車のシートは、自分で掃除・洗浄することができます。ただし、シートの素材によって適した洗剤や手入れ方法が異なるため、どのシートでも同じ方法で洗えるわけではありません。
まずはシートの素材を確認し、掃除機や固く絞った布を使って、必要以上に水分を含ませないように汚れを落とすことが基本です。洗剤やシートクリーナーを使う場合は、製品の使用方法を確認し、目立たないところで試して変色やシミなどが起きないことを確認してから使いましょう。
自分では落としにくいシミがある場合や、シート内部まで汚れが染み込んでいる場合は、業者へ依頼する方法もあります。
本記事では、車のシートを業者に洗浄してもらう場合と、自分で洗浄する場合の違いや、自分で洗うときの手順、素材別の注意点について解説しています。まずはポイントを確認し、気になる部分から読み進めてみてください。
- 業者に依頼する場合:必要な道具を揃えたり、自分で作業したりする手間を省いてシートを洗浄できる
- 費用の目安:室内クリーニングは、車の大きさや作業内容によって4万~10万円前後
- 向いている人:自分で洗浄する時間がない人や、除菌・抗菌処理などを含めてしっかり綺麗にしたい人
- 自分で洗浄する場合:掃除機やシートクリーナーなどを用意すれば、業者に依頼するより費用を抑えて洗浄できる
- 費用の目安:掃除機や洗浄剤などを準備する場合は数千円程度
- 基本的な手順:汚れをかき出す→掃除機で吸い取る→固く絞った布などで汚れを落とす→乾拭きして十分に乾燥させる
- 洗浄後の注意点:水分が残るとシミやカビの原因になるため、十分に乾燥させる。晴れて風通しがよい場合は2~3時間程度が目安
車のシートを洗浄する方法①業者に頼む

車のシートを自分で洗浄するのが難しい場合は、専門業者に依頼する方法があります。
道具を自分でそろえたり、洗浄や乾燥のための時間を確保したりする必要がないため、手間をかけずにシートをきれいにしたい場合に向いています。
業者に依頼するメリット
業者にシート洗浄を依頼する大きなメリットは、自分で洗浄作業をする必要がないことです。
車内清掃やシートクリーニングを扱う店舗では、掃除機による清掃だけでなく、シートのシミや汚れに対応するメニューを用意している場合があります。飲み物や食べ物をこぼした汚れなど、自分で拭いても落とせない場合にも相談できます。
また、シートを濡らしたあとの乾燥まで含めて自分で作業する時間が取れない場合も、業者への依頼が選択肢になります。
ただし、対応できる汚れや作業内容は業者によって異なります。依頼する際は、シートの素材や汚れの種類を伝え、どのような方法で洗浄するのか確認しておきましょう。
業者に依頼する料金と確認ポイント
車のシート洗浄にかかる料金は、何席を洗うのか、汚れの程度、作業内容、店舗などによって変わります。
依頼前には、少なくとも次の点を確認しておきましょう。
- 料金は1席単位か、車内全体の料金か
- シミ抜きなどは基本料金に含まれるか
- シートの素材に対応しているか
- 汚れの状態によって追加料金が発生するか
カーネクスト編集部コメント
2026年9月に複数の専門店・整備事業者の料金を調査したところ、シート1席(1脚)のクリーニング料金は、4,500円~8,800円程度(税込)でした。ただし、シートの素材や大きさ、汚れの状態によって追加料金がかかる場合があります。また、車内全体のクリーニングを依頼する場合は料金体系が異なるため、依頼したい作業範囲を決めたうえで見積もりを確認しましょう。
シートだけではなく、フロアマットや内窓などを含めて車内全体をきれいにしたい場合は、車内クリーニングを依頼できる業者や方法も確認してみてください。
車のシートを洗浄する方法②自分で行う

軽い汚れや日常的な掃除であれば、車のシートは自分でも手入れできます。
ただし、重要なのは「シートをできるだけ濡らして洗う」ことではありません。掃除機でほこりや砂を取り除き、素材に合った方法で必要な部分だけを拭き取り、洗浄後に水分を残さないことが基本です。
