交通事故に遭って、車のフレームに歪みが生じてしまったらどうするか迷うでしょう。修理して乗り続ける人もいれば、買い換えを検討する人もいます。
ここでは、事故などによって車のフレームが歪んでしまった場合の修理費用や買い替えるかどうかについて解説していきます。
フレームは車にとって非常に重要な部分
車での走行中に交通事故を起こし、他の車に衝突してしまった時に、車が大きく大破したのでなければ、まずは修理を検討し、直して乗り続けようという方が多いでしょう。車がもともと自動車保険に加入していれば、保険で修理代が出る場合もあります。事故となると当時の走行スピードや、事故の要因によって、損傷度合いも異なります。
特に、損傷を受けたパーツが車のフレーム部分の場合は、注意が必要です。
車のフレーム部分に損傷を受けてしまうと
車のフレーム部分に損傷を受けてしまった場合、修理が難しく、元通りに直らないこともあります。フレームというのは、車のパーツの中でもかなり重要度の高い部分となります。それはフレームとは、車を構成する骨格に位置する部分だからです。現在の乗用車は、ほとんどがモノコックボディの構造になっています。フレーム構造の車に比べて軽量化されているモノコックボディの場合、外部から衝撃を受けると車室部の前後が衝撃を吸収する構造となっています。事故などにより外部から受けた衝撃が、骨格部分となる高張力鋼板に加わると、欠陥が生じたり歪みがおきてしまいます。ただし、この骨格部分は衝撃を受けても目視で判断が難しくなっています。ドアやボンネットであれば、損傷していることが見ただけではっきりわかるのですが、フレームに関しては歪みが生じていても気づかなかったというドライバーも多いのです。
道路を直進し交差点付近を走行中に、側道から飛び出した車に衝突されてしまった車で、速度があまり出ていなかったこともあり、その時はフロントの右側に大きくぶつけられたものの、バンパーの凹み程度だろうと判断。その後、車の修理をするためヘッドライト交換やバンパーの板金を依頼したところ、修理工場が点検をすると実はフレームが歪んでいたため高額な修理になったというケースもあります。
フレームに大きな歪みが生じていれば、ドアが正常に閉まらないなどの不具合が生じるため、ドライバーも異常に気付きますが、小さな歪みの場合、このように見過ごしてしまうことがあるかもしれません。
車のフレームの損傷は軽く見てはいけない
車のフレームの歪みを軽視してはいけません。フレームが歪んでいるということは、人間の怪我に例えると、骨折に相当します。外見的には分かりにくくても、正常に動作するのが難しい状態なのです。フレームが歪んでいる状態で運転を継続すると非常に危険です。エンジンがかかるからとそのまま走行すると二次被害が増える可能性もあります。普段、近所の速度もあまり出す必要がない場面でしか運転の機会がないという人であれば、フレームに少し歪みが生じていても、特段問題なく走行できるかもしれません。しかし、大きな道路や高速道路などを走るときに、不具合が生じることがあります。速い速度で走行しているので、大きな事故につながってしまう可能性もあり、非常に危険なのです。
車のフレーム損傷の修理は
愛着のある車など、フレームに損傷を受けてしまっても乗り続けたい車であれば、早めに修理しておく必要があります。フレームの修理や、部品の交換は骨格部分にあたるため高額です。もちろん車種や年式などで差はありますが、数万円~数百万円かかったという修理実績もあります。事故の場合は、車両保険等で修理費用が補填できることはありますが、経済的全損となり修理費用には足りないことも少なくありません。また、修理や部品交換をしたとしても完全に元通りになるという確約もありません。それほど、フレームの修理は難しい部分なのです。また、車検を受ける際に車のフレームに歪みが生じていないかどうかのチェック項目があります。歪みがあると検査員に言われれば車検は通りません。
車査定時のフレーム損傷は大きなマイナス評価に
フレームに歪みがある車は、中古車市場において査定価値が低くなってしまいます。もしも事故によってフレームに歪みが起きてしまった場合、他のパーツの故障履歴とは異なり、たとえ修理をして走行が出来る状態であったとしても、修復歴が残ってしまうのです。修復歴車は事故歴とも言われ、中古車として中古車販売店が車を再販する際も買い手にたいして明示しなくてはいけません。車を購入するユーザーにとって、事故歴や修復歴がある車はトラブルが起こるかもしれないという前提での購入になるため、高い金額を出して買おうとは思いません。中古車店としても売れるかどうかの在庫リスクや修理費用がかかる可能性がある車の買取は渋くなります。そのため、中古車の買取査定に出したとしてもマイナス評価がついてしまい、同じ型式で年式・走行距離が同等車と比べてもかなり低くなってしまうでしょう。
