車の冷却性能が上がり、オーバーヒートは減ってきています。ただし、夏の暑い時期はどうしても起きやすいオーバーヒート。
オーバーヒートが発生することで、突然トラブルに見舞われるとパニックになってしまう方も少なくありません。なぜ車はオーバーヒートするのでしょうか。
こちらでは、オーバーヒートの原因とは何か、オーバーヒートになった時の対処方法について解説します。
また、オーバーヒートになった時にかかる部品ごとの修理費用についても、合わせてご紹介します。
オーバーヒートとはどんな状態?オーバーヒートの確認方法
オーバーヒートとは、車のエンジンが正常値以上に熱くなりすぎている状態異常トラブルのことです。
車のエンジン周りの温度は、通常は搭載する冷却システムによって温度が高くならないように抑えられています。
しかし、エンジン付近の部品故障や日々のメンテナンス不足により、冷却が上手くできなかった時は、エンジンが熱くなりすぎてオーバーヒートすることがあるのです。
オーバーヒートかどうか確認する方法
オーバーヒートは車のエンジンが異常に熱い状態と説明しましたが、実際エンジンを見ただけでは温度が高すぎるのかどうかはわかりません。
そのため、車のメーターパネルで水温表示計を見て、エンジンのオーバーヒートが起きているかどうか、またはオーバーヒート気味かどうか判断します。
一般的に水温計はHとCマークで示されることが多く、水温はHに針が傾くほど水温が上昇していることを示します
温度で示されていた場合は、70~95℃あたりが適温です。
Hを振り切ってランプが点灯している、もしくは温度が95℃を超えていたら、危険なオーバーヒートの状態といえます。ただちに処置する必要があるでしょう。
オーバーヒートの症状とは?3段階で解説
車のエンジンがオーバーヒートになると、どのような症状が起こるのでしょうか。
こちらでは、車のオーバーヒートが起こった時の症状を、初期症状、中期症状、末期症状の3段階に分けて解説します。
オーバーヒートの初期症状
オーバーヒートが起こると、水温計以外のところでも異常が見られることがあります。初期段階での症状は以下のようなものです。
- 水温計がH付近になる
- いつもよりスピードが上がらない感覚がある
- エンジンの回転が安定しない
- アクセルを踏むと異音がする
- エンジンルームから甘い匂いがする(冷却水漏れ)
オーバーヒート初期段階では、車の運転に少し違和感を覚えることがあります。何かいつもと違うと感じたら、一度水温計を確認してみるとよいでしょう。
この段階で水温の異常に気づき、オーバーヒートを防げれば車への大ダメージを防ぐことができます。
オーバーヒートの中期症状
- 水温計がHを超える
- アイドリングできない、アクセルを踏まないと止まる
- エンジンルームから水蒸気が発生する
いよいよ水温計がHを超え、ランプが点滅し始めたら中期症状の段階です。初期段階と比べて、症状が顕著になってきます。初期症状で気づかなかったら、この段階で何らかの対処を取るべきです。
オーバーヒートの末期症状
- 焼け焦げた匂いがする
- 水温計がCになる(冷却水不足)
- エンジンから異音がする
- エンジンがかからない
- ボンネットから発煙する
末期段階になると、オーバーヒートの原因となった部品の故障にとどまらず、エンジンの焼きつきにより、エンジンまで故障することがあります。高額な修理代の原因になりかねないので、ここまで放置するのはよくありません。
オーバーヒートの初期症状、または中期症状の段階で起こる内容を事前に知っておくことで、早期に気づいて適切な対処ができるようにしておきましょう。
オーバーヒートが起きたときの対処方法は
オーバーヒートが起きたとき、どのように対処するのが適切なのでしょうか。オーバーヒートが発生したときの対処方法を順に説明します。
安全な場所に停車する
何よりも大切なのが、車を速やかに停車させることです。オーバーヒートを起こしたまま走行を続けると、車へのダメージが蓄積してしまいますし、突然の停車で交通事故などの原因になりかねません。場合によっては、無理に動かしたせいでエンジンが壊れてしまうこともあります。
車を止められる広い場所、近くにない場合は他の車の走行の邪魔にならないよう道路の脇に止めて、車を停車させましょう。もし付近に日陰となっている場所があれば、日陰を選んで停車させると良いでしょう。
アイドリング状態で水温を確認する
