並行輸入車とは、海外で生産される外国産車を国内直営の正規代理店から購入するのではなく、海外直営店で販売されている外国産車を並行輸入業者が購入し国内に輸入後、販売された外国産車のことです。
並行輸入車はもともと日本国内では購入が出来ない車種を販売していることが多く、国内に正規代理店がない自動車メーカーの車が走行していたら、並行輸入車である可能性が高くなります。
3月の自動車税の切り替えに伴い、並行輸入車を所有している方で車の売却を考えている方は、並行輸入車の買取相場や、売るときに並行輸入車である点が不利になるのか、それとも有利になるのか気になりますよね。
こちらでは並行輸入車の買取について詳しくご紹介します。
並行輸入車とは
外国産車の自動車メーカーで、日本国内に多数の正規代理店があるメルセデスベンツや、BMWなどは、国内の正規代理店で正規輸入車を購入されている方も多いと思います。
ところが日本から2016年に撤退してしまったフォードや、2010年をもって日本での乗用車販売を終了した現代自動車(ヒュンダイ)は、アフターサービスはいまだ続いているものの、正規輸入車を新車で購入する方法が国内では現状できません。
このように国内で購入出来ない車でも、並行輸入業者によって購入することが出来るため、珍しい車に乗りたい、外国産車のデザインが好みというドライバーから、並行輸入車は人気が高いのです。
並行輸入車の購入方法
並行輸入車を手に入れるには、海外の直営店での買い付けを行い輸入するルートを持つ輸入業者から、車の購入をすることになります。
注意する点は、海外で販売されている状態の車はそのままの状態では日本の保安基準に通らない場合があることです。
日本の保安基準に通らなければ車検を通すことが出来ず、公道の走行が出来ません。
そのため、並行輸入業者で整備や国内向けの改良を行い、車検登録までを任せることが出来るかどうかの確認が必要です。並行輸入車は、海外直営店から買付けて輸入するため、国内の正規代理店よりもレート次第では安く購入できることもありますが、車両本体価格だけでなく、輸送費・車検登録のための改良や整備費も別途かかりますので、総計の見積もりをとってから購入を決めることが大切です。
並行輸入?日本未発売の人気外国産車
外国産車やレア車、外国産車特有のボディカラーやパワフルなエンジン搭載の車が好きな方は、並行輸入車の購入を悩まれる方もいらっしゃるでしょう。こちらでは、日本未発売ではあるものの人気の高い外国産車をご紹介します。
フォード・マスタング
フォード・モーターが2015年モデルとして発表したフォードマスタングの7代目モデルは、フォードジャパンが2016年に撤退したことにより、正規輸入車の購入は出来なくなりました。ただし、以前よりフォードを取り扱っていた輸入車ディーラーが並行輸入を行うことで、7代目マスタングの購入が可能になっています。7代目モデルは2017年からV型8気筒エンジンが登場し、アメ車のパワフルな走りが好みという方から人気の車種となっています。
日産・フロンティア
北米日産自動車(US-NISSAN)で販売されていて、日本国内では未発売のピックアップトラックであるフロンティアは、逆輸入(並行輸入)であれば購入が可能です。フロンティアは1997年に日本国外向けの車として初代が登場し、現在も日本では未発売のままではありますが、2020年にもモデル進化を行い、さらに海外で人気が高くなっています。
並行輸入車は高く買取ってもらえるのか
並行輸入車は一般的には国内未発売の車種も多く、希少車種であるため手に入れるために高い費用をかけた方も多いと思います。では、その車をいざ売却する時も高い査定金額で売却出来るのでしょうか。また正規輸入車と並行輸入車を比べると、どちらが買取は高くなるのか。こちらで解説します。
並行輸入車の希少車種は高く売れるのか
並行輸入車のなかでも特に日本国内未発売の希少車種は高く売れるのでしょうか。
これは買取業者次第であるため、業者選びが大きなポイントになってきます。
日本国内には多くの中古車販売店があります。大手の全国展開をしているお店もあれば、街の車屋さんといった地域密着型の店舗もあります。
買取から整備後、すぐに次のユーザーがほしがっている車であれば、どのお店でも高く買い取るでしょう。それは、次のユーザーに販売できるため在庫リスクがないこと、また探している顧客がいる時点で販売できる再販価格が決まっているからです。
