車体番号や車の製造年、所有者の名義人などを記載した車検証は、いわば車の身分証明書です。廃車や車の売却に車検証は必要不可欠です。その大切な車検証を紛失してしまった時、廃車は出来るのでしょうか。
車を利用する機会がなくなったり、故障して動かない、車検が切れて不要になった場合、使用されなくなった車の車検証の扱いは雑になってしまう方も少なくありません。
車検証を紛失してしまったことで、車検証の登録情報がわからなくなり、記憶と登録内容がずれてしまうことで住所が食い違ったりすると、廃車手続きがスムーズに進まないこともあります。車検証紛失がもとで廃車手続きができない!とあせらないために、車検証紛失などのトラブル解決法をご紹介します。
※カーネクストをご利用の場合は車検証を紛失されていても廃車手続きは可能です。
車検証がなくても廃車にする方法
車は便利な乗り物ですが、価値のある財産の一つ。
どんな経緯で作られ、誰の物なのかを証明するために、車と「自動車検査証」は必ずセットになっています。一般的に「車検証」と称されるこの書類は、車にとって必要不可欠な書面。
自動車保安基準への適合も証明しているため、車を運転する際は必ず車検証を携帯する必要があります。特に車検証不携帯のまま運行してしまうと道路運送車両法違反となってしまうため罰金が科せられることになるので注意が必要です。
もちろん車の売買や廃車の際には、車検証なくして手続きはできません。
特に車の売却を考える方は車検証に記載されている情報は見積もりや査定時に必ず必要になりますので、もしも車検証を紛失してしまっていたら売却しづらくなってしまうことも。
普段なら車のダッシュボードに入れて保管している方が多いのですが、人間はどうしても「不要」と判断すると、保管がおろそかになってしまいがち。車の処分を検討するために一旦取り出した車検証を、そのまま紛失してしまう人は意外と多いのです。特に車検切れの車や、事故や故障で動かなくなり運行することがなくなった車が車検証携帯の義務感も薄れてしまいます。
いざ廃車を進めようとして、車検証の情報を伝えるために車内を見てみたところ、初めて車検証の紛失に気が付くこともあります。車検証がない!と慌ててしまうと思いますが、実は車検証紛失は不安に思わなくても大丈夫なのです。
車検証は再発行が可能な書類です。車検証を再発行してから廃車にすることもできますし、車検証情報を確認するための「現在登録等証明書」を運輸支局で発行してもらうことで登録内容の確認が出来るため、手続きを進めることも可能になっています。
それぞれのケースによって違う、車検証紛失の時の廃車手続きの方法や廃車にかかる費用などについてご紹介していきましょう。
再発行を代行業者に依頼する方法と料金
車検証を紛失してしまった時の車検証の再発行は、所有者から書類発行の代行業者に依頼することができます。
この場合は必要とする次の書面を渡せば、自分が車検証発行の手続きのために運輸支局に出向く必要はありません。
・再交付の委任状
・再交付の理由書
必要書類は代行を行う業者が用意をしてくれるので、内容を確認して署名・押印をするだけと代行で車検証再交付をしてもらう場合、依頼側の手続きはとっても簡単です。
運輸支局での再交付手数料の300円と業者に支払う代行手数料が別途かかりますが、金額設定は業者ごとに違いますので、依頼前に確認をしておきましょう。
再発行を自分でする方法と料金
車検証を紛失してしまった時、車検証の再交付手続きは、実は決して難しいものではありません。
あまり車のことを知らないという方でも申請は可能ですが、再交付の手続きができるのは運輸支局が受け付けている平日の午前から午後に限られます。
自治体によって作成書面に若干の違いがありますが、車のナンバープレートを管轄している運輸支局で次の書類を提出して、車検証の再交付手続きを進めましょう。
・再交付申請書
・再交付の理由書
・手数料納付書
この場合、車検証の再交付申請する人と車の使用者が異なる場合は、この他に使用者からの委任状が必要です。再交付申請の際には身分証明書の提示を求められますので、運転免許証などの顔写真のついた身分証を忘れずに携帯しましょう。
自分で車検証の再交付手続きをするなら、申請に必要な費用は運輸支局で納める再交付手数料300円のみで済みます。申請したその場で再交付済みの車検証を受け取ることができますが、異動期などは車検場が混み合いかなり待たされることがありますので、時間には余裕を持って手続きに出かけてください。お仕事を休まなくてはいけない方や、時間や日程に余裕がないという方はご自分での申請が負担になり、車検証の再交付が先延ばしになってしまい廃車が遅くなるということもあるため、他の方法を検討されてみることもおすすめします。
現在登録等証明書の発行する方法と料金
車検証を紛失してしまった時に「現在登録等証明書」の発行をしてみることも廃車手続きをスムーズに行う方法の一つです。「現在登録等証明書」とは、その車の現時点の登録内容を確認できる書面のこと。様式は異なりますが車体番号や名義人など、車検証に記載された内容は全て明記されています。自分で取り寄せる場合に運輸支局に提出するのは、次の書面です。
・登録事項等証明書交付申請書
・手数料納付書
申請書自体に交付を受ける理由を記載する欄がありますので、理由書は必要ありません。
車の使用者が異なる場合は委任状が必要になりますし、申請の際には身分証明書の提示を求められますので、忘れずに持参してください。現在登録等証明書の発行にかかる費用は、運輸支局に納める発行手数料300円のみ。