水温計がHを振り切っていないときは、冷却システムが完全にダウンしていない可能性があります。エンジンを作動させ、アイドリング状態にして水温が下がるか確認しましょう。水温が下がらないときはエンジンを完全に切ります。
アイドリング状態で水温が下がった場合は、その後走行することも可能です。ただし、Hに近い状態は一時的に改善しても異常な状態なので、できるだけすぐに整備工場などで確認してもらうようにしましょう。
ボンネットを開けて冷やす
オーバーヒートはエンジンが過度に熱くなった状態なので、エンジンをできるだけ冷やすことが大切です。ボンネットを開けてエンジンルームの風通しをよくし、外風でエンジンを冷却させましょう。
ただし、停車直後はエンジンが高温になっています。特に水蒸気や煙が出ている状態になると、かなり熱くなっていることが予想されるので、ヤケドしないよう気をつけましょう。
ラジエーター等を確認する
可能であれば、エンジンルームにあるラジエーター(冷却装置)から液が吹き出していないか、冷却水は空になっていないか確認します。単に冷却水不足が原因であれば、冷却水を入れることで解決することもゼロではありません。
ただし停車直後の温度が高い状態で冷却水を入れようとしてキャップを開けると、熱い蒸気が吹き出したり、オーバーヒートの症状が悪化したりすることもあります。難しい場合は手をつけないことをおすすめします。
専門業者を呼ぶ
ロードサービスや、自動車保険のロードサービスに連絡します。安全を確保しつつ、症状がひどくならないうちに対処したいなら、専門業者に依頼するのが適切です。
オーバーヒートの対処法には、エンジンをかけたまま冷却する方法などもありますが、方法を誤るとエンジンなどにダメージを与えてしまいます。自身での対処が難しいと感じたら、下手に触らず専門業者の力を借りるのがいいでしょう。
オーバーヒートが起こる原因とは
なぜ車のエンジンにオーバーヒートが起こるのでしょうか。オーバーヒートの原因について詳しく解説します。
冷却システムの不調
オーバーヒートの原因としてよく見られるのが、冷却システムの不調です。冷却システムといっても、さまざまな部品から組み合わさっているので、1つ1つ原因を確かめる必要があります。冷却システムが原因のオーバーヒートの修理を順に説明します。
冷却水(クーラント)が原因のオーバーヒート
メンテナンス不足で単に冷却水が不足しているときは補充するだけで済みますが、ラジエーターホースやウォーターポンプの故障などの装置が原因で冷却水が不足しているケースも少なくありません。故障箇所の処置が必要です。
特に夏場は気温が高く冷却水の蒸発が起きやすいので注意しましょう。また緊急処置として水道水を入れることもありますが、凍結やサビの原因になるためおすすめしません。
サーモスタット
サーモスタットは、冷却水の温度を適温に維持する装置です。しかし、劣化するとバルブの開閉がうまくいかずに温度を上昇させてしまいます。新品でも1万円程度なので交換するのが一般的です。
ラジエーター
ラジエーターはエンジン冷却のための装置。本体だけでなく、キャップの劣化やホースの破損もオーバーヒートの原因です。
装置に不具合がなくても、雪やビニールが装置をふさいだことがオーバーヒートの原因になることもあります。ラジエーターをふさぐようなものがないか、ボンネットを開けたときに確認しておくとよいでしょう。
ウォーターポンプ
ウォーターポンプは、冷却水循環のためのポンプです。サビや劣化により不具合があらわれることがあります。ウォーターポンプの交換は、ファンベルトの取り外しなど、大掛かりな作業をともないます。
冷却用電動ファン
ラジエーターが効果的に作動しにくい渋滞や長時間の低速走行に活躍する冷却装置です。ファンの故障はアイドリング中にオーバーヒートでエンジンが停止する原因の1つ。基本的には交換で対応します。
このほかにも、冷却系で使われるベアリングの劣化やフィンの破損が原因であることもあります。
冷却システム以外にもあるオーバーヒートの原因とは
オーバーヒートの原因が冷却システム以外であった場合、考えられることが潤滑システムの故障です。
エンジンの回転にはエンジンオイル(潤滑油)が欠かせません。しかし、エンジンオイルの劣化が進むと摩擦や焼きつきの増加、サビが発生するなどにより、エンジンの冷却にまで異常を及ぼすことがあるのです。定期的なエンジンオイルの交換が大切です。
また、頻度としては高くないですが、水温計などコンピューターやセンサーの不具合が原因のこともあります。このように、オーバーヒートの原因は多岐にわたるので、自分で原因を探るのは困難です。
