自動車保険の中断証明書の存在をご存知でしょうか?車を廃車にした後、任意の自動車保険は自賠責保険と同じく解約するしかないと思い込んでいる人も少なくありませんが、「中断」という方法で保険のノンフリート等級を一定期間保存しておくことができます。
ただし中断を行うためには、一定の要件をクリアし、さらに自分でその申請と手続きをしなければなりません。ここでは、廃車にするなら知っておきたいお得な中断と、中断証明書を使った保険の再契約について詳しく解説します。
廃車する際の中断証明書とは?発行の手続きや期間
中断証明書とは、自動車の任意保険契約を中断したことを証明する証書のことです。任意で加入する自動車保険はさまざまな保険会社で取り扱っていますが、どこの保険会社でも、保険を解約せずに中断することができます。
なぜ解約せずに中断するのかといえば、「そのほうがお得だから」の一言に尽きます。例えば現在の保険契約のノンフリート等級が17だったとき、これを解約してしまうと積み上げてきた等級の割引がなくなってしまいますよね。
自動車保険は全社共通で新規加入時には6または7等級(複数台割引使用時)から始まります。無事故であれば毎年1等級ずつ上がり、最大で20等級まで積み上げていくことができます。もし6等級で加入したのであれば、20等級まで最短でも14年の年月を要するわけです。途中で事故を起こした場合には等級が1~3下がりますので、20等級になるまでさらに年数を要します。
無事故で20等級になると、自動車保険の保険料は6割ほど割引されます。途中で事故を起こしてしまった場合でも、4割程度割引されます。この等級を解約によってなくしてしまうのはとても惜しいですよね。廃車にするときは、その前に保険会社に連絡し「中断したい」旨を伝え、廃車後に手続きを行いましょう。
中断について
ただし、いくら中断したくても等級が7等級未満の場合には中断できません。先ほども少し触れましたが、自動車保険は必ず6または7等級から始まります。7等級以上の契約でなければ、中断するメリットがないため7等級未満の保険契約は中断できません。
次に、中断する日までに車が廃車になっていることが条件となります。廃車にする前に中断することはできません(譲渡による中断の場合には中断する日までに譲渡されていること)。
また、契約を中断した後、中断状態は永久に続くわけではありません。保険会社によって期間は異なりますが、最大でも中断の有効期間は10年間となっています。
中断の手続き
中断証明書を発行する際には、中断する自動車保険の証券、中断証明書の発行依頼書、契約車両の廃車や譲渡が確認できる書類、印鑑、本人確認書類が必要です。廃車を証明できる書類には一時抹消登録証明書や登録事項等証明書が利用できます。
※カーネクストにお申し込みの場合は、廃車証明書の発行も無料で代行する事が可能ですので、ご安心ください(廃車完了後に発行の申請を行えるメールをお送りいたします。)
自動車保険の証券を紛失してしまっている場合には、加入している保険会社へ相談しましょう。再発行せずに手続きしてもらえます。また、中断証明書の発行依頼書は保険会社によって様式が異なります。窓口で受け取り、必要事項に記入し提出しましょう。
印鑑や本人確認書類は念のため手続き時に持って行ったほうがいいでしょう。保険会社によっては必要ない場合もあるかもしれませんが、本人確認書類のコピーを取りたい、依頼書に押印してほしいといわれることがあります。それぞれ運転免許証と認印があれば大丈夫です。
中断証明書を利用して新しく車の保険を契約するには?
