子どもの免許取得をきっかけに車を買ってあげたい、親に車をプレゼントしたいなど、家族間で車を贈ることがあります。
家族から車をもらったり、車を買うためのお金を出してもらったりすると、贈与税がかかることがあります。
贈与税にはいくつかの計算方法があります。この記事で説明する方法では、1年間にもらった財産の合計額から110万円を差し引いて贈与税を計算します。車だけでなく、同じ年にもらった現金なども合わせて考えます。
ただし、車そのものを贈る場合と、親が所有する車を子どもに使わせる場合とでは考え方が異なります。この記事では、車をプレゼントするときの贈与税の基本や車の価額の考え方、親子間で車を贈るときの名義について解説します。
- 贈与税の基本:家族から車をもらったり、車を買うためのお金を出してもらったりすると、贈与税がかかることがあります。1年間にもらった財産の合計額が110万円を超えるかが一つの目安です。
- 車の価額の考え方:中古車をプレゼントする場合は、購入時の価格ではなく、贈る時点でその車にどのくらいの価値があるかをもとに考えます。
- 親子間で車を贈るときの名義:親名義にしておけば必ず贈与税がかからないわけではありません。誰がお金を出し、誰の車として所有するのかを整理する必要があります。
車をプレゼントすると原則として贈与税の対象になる

個人から財産をもらった場合は、原則として贈与税の対象になります。車も財産の一つなので、家族間で無償で車を贈る場合も贈与税について確認しておく必要があります。
暦年課税では年間の贈与額から110万円を控除して計算する
贈与税の暦年課税では、その年の1月1日から12月31日までに贈与で取得した財産の価額を合計し、そこから基礎控除額110万円を差し引いて税額を計算します。
そのため、「110万円以下の車なら必ず贈与税がかからない」とは限りません。同じ年に車以外の現金や財産も贈与されている場合は、それらも含めて判定します。反対に、その年に受けた贈与の合計額が110万円以下であれば、暦年課税では原則として贈与税はかかりません。
出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
車の贈与額は贈る時点の価額で考える
贈与税を計算するときは、贈与した車の価額を確認する必要があります。すでに使用している中古車を贈る場合、購入したときの新車価格をそのまま贈与額とするのではなく、贈与した時点での価額を基に考えます。
国税庁の財産評価基本通達では、一般動産の価額について、原則として売買実例価額や専門家による評価などを参考にするとしています。こうした価額が明らかでない場合は、同種・同規格の新品の小売価額から、使用期間に応じた減価を差し引いて評価します。
中古車の価額は車種や年式、走行距離、車両状態などによって変わるため、贈与税上の評価に迷う場合は税務署や税理士へ確認するとよいでしょう。
出典:国税庁「財産評価基本通達 第6章 動産 第1節 一般動産」
車を贈与した場合の贈与税はいくら?
例えば、その年にほかの贈与を受けておらず、贈与時点の価額が300万円の車をもらった場合を考えてみましょう。暦年課税の基礎控除後の課税価格は、次のようになります。
300万円-110万円=190万円
基礎控除後の課税価格が190万円の場合、税率は10%なので、贈与税額は19万円です。
贈与税の税率には「一般税率」と「特例税率」があります。特例税率は、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の人が、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に適用されます。それ以外の贈与には原則として一般税率を使用します。
贈与額が大きくなると一般税率と特例税率で税額が異なるため、誰から誰へ贈るのかも確認しておきましょう。
親子間で車をプレゼントするときの贈与税と名義

親子間で車を用意する方法には、車そのものを贈る、購入資金を渡す、親が所有する車を子どもに使わせるなど、いくつかの形があります。
「親子だから贈与税はかからない」「車検証を親名義にしておけばよい」と判断するのではなく、誰が車や購入資金を取得したのかを整理することが大切です。
親が子どもに車や購入資金を贈る場合
親が所有している車を子どもへ無償で譲り、子どもがその車を取得する場合は、車の贈与として考えます。
また、親が子どもへ現金を渡し、そのお金で子どもが自分の車を購入する場合は、購入資金の贈与です。国税庁のQ&Aでも、父から受け取った「車の購入資金」を贈与として扱う例が示されています(出典:国税庁「No.4503 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」)。
暦年課税を適用する場合は、車そのものをもらった場合も購入資金をもらった場合も、その年に受けたほかの贈与と合わせて基礎控除額110万円を超えるか確認します。
子どもが親に車をプレゼントする場合
子どもから親へ車を無償で贈る場合も、親が車という財産を取得するため、原則として贈与税の対象です。
暦年課税であれば、親がその年に受けた贈与の合計額から基礎控除額110万円を差し引いて計算します。ただし、父母や祖父母などの直系尊属から18歳以上の子や孫へ贈る場合に使われる特例税率は、子から親への贈与には適用されません。一般税率を使用して税額を計算します。
生活に必要な車なら必ず贈与税がかからないわけではない
夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から、生活費や教育費として取得した財産のうち、通常必要と認められるものには贈与税がかかりません。
ただし、国税庁は「通常必要と認められるもの」について、贈与を受ける人の需要や贈る人の資力など、さまざまな事情を考慮して社会通念上適当と認められる範囲としています。また、生活費として非課税になるのは、必要な都度、その費用に直接充てるために取得したものです。
そのため、「通勤や通学に車が必要だから、車や購入資金の贈与は必ず非課税になる」と一律に判断することはできません。生活費として非課税になるか判断が難しい場合は、贈与する前に税務署や税理士へ確認しましょう。
親が所有する車を子どもが使う場合は贈与と区別して考える
親が自分の車として所有し、その車を子どもに使わせる場合と、親が車を購入して実質的に子どもへ与える場合は分けて考える必要があります。
車検証の名義だけを親にしておけば、贈与税を避けられるわけではありません。誰が購入代金を負担し、誰の財産として所有・管理しているのかなど、実態を踏まえて判断する必要があります(出典:国税庁「名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて」)。
親が所有する車を子どもが運転する場合は、税金だけでなく自動車保険の契約内容も確認しておきましょう。主に運転する人や運転者の範囲によって補償内容に影響することがあるため、契約している保険会社へ確認すると安心です。
車をプレゼントして所有者が変わる場合は名義変更が必要
車を相手へプレゼントし、実際に所有者が変わる場合は、贈与税とは別に車の名義変更手続きが必要です。
登録自動車は、所有者の名義が変わった場合に移転登録を行います。国土交通省は、所有者が変わった場合は移転登録の手続きを行います(出典:国土交通省「引越をした時、名義変更した時の手続について(自動車登録等適正化)」)。
軽自動車についても、売買や譲渡によって所有者などが変わる場合は名義変更の手続きが必要です(出典:軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」)。
名義変更に必要な書類や手続きの流れは、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
家族間で車をプレゼントする場合でも、車や購入資金をもらった人に贈与税がかかることがあります。暦年課税では、その年にもらった財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いて税額を計算します。
また、中古車を贈る場合は購入時の価格ではなく、贈る時点での車の価額をもとに考えます。親子間で車をやり取りする場合も、名義だけで判断せず、誰がお金を負担し、誰の車として所有するのかを整理することが大切です。
実際に車の所有者が変わる場合は、贈与税とは別に名義変更の手続きも必要です。贈与税がかかるか判断しにくい場合は、車を贈る前に税務署や税理士へ確認しておきましょう。





