事故などで車を廃車にしなければならなくなった場合、自動車保険はどうなるのかご存知でしょうか。自動車保険料は解約すれば支払った保険料が返ってきますが、解約の手続きを行わなければ返ってきません。
また、自賠責保険の場合は解約すればいいですが、任意保険の場合には解約ではなく中断するという方法もあります。
そんな廃車の際の自動車保険について説明していきます。
車を廃車にする場合、自動車保険はどうなる?
車を廃車にする場合、それまでに支払っていた自動車保険の保険料はどうなるのでしょうか。
自賠責保険の場合
自賠責保険の場合、すでに支払っている保険料は返ってきます。ただし、自賠責保険が1カ月以上残っている場合のみの適用です。
自動車税については自動的に還付されますが、自賠責保険の保険料を還付してもらうには、自分で還付の手続きを行う必要があります。そのため、自分が還付の手続きを行わなければ、保険料は返ってきません。忘れずに手続きを行いましょう。
自賠責保険の金額がいくら返ってくるかは、保険料を払った月数(24ヵ月)で割り、残っている月数を掛ければ、計算で金額を出すことが可能です。新車で車検まで3年ある場合は、保険料の月数は36カ月となります。いくら戻ってくるのか気になる場合は、計算してみましょう。
任意保険の場合
任意保険の場合も、年払いで保険料を払っている場合には保険料が戻ってくる場合がほとんどです。ですが、自賠責保険を同じく、自分で保険会社に連絡して自分で任意保険をやめなければなりません。
任意保険がいくら返ってくるかは、加入している保険会社によって異なります。それは、計算方法が保険会社によって異なるため。ですが、一般的には支払った保険料に「短期率」という割合を掛けた金額を返す場合も多いです。
車の任意保険はたいていの場合、1年満期の保険です。短期料率とは、保険に加入して何ヵ月で保険をやめたかによって、変わる割合のこと。加入していた期間が短ければ短いほど、掛ける短期料率の割合も低くなります。そのため、もらうことができる金額も少なくなるのです。
保険会社によって、短期料率を取り入れているのかどうかは異なります、一度問い合わせてみるといいでしょう。
自賠責保険はどうやって解約する?
廃車をし、自賠責保険の解約を行う際には、いくつかの書類が必要になります。その中でも、陸運局に交付請求する必要があるのが、「登録事項等証明書」。廃車手続きの後、決められた様式に「自動車登録番号か車台番号」や「請求理由」と記入し、本人確認書類を提出すれば、近くの「運輸支局」や「自動車検査登録事務所」で交付してもらえます。
➡廃車手続きの方法や流れについて詳しくはこちら
廃車にする車が軽自動車の場合は、登録事項等証明書は「軽自動車検査協会」か「全国軽自動車協会連合会」で交付してもらえます。普通自動車と軽自動車では、同じ書類でも交付してもらう場所が異なるため、注意しておきましょう。
登録事項等証明書の交付が完了すれば、あとは他の書類を揃えて保険会社に解約しに行くだけ。必要な書類は以下の3つです。
- 解約事由の確認書類(登録事項等証明書)
- 自賠責保険承認請求書
- 自賠責保険証明書
これに印鑑と身分証明書、返ってくる保険料の振込先がわかるものを持って保険会社に行きましょう。
実は、解約事由の確認書類は登録事項等証明書でなくても、「解除事由証明書」などでも構いません。ですが、登録事項等証明書があれば手続きができるため、登録事項等証明書が必要だと覚えておけば大丈夫です。
自賠責保険解約の手続きが終われば、数日後には保険料が振り込まれます。保険料が振り込まれれば、自賠責保険解約の手続きは完了です。
ただ、還付される基準となる日については注意が必要です。というのも、自賠責保険料が変換される日の基準になるのは、廃車をする際の抹消登録を行った日ではなく、保険会社と解約の手続きを行った日。
そのため、抹消登録を行ったからといって、自賠責保険解約の手続きが遅れてしまうと、その分返ってくる保険料も少なくなります。抹消登録をして安心するのではなく、廃車にしたらすぐに保険会社に自賠責保険の解約を申し込むようにしましょう。
また、任意保険の解約の際には、等級を気にしなければなりませんが、自賠責保険には等級がありません。そのため、廃車にする際には中断という選択肢はなく行うことができるのは解約という方法のみです。
任意保険は解約する必要はある?
任意保険は、車が公道を走らないのであれば必要ない保険です。そのため、入院や長期の海外出張などで車を保有しているだけという場合には、任意保険を解約してしまって構いません。保険料を返してほしい場合には、任意保険の解約を行いましょう。
廃車には実は2つの方法があります。「永久抹消登録」と「一時抹消登録」です。
永久抹消登録は、車を解体業者にお願いし解体してもらう場合など、今後その車を二度と使わない場合に使う方法です。一時抹消登録とは、入院や長期の海外出張といった理由で車を保有しているものの使用しない期間が多く一時的に登録を抹消するやり方。どちらの場合も任意保険は解約しても大丈夫です。加入している必要を感じなければ、解約しておくのも1つの方法です。
永久抹消登録で車を買いたい業者に持ち込む場合には、任意保険を解約するタイミングに注意が必要です。車を解体業者に持ち込むのか引き取りに来てもらうのかによって、任意保険を解約するタイミングを変えるといいでしょう。
解体業者まで自分で運転していく場合には、任意保険は解体業者に持ち込むまで解約しないようにします。解体業者に着くまでの公道で事故をしない可能性がゼロとはいえないため。公道を運転する場合には、必ず任意保険がある状態で運転しましょう。
車を持ち込むのではなく引き取りにきてもらう場合は、自分で運転するわけではないため、任意保険を早めに解約しても大丈夫です。忘れないようにあらかじめ解約しておいてもよいでしょう。
また、任意保険には、解約をする場合にはあらかじめ解約する日にちを指定しておく「先付け解約」という便利な制度もあります。そのような制度を使うと解約し忘れたということがないためおすすめです。
自動車保険を解約せずに別の車に補償は移せる?
任意保険にはノンフリート等級というものがあり、事故がなければ1年間で1つずつ等級が上がっていきます。等級が上がっていくと、任意保険料の割引率も高くなるため、保険料もお得になっていき、安くなるのです。
そんな等級は、車を廃車にして保険を解約してしまうと、再度任意保険に加入した場合に低い等級から再び始めなくてはなりません。そのため、ある程度の期間車を購入する予定がない場合にも、任意保険を解約するのではなく、中断という手続きをしておくのがおすすめです。
任意保険を中断する場合には、「中断証明申請」という手続きを行っておく必要があります。中断証明申請を行っておけば、任意保険の等級をそのまま引き継ぐことができるため、保険料が割高になりません。また、最長10年は中断しておくことができる制度です。環境の変化などで再び車を所有する可能性もあります。とりあえず中断しておくのも、1つの方法です。
車を廃車にしてからすぐに新車に買い替える場合には、新しい車に保険を移し替えるという方法も可能です。その際には、「車両入替申請」という手続きを行う必要があります。車両入替申請を行えば、前の車の保険内容をそのまま引き継ぐことが可能なためとてもお得です。また、普通自動車から軽自動車に保険を移すこともできます。
保険は車に掛かっているもの。そのため、保険の対象となる車が変わった際には、必ず保険会社に連絡し、必要な手続きを行うようにしましょう。
まとめ
廃車にした際、自賠責保険も任意保険も手続きを忘れないことがとても重要です。自分が行わなければ、誰も行ってはくれません。様々な手続きを忘れずに行い、保険料を無駄にしないようにしましょう。