こうして発行してもらった中断証明書は、期間内であれば新しい自動車保険の契約時に等級だけ引き継いで利用することができます。ただし中断証明書を利用するためにはいくつかの条件を満たさなければいけません。詳しくみていきましょう。
中断証明書を利用するための条件
中断証明書を利用して新しく保険を契約するためには、大前提として証明書の有効期間内である必要があります。次に新しく車を購入してから1ヵ月~1年以内でなければいけません。この期間は保険会社によって異なりますので、中断する際にあらかじめ聞いておくといいでしょう。
新しく車を購入したとき、上記のことから自動車保険への加入が遅れてしまうとせっかくの中断証明書が利用できないことがあります。購入が決まったらすぐに保険会社へ連絡しておくと安心です。
また、中断の前後で記名被保険者が同一(もしくは同居親族や配偶者)でなければいけません。自動車保険の被保険者とは、車を主に利用する人のことをいいます。契約者が父親で記名被保険者が息子、というように使い分けている方もいるでしょう。この点には十分注意してください。
最後に、中断の前後で車の用途・車種区分が同一という条件もあります。乗用車の契約を中断したのであれば、再契約時も乗用車でなければいけません。用途と車種区分が同じかどうか、不安な場合には事前に再契約する保険会社に問い合わせてみましょう。
中断からの再開手順
中断した保険を再開するときには、中断証明書と加入する車の車検証、自賠責保険証、印鑑、免許証等の本人確認書類が必要です。これらを持って、保険代理店や保険会社の窓口で再開手続きを行いましょう。
中断証明書は中断した保険会社以外でも利用できます。例えばA社で発行した中断証明書を持ってB社の自動車保険に加入することも可能です。
中断から再開するときには、代理店や保険会社の窓口に直接赴く方法以外にも、ネットからの申し込みもできます。ネットから自動車保険の申し込みができるダイレクト自動車保険の会社では、中断からの再開もネット上で手続きが完了するものがあります。
ネットからの再開申し込みは保険会社によって対応が変わるので注意してください。「自社の中断証明書に限る」会社と「自社・他社問わない」会社がありますので、申し込みの前にきちんと確認しておきましょう。
廃車の際に保険を解約ではなく「中断」するメリット
自動車保険を解約ではなく中断するのは、このように少し手間と時間がかかります。しかしそれでも解約ではなく中断を選ぶのは、中断に大きなメリットがあるからです。
自動車保険の等級を守る
せっかく大事に積み上げてきた保険の等級も、解約してしまえばまた最初の状態に戻ってしまいます。特に等級が10以上になっている方は、解約してしまうと大きな損失となります。無事故で20等級になると、自動車保険の保険料は6割ほど安くなります。等級が高い方は、中断して等級を守りましょう。
保険会社を変えても引き継ぎができる
中断証明書は中断した保険会社以外でも利用できます。「次の保険会社をどこにするか決めていないから解約しかできない」わけではありません。中断している間に魅力的な保険ができたら、そちらに乗り換えて再開できるのです。
中断証明書は家族でも引き継ぐことが可能
中断証明書は同居している家族が利用することもできます。つまり、自分に車を買う予定がなくても、家族に車を買う予定があれば中断しておいたほうがお得ということです。
10年以内に車を買う予定がないから解約したのに、3年後に同居している息子が車を買うことになってしまった。こんなとき、「あの保険を中断していればなぁ」と後悔してしまうでしょう。
中断の有効期間は最長10年とかなり長いです。この間に心づもりや家庭環境が変化することもありますから、念のために中断しておいて損はないはずです。
等級が上がれば上がるほど保険料は割引になります。中断証明書の発行には手数料もかかりませんし、中断してもデメリットはありません。車を廃車にするときには、保険は中断が基本です。
廃車の際に発行した中断証明書をなくしてしまった!再発行は可能?
中断証明書は有効期間が長いため、再開するまでの間に紛失してしまう方も少なくありません。そんなときには保険会社に依頼して中断証明書を再発行してもらいましょう。
中断証明書の再発行
中断証明書の再発行は、中断を行った保険会社でしかできません。もし中断した保険会社と別の保険会社で契約を再開する場合には、もともとの保険会社で再発行をしてから再開手続きを行う必要があります。
中断証明書の有効期間内であれば、いつでも再発行は可能です。ただし、中断契約時の住所や車の登録番号がなければ再発行できないので注意しましょう。
また、再発行にはある程度の時間を要します。長ければ再発行までに2週間ほどの時間を要することもありますので、中断証明書を紛失してしまった場合には早めに再発行手続きを行いましょう。
中断証明書の再発行で注意しておきたいのが、「再発行しても有効期限は変わらない」という点です。あくまでも最初の発行時点から10年間が有効期限となりますので、期限を延長するための再発行はできません。
再発行の必要がないこともある
契約を中断した保険会社で契約を再開する場合には、中断証明書を再発行する必要がないこともあります。保険会社でこちらが中断をしたという情報が残っていれば、再発行せずそのまま契約再開の手続きを行ってくれるでしょう。
まとめ
車を廃車にしたときには、忘れず自動車保険の中断を行いましょう。中断をすることでこれまで積み上げてきた等級を守ることができます。しかも中断によって保存した等級は、自分だけではなく同居の家族へと引き継ぐことも可能です。
これから子どもが成人する方、配偶者に車が必要になるかもしれないという方は、中断しておいて損はありません。中断証明書の有効期限は10年間と長いため、途中で証明書を紛失してしまう方もいるかもしれませんが、そんなときはすぐに保険会社に連絡し、中断証明書を再発行してもらいましょう。
自動車保険を中断するためには廃車証明書が必要となります。廃車買取業者に廃車依頼をしたときには、廃車証明書を忘れず受け取ってください。自動車保険の中断が少し面倒だな、と感じる方は、廃車に関する手続きでも丁寧なフォローをしてくれる廃車買取カーネクストに相談してみてはいかがでしょうか。