ところが、次の販路がない場合希少車種であっても在庫リスクはあります。特に並行輸入車はメンテナンスの問題や維持費がかかることもあり、購入する人は限られているからです。
並行車を海外へさらに輸出し販売する中古車ルートを持っていたり、外国産車の販売に強く顧客を多く持っているお店であれば希少車種で、特に日本使用ではない左ハンドル車は買取が高くなりやすいでしょう。
正規輸入車と並行輸入車の買取相場の差は
正規輸入車は、国内の正規ディーラー販売のもと国内仕様車として販売されているため、基本的には国内自動車メーカーの買取と大きな差はありません。そのため、走行距離が多い、多走行車などは国産車の中古車買取相場と同じ査定になります。
年式10年落ち、走行距離10万kmを越えていると中古車販売価値は大きく下がるため、あまり買い取りに期待できません。
ただし同年式であっても、並行輸入の左ハンドル車であれば価値は変わってきます。
買取後海外輸出を行い中古車として海外では再販がしやすかったり、修理用パーツとして並行輸入車に対応できるものが少ないため、部品価値があるなど付属する価値があるためです。需要がある業者にとっては、価値が高い車となるのが並行輸入車ですので、もしも売却を考えるなら複数の業者に見積もりをとって、正しい査定が出る業者を確認するべきでしょう。
カーネクストでの並行輸入車の買取実績
カーネクストが2020年までに買取りをおこなった、並行輸入車の買取実績をこちらでご紹介します。
並行輸入車買取実績|インフィニティ
車名:インフィニティ・FX35
年式:H18
走行距離:約110,000km
車両状態:エンジン良好・オイル漏れあり・外装に擦り傷あり
買取金額:100,000円
日産自動車が日本国外で展開するブランド、インフィニティから販売されているクロスオーバーSUVのインフィニティFX初代モデルです。日本の神奈川県にある日産車体で生産された車両がアメリカやカナダへと輸出され販売を開始し、現在は車名がFXからQXへと変更されています。現在も日本国内では正規販売の取り扱いがない車種のため、珍しいお車となっています。今回は車に不調が出てきたためのお乗り換えで廃車されるとのことでご依頼をいただき、お買取りさせていただきました。
並行輸入車買取実績|ランチア
車名:ランチア・イプシロン
年式:H19
走行距離:約62,000km
車両状態:走行可能・ドライブシャフトのゴムが切れている・えくぼヘコミ
買取金額:75,000円
イタリアの自動車製造メーカーランチアのプレミアムコンパクトカーであるイプシロンは、2012年(平成24年)11月よりフィアットクライスラージャパンによって日本市場向けのクライスラー・イプシロンを発表しています。日本仕様車はヘッドレストやシートベルトの追加があり乗員定数5人でしたが、こちらの買取させていただいたランチア版は乗員定数4人となっています。車検が通らず抹消された状態で保管されていましたが、修理をしないとのことで廃車のご依頼をいただきました。
まとめ
並行輸入車は、日本未発売の車種に乗ることが出来るという大きなメリットがあります。ただし、日ごろのメンテナンスや、事故や故障によって損傷があったときに対応が可能な整備工場が全国的にみても少なかったり、正規ディーラーに持込をしても診断機が対応していないため修理をしてもらえないことがあります。
そのため、修理費用が高くなりやすく維持費がネックになり手放してしまう方もいるようです。デメリットを理解して、購入前にメンテナンスやアフターサービスについても並行輸入業者に確認しておくと安心して乗り続けることが出来ますし、国内では販売されていないボディカラーやオプションが選択できるため価値はもちろんあります。
また、並行輸入車を売るときには、並行輸入車の再販路に強い買取業者を選ぶことで買い取り価格が正規輸入以上の買取価格になることもあります。
海外への販路があること、希少車の価値を理解して買取が出来る業者かどうかなど、余裕をもった見積もりをとることで、正しい査定価格の確認が出来ます。
3月は廃車や車の売却をする方が多いため、車買取業者も込み合う可能性が高くなります。見積もりや査定を複数の業者に依頼するなら2月中にとることをおすすめします。