こういった状況の車の場合は、車としての査定を受けるのではなく、パーツ毎の査定を受けたり、鉄資源として買取ができる廃車買取業者に査定を依頼することをおすすめします。
車のフレーム構造の2種類を比較
車の基本骨格といわれるフレームの構造は大きく分けると2種類あります。骨格が強く頑丈なメリットと重量があり車重が重くなるデメリットを持つラダーフレーム構造と、現在主流になりつつあり軽量化出来るメリットがあるが、車内の事故の衝撃を緩和するため車両全体に事故の損傷の影響を受けるモノコック構造の2種類のフレーム構造について、こちらで特徴など詳しくご紹介し比較していきます。
ラダーフレーム構造の特徴とデメリット
ラダーフレーム構造とは、ラダー(Ladder)=梯子・梯子の形に似たものという名称からもわかるように、梯子に似た骨格に車のボディを載せているような構造の車のことです。左右の前輪と左右の後輪をつないでいるクロスメンバー部分と、車の前後を電車のレールのようにつないでいるサイドレールが交わっている構造になり、骨格を真上からみると、梯子のようになっていることからラダーフレーム構造と言われています。フレームさえ無事なら問題なく走ることが出来る強度の高さが大きな特徴で、そのフレームの強度をあげるためフレーム自体が重くなることから、相応の排気量を必要とする車であることも特徴の一つです。
世界から認知されているトヨタのランドクルーザーもこちらのラダーフレーム構造を採用しており、構造の頑丈さ、信頼性の高さが世界から人気を集めています。ラダーフレーム構造はその頑丈さから、オフロード走行や冬季の悪路走行にも強い四輪駆動車のフレームに採用されていることも多くなっています。現在は自家用乗用車で採用されている車は少なくなっていますが、バスやトラックなど、人や荷物を運ぶ大型車両では多くの車種でラダーフレーム構造が採用されています。
ラダーフレーム構造の大きなメリットである頑丈さは、その反面頑丈さを重視することで重すぎることがデメリットです。重量のある車を動かすことになるため、総排気量も大きく燃費もあまりよくありません。また、ラダーフレーム構造を採用している車は、車内のスペースが狭くなることが多くなっています。走破性などの強さはありますが、車内での快適さを求めている人には、あまり向かないでしょう。燃費性能を良くするため軽量化を図る車が増えていることから、一般の自家用乗用車において、ラダーフレーム構造は1960年以降主流ではなくなっています。
モノコック構造の特徴とデメリット
モノコック構造は、モノ(mono)=一つの、コック(coque)貝殻を組み合わせた造語で、骨組みというよりは、車体の外板を加工し強度を持たせた構造のことです。モノコック構造は、シャシーフレームを車体に取り込みボディとフレームを一体化させている構造で、骨組みを持たず外板に強度を持たせることで車体全体を支えています。ラダーフレーム構造と比べると、車両重量が軽いことが特徴です。量産性が高く製造面でもメリットがあるため、現在流通している乗用車の多くはモノコック構造になっています。モノコック構造のメリットとしては、ラダーフレーム構造とは異なり車内空間を広くすることが出来ることや、ボディとフレームが一体化していることで運転時の振動も生じにくく、乗員の乗り心地も良好な作りに出来ることです。また、モノコック構造の車は、フロントやサイドに衝撃を受けた場合も、衝撃を受けた箇所だけでなくボディ全体に衝撃が分散する仕組みになっています。そのため、衝突安全性が高くなることから事故が起こった時の乗員の安全を守る作りになっています。
しかしその反面、衝突事故が起こった際にフレーム(モノコック構造では外板の部分)に歪みが生じやすくなるというデメリットもあります。フロントからの衝突事故の場合フレームに歪みが生じるのは、衝突してしまったフロント部分を想像する人が多いでしょう。しかし、モノコック構造においては、フロント回りのフレーム部分以外には衝突がなくても、車両全体に衝撃が伝わるためフレームに歪みが生じてしまうことがあるのです。乗員の安全のためボディ全体で衝撃を受け止めることにより、分散された衝撃がフレームを歪めてしまうことがありますので注意が必要です。少しの歪みが車体全体に影響しやすい点もモノコック構造のデメリットです。この場合修理をしても、完全には直せないことがあります。ボディとフレームが一体化していることで、一旦修理を終わった後に歪みが確認される箇所以外に影響が出ることもあります。修理後しばらくしてから問題が発生し、乗り心地が変わってしまうことあるようです。
車のフレームの歪みは修理すべきか?
