ドリフト車は、「ドリフト」というドライビングテクニックのために改造された車です。
日本では根強い人気を誇りますが、査定ではどのように評価されるのでしょうか。その特徴や魅力について紹介します。
「ドリフト」って何?どんな運転方法なの?
ドリフトは車を横滑りさせる運転方法です。「ドリフト(drift)」には漂う、流される、彷徨うなどの意味があります。本来カーブやコーナーを曲がるときは、安全のために手前で減速してハンドルを切らなければいけません。ドリフトなら素早く車の向きを変えられるので、スピードを落とさずにカーブやコーナーを通過できるのが魅力です。
日本では人気レーシングドライバー土屋圭市さんのテクニックとして知られたのが最初です。80年代には一般道や空地でドリフトする「ドリフト族」が出現するほどのブームになりました。90年代にはドリフトをテーマにした漫画「頭文字D(イニシャル・ディー)」がベストセラーになっています。
ただしドリフトはコース外に飛び出す危険があり事故も多発したため、警察の取り締まりが厳しくなりました。運転方法によっては道路交通法の違反になったり、器物損壊罪に問われたりする恐れがあります。
そこで近年では実践の場をサーキットに移し、ドリフトだけを楽しむスタイルに変化しました。全国各地にドリフトを許可しているサーキットがあり、愛好家がドリフト用に改造した車を引っ提げてテクニックを磨いています。ドリフトの迫力や美しさを競う「D1グランプリ(全日本プロドリフト選手権)」などの大会も人気です。
日本で独自の進化を遂げたドリフトは、インターネットを通して海外にも広がり、サーキットや大会でも外国人の姿が見られるようになりました。福島の「エビスサーキット」ではプロの運転による「ドリフトタクシー」というサービスがあり、自分で運転しなくてもドリフトを安全に体験できます。
ドリフトするにはハンドルやアクセル、クラッチ、サイドブレーキをタイミングよく操作しなければいけません。それさえできれば普通の車でも可能ですが、コツを掴むのは難しいものです。そこで多くのドライバーは、ドリフトしやすいように車を改造します。
もっともドリフトは車に大きな負担をかけ、特にタイヤやシャフト、トランスミッションあたりを傷めてしまいます。ときには1回の走行でタイヤが破裂するくらいです。またドリフト中に他の車と衝突したり、炎上したりする場合もあります。そのため、ドライバーの中には廃車同然の車をドリフト車にして楽しむ人もいるほどの徹底ぶりです。
FR?MT?ドリフトにはどんな車が使われるの?
先述のとおり、ドライビングテクニックだけでドリフトするのは難しいので、車をドリフト用に改造するのが主流です。
ベースとなる車はFR(後輪駆動)のMT(マニュアル)のターボ車です。コンパクトで車体が軽い車も向いています。FFやMR、RR、4WD、さらにAT(オートマチック)車でも可能ですが、使えるテクニックが制限され難易度も高まります。
車種でいえば日産のシルビアやスカイライン、トヨタのマークIIやスープラ、マツダのRX-7やRX-8あたりが人気です。「頭文字D」の主人公が操作していた、トヨタのスプリンタートレノ「AE86型」も根強く支持されています。
ただし現在ではすべて生産が終了しているため、中古でしか入手できません。年式も古いため状態の良い中古を探すのは一苦労です。AE86型の後継にあたるトヨタの「86」(またはスバルの「BRZ」)なら新車で購入できます。
これらをドリフト車に改造するには、いくつかのパーツを追加します。例えば「機械式LSD」です。LSDとは「Limited Slip Differential」の略で、「リミテッド・スリップ・デフ」とも呼ばれています。いわゆる「差動」を制限する装置です。
車はカーブやコーナーで曲がるとき、内側と外側で車輪の動く距離が異なります。両方とも同じように動いてしまうと曲がりづらくなってしまうので、差動装置をつけて曲がり方に合わせながら内側と外側で適した動きができるようになっているのです。
ところが速度が上がるほど内側の車輪が宙に浮いて空転するため、差動によって外側の車輪も駆動力が低下して前に進みづらくなります。そこでLSDを搭載して差動を制限し、スピードを落とさずに車体を曲げやすくするわけです。
86やBRZには標準でLSD(トルクセンシング型)が搭載されていますが、ドリフトをするなら機械式のLSD(多板クラッチ型)が最適です。
他にも「車高調」という機能があると、ドリフト時は簡単に車高を下げられます。さらにハンドルの切れ角を上げて移動量を増やせば、タイヤも切りやすくなるでしょう。ナックルを加工して、ハンドルの切れ角はそのままに移動量だけ増やせる改造もあります。
これらの改造を施したドリフト車は、そのままだと車検には通らないかもしれません。保安基準を満たしていれば「構造変更申請」によって車検に通りますが、そうでなければ車検のたびに元へ戻す必要があります。機械式LSDの取り外しやナックルの再調整などを自力で行うのは難しいでしょう。
車検に通らないドリフト車は公道を走れません。そのためドライバーはサーキットまでレッカー車で運んだり、普通の車をサーキットに到着してからドリフト用にセッティングしたりするなどの対策をしています。廃車同然の車もレッカー車なら安全に運べるでしょう。
ドリフト車は廃車同然でも高値がつくって本当?
ドリフト車は各パーツにかかる負担が大きく、クラッシュする確率も高いため、一般的な車の利用に比べると寿命は短くなります。ドリフト車を買い取ってもらうにしても、改造しているため基本的に査定での評価は低めです。
たとえ改造したパーツを外して元通りにしても、査定のアップがそのための工賃を上回る可能性はほとんどありません。ただでさえドリフト車はベースとなる車の年式が古く、査定では不利です。ディーラーの下取りや中古車販売業者の買取は断られてしまうでしょう。
ただし、そんなドリフト車でも一定の需要はあります。なぜならベースとなる車が入手困難だからです。また新たにドリフトを始めるドライバーにとっては、改造費を節約できます。万が一、ドリフトに失敗して車が破損しても懐の痛みは少ないでしょう。ドリフト車を専門にしている業者なら、高く買い取ってくれるかもしれません。
特に廃車買取業者のカーネクストでは、ドリフト車が動かないときのレッカー代や解体の費用が無料です。ドリフト車はクラッシュで自走不能になったり、車検に通らず公道を走れなかったりするので、無料でレッカーしてくれるのはとても助かります。廃車するための手続きも代行してくれて手数料もかかりません。
ドリフト車として再販できなくても、パーツとして再利用できたり、スクラップに買値がついたりするので、容易に利益を出せるのです。
廃車にすると残月数によって自動車税や自動車重量税、自賠責保険料が戻ってきます。さらに買取額もつけば、これらの費用で新たなドリフト車を購入できるでしょう。
まとめ
かつてブームになり社会問題にもなったドリフトも、最近ではサーキットで楽しむのが主流です。モータースポーツの一環として大会も開催されています。FRやMT車などドリフトに適した車を改造するのも盛んです。その代わり壊れやすいというデメリットがあり、査定の評価も概ね低めです。
カーネクストでは、公道を走れなかったり、自走できなかったりするドリフト車でも廃車買取しております。レッカー代はもちろん解体や手続きの代行にかかる費用も無料です。処分にお困りの際には、ぜひともご相談ください。