オーバーヒートした車の修理費用は
ご紹介したようにオーバーヒートにはさまざまな原因があります。もしも車がオーバーヒートになってしまった場合、オーバーヒートの原因となった部分を修理するには、いくら位の費用がかかるのでしょうか。
オーバーヒートした時の車の修理費用目安
車がオーバーヒートになった時、原因の部分を修理もしくは部品交換するのにかかる修理費用について、目安となる修理費用相場をご紹介します。
オーバーヒートの修理費用一覧表
オーバーヒートになった原因の修理・交換箇所 | 修理費用の目安 |
冷却水の補充 | 1~3千円 |
ラジエーターの交換 | 2~8万円 |
ラジエーターホースの交換 | 1~2万円 |
ラジエーター部品の交換 | 2~5万円 |
ウォーターポンプの交換 | 6~7万円 |
サーモスタットの交換 | 6千~1.5万円 |
冷却用電動ファンの交換 | 2~10万円 |
エンジンオイルの交換 | 1~4千円 |
エンジンオイルや冷却水の交換・補充のように数千円の修理費で済むこともありますが、部品交換は1万円超えが当たり前です。エンジン焼きつきなどダメージが大きいときは、エンジンの載せ替えによる修理で20万円以上かかることもあります。
また、オーバーヒートの修理だけで何年も問題なく走行できればよいですが、部品の経年劣化によって再びオーバーヒートが起こることもあります。たとえば、ウォーターポンプは10年、または10万kmが交換の目安なので、交換時期あたりになったら注意が必要です。
このように、1つを直してもまた次が故障するなど、年式が古い車ほど劣化による故障のリスクは大きくなります。故障が多く修理代がかさむ場合は、買い替えを検討するべきでしょう。
しかし、いざ買い替えようとしても、ほとんど価値がなくお金にならないこともあります。買取額を考えると廃車してしまうのも1つの手段です。
車がオーバーヒートした時によくある質問まとめ
車がオーバーヒートした時の原因や対処方法に関して、よくいただくご質問にお答えしています!
Q.オーバーヒートはどんな症状が起こる?
A.車がオーバーヒートになっている状態とは、車のエンジンの温度が正常値を超えてしまい、熱くなりすぎることをいいます。エンジンの温度が上昇した時に、故障や定期的なメンテナンスが出来ていない場合、冷却システムが働かず温度の上昇を抑えられなくなってしまうのです。エンジン回りの温度は水温計で表示されます。水温計のH~CのマークでH側に針が傾き、H側に振り切っていてチェックランプが点灯していたら、危険なオーバーヒート状態となっているため処置が必要です。
Q.車がオーバーヒートになった時の対処方法はどうする?
A.車がオーバーヒート状態になってしまった時の対処方法として、まず安全な場所に停車することです。オーバーヒートのまま走行を続けると、突然エンジンが停止する可能性もあり危険です。また、無理やり動かしたために部品の故障の原因になることもあります。車を広いところや路肩に寄せたら、アイドリング状態で水温を確認してみます。アイドリングしていて水温計が下がれば問題ない可能性もあります。アイドリング状態でも水温が下がらない場合はエンジンを切ります。エンジンを冷やすためにボンネットを開けたり、ラジエーターを確認して冷却水を入れることも可能です。ただし、操作方法を誤るとエンジンに負担がかかり故障させてしまうこともあるため、ロードサービスや保険会社などに救援を頼むことをおすすめします。
Q.オーバーヒートの原因は何?どこを修理すればいい?
A.基本的にオーバーヒートはエンジンが熱くなりすぎることによって起こるため、冷却システムが故障していたり、不調になっているかもしれません。
Q.オーバーヒートした車は直すべき?
A.オーバーヒートしてしまった車の年式や走行距離次第では、修理費用が車の売却金額を上回ってしまい、修理をしてから売ることにした場合損をすることもあります。不動車や故障車であっても買取をつけることが出来る業者はありますので、オーバーヒートした後修理して乗るのではなく、売却して乗り換えた方がお得な場合もあります。
まとめ
オーバーヒートの修理代は、原因にもよりますが高額になることも少なくありません。エンジンの焼きつきがあると20万円以上かかることもあります。そのまま乗り続けるのではなく、買い替えや廃車も考えた方がお得になる可能性も高いです。車の下取りに納得いかず、車を廃車したいなら買取保証のあるカーネクストへご相談ください。