサリーソケットはバッテリーからの12VDC(直流)電流です。もしも緊急時など電気の供給が止まってしまった時、車から電力がとれればと思っても、対応していない電化製品がほとんどのため使用できません。
このような時に、アクセサリーソケットにインバーターという交換器を使えば、家庭用の電化製品もアクセサリーソケットで使用できるようになります。
インバーターってどんなもの?
インバーター(インバータ)とは、直流電流を交流電流に変換する回路や装置の名称です。この記事では、アクセサリーソケットやシガーソケットの直流12Vを、車用インバーターを使用することで交流100Vに変換することが出来る装置としてご紹介します。
車用インバーターには、シガーソケット側に差し込むプラグと家庭用のコンセントと同じ差し込み口が付いています。起動電力のワット数はインバーター次第で異なりますが、ご家庭で使用している電気製品をそのまま使うことが出来ます。
インバーターを使えば多くの電化製品が使えるようになるため、緊急の時やキャンプ・車中泊などで遠出をするときにも便利です。
ご家族や友人とドライブをする時に後部席でタブレットやDVDプレーヤーで映像を流すことも出来ますし、外回りの営業の方などノートパソコンを持ち歩いて作業することもできます。車中泊の際も、電気毛布や冷温蔵ボックスなどの消費電力にはインバーターがあれば対応出来ます。
車用インバーターはカー用品店やインターネット通販などで2,000円~数万円くらいのものまであり、値段の差がかなり大きいです。カー用品店で相談してみたり、通販であればレビューを見ての検討が必要でしょう。インバーターを買う際は、対応している電力(ワット数)と使用したい電化製品の消費電力(ワット数)を確認しておきましょう。
インバーターを使用して電化製品を使う時の注意点
インバーターの対応ワット数を超える電化製品は使用できません。特に安価なインバーターは、対応ワット数が低めの傾向にあり、使用できる電化製品が限られてしまう可能性が高くなります。また、インバーターで複数の電化製品を使っていると、それなりにバッテリーを消耗します。
カーチャージャーでスマートフォンの充電をする場合に比べると、インバーターを使用してノートパソコンやDVDプレーヤーを使用している時の消費電力はかなり大きくなります。そのため、使いすぎるとバッテリー上がりを起こしてしまうかもしれません。不安なときには、使用を控えた方がいいでしょう。
ヘアドライヤーなど、消費電力がかなり大きい電化製品を使った場合には、ヒューズが飛んでシガーソケットが故障する可能性もあります。1,000ワット以上の消費電力に対応しているインバーターもありますが、あまり消費電力の大きい電化製品は使わない方が無難です。
もし、シガーソケットが壊れてしまうと、配線などの状態次第で高額な修理費用がかかることもあります。バッテリーも上がってしまったら、移動することも出来ず費用がかさむでしょう。
自然災害や停電が起きた時は
消費電力が大きい電化製品を使用することが出来る車というと、EV車やPHV車などのアクセサリーコンセントがあり、高電圧バッテリーを搭載している車になります。
例えばトヨタ車で2020年最も販売台数の多かったヤリスは、ハイブリッドモデルであれば、メーカーオプションでアクセサリーコンセントの設定をすることが出来ます。ヤリスハイブリッドのアクセサリーコンセントは1500Wまでの外部給電が可能となっており、災害時など停電になってしまった時も安心の装備となります。
まとめ
シガーソケットの便利な使い方をご紹介しました。
シガーソケットはタバコに火をつける機会はなくとも、車載充電器としてUSBプラグ対応しているスマートフォンの充電が出来るようになるので、かなり便利なアイテムです。
遠出をしていてすぐに自宅でスマートフォンの充電が出来ない時も、カーチャージャーを持っていれば移動しながら充電出来て安心です。また、インバーターを使えば、家庭で使用している電化製品等も使用できるようになります
ただしインバーターを使用しての電化製品の使用は消費電力に気をつけなければ、シガーソケットの故障につながります。故障防止のため、あまり消費電力の高い電気製品は使わない方が無難です。充電が出来る状態の時にノートパソコンやDVDプレーヤーを使うくらいの用途をおすすめします。