Hondaの取扱説明書でも、車内の清掃では掃除機でほこりを取り除いたあと、中性洗剤を含ませて固く絞った布などを使い、最後に洗剤分を拭き取る方法が案内されています。また、室内に水をかけないよう注意されています。
出典:Honda「車内の清掃」
費用を抑えやすいのがメリット
自分でシートを洗浄するメリットは、業者へ依頼する場合と比べて費用を抑えやすいことです。
すでに掃除機や柔らかい布などを持っていれば、新たに必要になるのはシートクリーナーなどに限られることもあります。
ただし、洗剤やクロスなどは消耗品なので、一度道具をそろえればその後まったく費用がかからないわけではありません。また、無理に自分で落とそうとしてシートを傷めてしまっては意味がないため、自分で対応できる汚れかどうかを見極めることも大切です。
自分で洗浄する前にシートの素材を確認する
シートを洗浄する前に、まずシートの素材を確認してください。
車のシートには、ファブリックと呼ばれる布製のものだけでなく、本革や合成皮革などがあります。素材によって適した手入れ方法が異なるため、布シートと同じ方法を本革シートにもそのまま使うことはできません。
実際に自動車メーカーの取扱説明書でも、車内一般、本革、合成皮革などで手入れ方法が分けられています。たとえばトヨタの取扱説明書では、本革には本革用の手順、合成皮革には合成皮革用の手順がそれぞれ案内されています。
出典:トヨタ「内装の手入れ」
市販の洗剤やシートクリーナーを使うときは、まず製品表示で使用できる素材を確認します。そのうえで、シートの目立たないところに少量使い、変色やシミなどが起きないことを確認してから全体を洗浄すると安心です。
車の取扱説明書に使用できない洗剤や特別な手入れ方法が指定されている場合は、その内容を優先してください。
自分でシートを洗浄するときに使用する道具
シートを自分で洗浄するときは、次のような道具を用意します。
- 掃除機
- 柔らかい布やマイクロファイバークロス
- 乾拭き用のきれいな布
- シートの素材に使用できる洗剤やシートクリーナー
まず必要なのは掃除機です。シートの表面や縫い目には、砂やほこり、食べかすなどが入り込んでいます。最初から濡れた布で拭くのではなく、先にできるだけ乾いた汚れを取り除きます。
水拭きだけで落ちない汚れには、シートの素材に使える洗剤やシートクリーナーを使います。製品の説明を確認したうえで、最初に目立たない部分で試してから使用しましょう。
一方、重曹のように、車のシート全般に使えるとはいえないものもあります。Hondaは車内清掃について、酸性・アルカリ性の溶剤を使用しないよう案内しています。家庭にある洗剤や薬剤を使う場合も、シートを傷めないか確認せずに使用するのは避けましょう。

自分で車のシートを洗浄する手順
自分で車のシートを洗浄する場合は、いきなり洗剤や水を使うのではなく、まず乾いた汚れを取り除くところから始めます。
ここではファブリックシートを中心に、基本的な流れを確認します。
ファブリック(布)シートの基本的な洗浄手順
- 掃除機で砂やほこりを取り除く
- 固く絞った柔らかい布で汚れを拭く
- 必要に応じて洗剤やシートクリーナーで汚れを落とす
- 洗剤分と水分を拭き取り、十分に乾燥させる
まず、シート表面や縫い目に入り込んだほこり、砂、食べかすなどを掃除機で吸い取ります。
次に、水やぬるま湯を含ませて固く絞った柔らかい布で、汚れている部分を拭きます。シートへ直接水をかけたり、大量の水を染み込ませたりする方法は避けてください。
水拭きだけで落ちない場合は、ファブリックシートに使用できる洗剤やシートクリーナーを使います。まず目立たない場所で試し、変色やシミなどが起きないことを確認してから汚れている部分を洗浄しましょう。
洗剤を使用したあとは、真水を含ませて固く絞った別の布などで洗剤分を取り除きます。
最後に乾いた布で水分を拭き取り、シートが十分に乾くまで換気します。
Hondaも、掃除機でほこりを取り除いたあと、洗剤を含ませて固く絞った布で清掃し、その後に真水を含ませた布で洗剤分を落とす方法を案内しています。