自治体によって作成書面に若干の違いがありますので、事前に管轄する運輸支局に問い合わせ、確認をしておきましょう。
車検証は本来、車に備え付けておくべき書面。車検証紛失に気がついたら早めの手続きをしておくことが大事なのですが、平日に休みを取れず、手続きが延長になって廃車ができないといった人も多いです。平日に融通が利かないなら、車検証紛失してしまった時の車検証の再発行は、代行業者に依頼するのが賢い選択です。手間をかけずにスムーズに車検証の再発行を受けて、廃車手続きを進めていきましょう。
車検証と現住所が異なる場合
車検証に記載の住所は、車の税金徴収のためにも重要な記載事項です。
住まいを移転した時はその都度、現住所の登録内容を変更しないと本来はいけないのですが、この車検証の登録内容変更の手続きを忘れてしまっていてそのままという方も多いようです。
実は、車検証記載の住所と現住所が移転していて違う場合、廃車手続きはすぐに出来ません。車検証登録内容の所有者住所から、現在の印鑑登録証明書の登録住所と同じ現住所に移転しているということを証明する文書が必要になります。特に車検証を紛失していてすぐに登録内容が確認できないという方は気をつけましょう。また、登録内容の住所の移転履歴がわかる証明する書面は、移転回数によって違います。
基本的には住民票で問題ないのですが、何度も住所の移転を繰り返していると記載欄が足りず、車検証記載の住所が記載されないこともあります。車検を受けて車検証の登録を行った後引越しを2回以上繰り返している場合は、本籍地の移動がなく移転のみなら戸籍の附票が必要になる可能性が高くなります。
住民票の交付には300円の手数料がかかります。住民票を取り寄せたが、車検証登録内容の住所が前住所に記載がなかったなど、取り寄せたものの求める住所が記載されていないのではお金の無駄になってしまいます。車の廃車手続きで移転履歴を証明するために住民票を取る場合は、お住いの市町村窓口で廃車をすることや、車検証記載住所を伝えて、必要な書面について確認してから漏れのない証明文書を取得しましょう。
廃車にした車の車検証を再度とる場合
廃車の手続きには、車を完全に解体してしまい車としての再利用をすることがない永久抹消登録と、転勤や入院などで一時的に車を使わないための一時抹消登録の2種類があります。
一時抹消で廃車手続きを行って使用を中止していた車であれば、改めて中古車新規登録を行い、車検に通れば再度利用することができます。では中古車新規登録とはどのような手続きなのか、こちらでご紹介します。
中古車新規登録の際は、一時抹消登録手続きを行った時に交付された「一時抹消登録証明書」が必要となります。この一時抹消登録証明書(登録事項等全部証明書)は再交付が出来ませんので、一時抹消登録手続き後は大切に保管するようにしましょう。次の書面を揃えて運輸支局で中古車新規登録を行います。普通車の手続きの流れとしては、次のとおりです。
お住いを管轄する警察署で、自動車保管場所証明書(=車庫証明)を取得する
自分で車検場に運ぶ場合は仮ナンバーを取得し、自賠責保険に加入する
車検を受ける
運輸支局で中古車新規登録申請書や一時抹消登録証明書、定期点検整備記録簿や自動車検査票、手数料納付書などを提出して、中古車新規登録の手続きをする
車検証の交付を受ける
車にナンバープレートを取り付ける
一旦は廃車をした車、その車で再度車検を受けて車検証を改めて取得するためには、廃車にした際の一時抹消登録証明書が必要不可欠です。一時抹消登録証明書は、車を使用中止した後に譲渡したり、売却する時も必要です。車検証紛失などで、業者に車検証再交付を依頼し、廃車手続きを依頼した場合は忘れずに一時抹消登録証明書を受け取って、きちんと保管しておきましょう。
手続きを業者に任せよう
廃車の手続きをする運輸支局は平日しか申請を受け付けていないので、平日にお仕事をされている方はどうしても廃車の手続きが滞りがちになります。ましてや車検証の紛失や、車検証記載の住所から移転していたなど、書類を揃えるのにもとなると、時間も手間も倍以上にかかってしまいます。
これを防ぎ負担なく車の処分を進めるためにも、廃車の際には業者に代行依頼をするのがおすすめです。
車検証の再発行などの手続きは、廃車を請け負う業者や解体業者、その自動車を購入した販売業者、車検や修理で利用している自動車工場などが代行してくれます。具体的な流れや必要書類は次のとおりです。
- 業者を決める
- 車の引き取り方法を相談する
- 車検証や再交付などにかかわる必要書類とともに、廃車処分に必要な委任状等を渡す
- 業者が廃車の手続きを完了したら、抹消登録証明書を受領する。
必要な書類さえ業者に渡してしまえば、車検証を紛失してしまっていたり、書類準備の時間がなくて不安という方も手続きに出向く必要は一切ありません。その分代行費用がかかってしまいますが、待っているだけできれいに車の処分が完了しますので、ぜひ利用を検討してみてください。
まとめ
いざ廃車にしようと手続きを始めたときに車検証を紛失している、車検証の登録内容に変更があり書類が不足していたため不備があることがわかると、慌ててしまうものです。しかし、車検証の紛失や記載事項の間違いは、致命的なミスではないのです。
車の持ち主として自分で対処することもできますが、廃車業者にまかせれば手間も時間もかからず、スムーズに手続きが進みます。心の負担もなく問題がクリアになりますから、廃車の際は業者もどんどん活用していきましょう。