交通事故で車のフレーム(骨格部分)に歪みが生じてしまったら、修理して乗り続けるか手放すかの選択を迫られることになります。見た目は特に壊れているように見えなくても、フレームが歪んだ状態で乗り続けるのは非常に危険です。動かせる場合でも、修理するまで運転しないようにされることをおすすめします。事故などの際はロードサービスなどを利用して車を移動させてもらうようにしましょう。
車のフレームの歪みを修理する依頼先は
車のフレームの修理を依頼するのであれば、板金加工が可能な修理工場が一般的です。フレームの修理費用はかなり高額になることが多いため、まずは修理工場で修理見積もりをとりましょう。部分的に歪みが生じている場合でも、数十万円程度はかかりますし、車種と年式が同じ中古車を買えてしまうくらいの金額になることも少なくありません。修理する箇所が広範囲にわたる場合には、100万円以上かかってしまう可能性もあります。フレーム修理だけでは難しい場合フレームの交換や、他の部品の交換もしなければならないこともあります。また、高い修理費用を払って直した場合でも、完全に元通りになるとは限りません。フレーム交換を行い修理した後の車に乗ってみると、違和感を覚えることもあるでしょう。別の車のように感じられてしまうかもしれません。修理内容や、リスクも確認しつつ費用と相談が必要です。
フレームの歪みは修理しても不安が残る?
車の骨格部分になるため修理後であっても、安全面に不安が残ってしまう点はあります。修理を行ったあと運転をしてみて、走行できる状態に復帰していても、歪みが起きてしまったフレームに関しては、走行を続けることで少しずつ不具合が生じてしまうかもしれません。また、モノコックボディのように、全体に影響を及ぼす構造の車両は修理した箇所とは別の部分にも影響が及んでいる可能性があります。後から不具合に気付くと、再び修理が必要になるでしょう。最初の修理費用と合わせると、かなりの費用がかかってしまいます。修理にかかる費用とリスクで考えれば、フレームに歪みが生じてしまった場合は、修理をせずに廃車や買い替えを検討される方も多いでしょう。思い入れの強い車や、新車で購入したばかりの車であれば、数十万円の修理費用を支払っても直した方がいいかもしれません。しかし、購入してから10年以上経過している古い車や、もともと中古車で購入していた車であれば、修理費用が車の購入費用を上回る可能性もあるため買い替えるのが賢明でしょう。
フレームが歪んだ車は修理するか売却するか
車が損傷を受けてフレームが歪んでしまっている場合中古車としての売却はかなり難しいです。事故車や不動車となると、引取費用がかかったり廃車手続きに時間がかかってしまうということで、悩まれる方も多いでしょう。このように車としての修理が難しい場合、廃車の手続きや引取り費用がかからない廃車買取業者へ依頼されることをおすすめします。フレームが歪んでしまった時は、車軸が曲がっているなどまっすぐタイヤを転がすことも難しいといった状態もあります。その場合車は自走で積載車に積み込むことは難しいため、吊り上げ作業が出来るトラックやウィンチで巻き取り積載するトラックが必要になります。このように不動車の引き取り作業費用をかけずに、廃車を依頼することが出来、廃車手続きなども任せることが出来るの買取業者がおすすめです。
まとめ
車で衝突事故に遭ったとき、フレーム部分に損傷を受けているのかどうかで、修理が出来るのか修理費用が高額になるのかは大きく分かれます。特に衝撃によってフレームに歪みが生じてしまったら、修理費用は高額になりやすく、修理をしたとしてもリスクが残ります。修理をするか廃車をするかで悩まれる方も多いでしょう。また、車をぱっと見て外見上おかしくなくても、衝突の後に違和感があれば、フレームが歪んでいる可能性もあります。走行中に不具合が生じると、二次被害として事故を起こしてしまうこともありますので、気になる部分があれば点検だけでも修理業者に確認してもらうことをおすすめします。