本革・合皮シートは素材に合った方法で手入れする
本革や合皮のシートは、ファブリックシートと同じ方法で一律に洗浄しないでください。
たとえばHonda FITの取扱説明書では、本革について、ほこりを取り除いたあとに指定された濃度のウール用中性洗剤を使い、洗剤分と水分を拭き取って日陰で乾燥させる方法が案内されています。トヨタの取扱説明書でも、本革と合成皮革ではそれぞれ手入れ方法が分けられています。
ただし、ここで示されている洗剤の種類や濃度を、別の車にもそのまま適用することはできません。
本革・合皮シートを手入れするときは、次の点を基本にしてください。
- 素材に対応したクリーナーを選ぶ
- 目立たないところで試してから使う
- 強くこすらない
- 洗剤や水分を残さない
- 車の取扱説明書に指定がある場合はその方法を優先する
車のシートを洗浄するときの注意点

自分で車のシートを洗浄する場合は、「汚れを落とすこと」だけでなく、シートや車両を傷めないことも重要です。
特に、水分、洗剤、スチームクリーナー、シートの取り外しには注意してください。
洗浄後は水分を残さず十分に乾燥させる
シートを水拭きしたあとは、水分を残さず十分に乾燥させます。
乾燥に必要な時間は、シートの素材、使用した水分量、気温、湿度、風通しなどによって変わります。そのため、「晴れた日なら2~3時間」といった時間だけを目安にするのではなく、シートに水分が残っていないことを確認してください。
本革についても、Hondaやトヨタは、水分を拭き取ったあとに風通しのよい日陰で乾燥させる方法を案内しています。
洗浄後に湿気を残さないことは、シミや臭い、カビを防ぐうえでも重要です。車内にカビがすでに発生している場合は、車内にカビが発生する原因や対処方法も確認してください。
また、シートを掃除しても車内の臭いが残る場合は、フロアマット、エアコン、タバコ、食べ物など、シート以外に原因があることも考えられます。車内の臭いの原因と悪臭対策についても確認しておきましょう。
洗剤やスチームクリーナーは目立たないところで試してから使う
市販のシートクリーナーや洗剤を使う場合は、まず製品表示を確認し、シートの素材に使えるものを選びましょう。
使用できる素材であっても、実際のシートでは色や表面加工などによって仕上がりが変わることがあります。最初から広い範囲に使わず、目立たないところに少量使って、変色やシミ、風合いの変化などがないことを確認してから洗浄してください。
一方、自動車メーカーが使用を避けるよう案内している薬剤もあります。Hondaは、車内で酸性・アルカリ性の溶剤を使用しないことや、ケミカル類の成分によっては布材などに変色・シミ・ひび割れが生じる可能性があることを案内しています。
スチームクリーナーも同様です。高温の蒸気を使うからといって、すべてのシートに適しているわけではありません。
たとえばケルヒャーは、車内清掃にスチームクリーナーを使う方法を紹介する一方で、本革・合成皮革のシートには使用できないと案内しています。
スチームクリーナーを使う場合は、対象となるシート素材と使用する機器の説明を確認してください。
シートの丸洗いや取り外しは車種を確認して判断する
車のシートを車体から取り外し、水をかけて丸洗いする方法を見かけることがありますが、車種を確認せずに行う方法としてはおすすめできません。
Hondaの2026年式FITでは、フロントシートの背もたれ外側にサイドエアバッグが装備されており、サイドエアバッグを分解・取り外さないよう注意されています。また、車内清掃についても室内に水をかけないよう案内されています。
出典:Honda「サイドエアバッグ」、Honda「車内の清掃」
シート周辺には、車種によってエアバッグなどの安全装置が組み込まれています。そのため、シートの取り外しを前提とした丸洗いをしたい場合は、まず自分の車の取扱説明書を確認し、不明な場合は自動車メーカーの販売店や専門業者へ相談してください。
車のシートに血液汚れが付いた場合の対処
車のシートに血液が付いた場合は、時間を置かず、早めに対処することが重要です。
ただし、血液汚れだからといって、強い洗剤や漂白剤をすぐに使用するのは避けましょう。シートの素材を確認し、洗剤を使う場合は目立たないところで試してから使用します。
また、他人の血液や出所が分からない血液を処理する場合は、素手で触れず、使い捨て手袋を着用してください。
血液汚れは素材を確認して早めに対処する
血液にはタンパク質が含まれているため、高温のお湯を使うと汚れが固まって落ちにくくなります。
ライオンは衣類の血液汚れについて、40℃以上のお湯では血液中のタンパク質が固まり、落としにくくなると案内しています。別の製品Q&Aでも、血液汚れには30℃以下の水を使用するよう案内しています。
これは血液汚れそのものの性質についての情報です。衣類向けに案内されている漂白剤やつけ置き方法を、そのまま車のシートに使用することはできません。
ファブリックシートに血液が付いた場合は、高温のお湯を避け、きれいな布に水を含ませて固く絞り、できるだけ早く汚れを拭き取ります。
それだけでは落ちない場合は、ファブリックシートに使用できる洗剤やシートクリーナーを目立たない場所で試したうえで使用します。本革や合皮については、布シートと同じ処置をせず、それぞれの素材に合った方法で手入れしてください。
自分で落とせない血液汚れは業者への依頼を検討する
時間が経過した血液汚れや、シートの奥まで染み込んだ汚れは、自分で拭くだけでは落とせないことがあります。
強い洗剤を追加したり、大量の水で洗ったりして無理に落とそうとすると、シートにシミや変色が生じる可能性があります。
早めに拭き取っても跡が残る場合や、洗浄を続けることでシートを傷めそうな場合は、シートクリーニングを扱う専門業者へ相談しましょう。
車のシートを洗浄する方法のよくあるご質問
車のシートを自分で洗浄するときによくある疑問についてお答えします。
Q.車のシートは何で洗えばいい?
A.まず掃除機で砂やほこりを取り除き、水やぬるま湯を含ませて固く絞った柔らかい布で拭くのが基本です。
水拭きで落ちない場合は、シートの素材に対応した洗剤やシートクリーナーを使います。いきなり汚れ全体に使わず、目立たない場所で試して、変色やシミなどが起きないことを確認してから洗浄しましょう。
重曹、漂白剤、アルカリ性・酸性の洗剤などを、すべての車のシートに共通する洗浄剤として使うことはおすすめできません。
Q.車のシートは丸洗いできる?
A.車種を確認せず、シートを取り外して水をかけて丸洗いする方法はおすすめできません。
車種によってはシートにサイドエアバッグなどの安全装置が組み込まれています。また、自動車メーカーが室内に水をかけないよう注意している車種もあります。
丸洗いやシートの取り外しをしたい場合は、取扱説明書を確認し、不明な場合は販売店や専門業者へ相談してください。
Q.スチームクリーナーは車のシートに使える?
A.シートの素材とスチームクリーナーの製品によって異なります。
スチームクリーナーを使える布シートもありますが、本革や合皮など、使用できない素材もあります。実際にケルヒャーは、同社の車内清掃方法で本革・合成皮革のシートには使用できないと案内しています。
使用する前に、シートの素材とスチームクリーナー側の使用条件を確認してください。
まとめ
車のシートを洗浄する方法には、業者に依頼する方法と自分で行う方法があります。
軽い汚れや日常的な掃除であれば、自分でも対応できます。まず掃除機で砂やほこりを取り除き、シートの素材に合った方法で汚れを落としましょう。
洗剤やシートクリーナーを使う場合は、製品表示を確認したうえで、目立たないところで試してから使用することが大切です。
一方、落ちないシミがある場合や、シート内部まで汚れが染み込んでいる場合、適切な洗浄方法がわからない場合は業者への依頼が適しています。
特に本革・合皮、血液などのシミ、スチームクリーナーの使用、シートの丸洗いについては、素材や車種に合った方法を選びましょう。







