車オーバーヒートとは、エンジンで発生する熱に対して冷却が追いつかず、エンジンや冷却水の温度が異常に高くなった状態です。
水温計がH側に近づく、赤色の水温警告灯が点灯・点滅する、エンジンルームから蒸気が出るなどの症状によって気づくことがあります。そのまま走行を続けると、エンジンに深刻なダメージを与えるおそれがあるため注意が必要です。
この記事では、車がオーバーヒートしたときに現れる症状や対処法、主な原因、修理費用について解説します。
オーバーヒートとはどんな状態?オーバーヒートの確認方法
オーバーヒートとは、エンジンで発生する熱が車の冷却性能を上回り、エンジンや冷却水の温度が異常に高くなった状態です。
車のエンジンは、冷却水をエンジン内部とラジエーターの間で循環させ、発生した熱を外へ逃がしています。しかし、冷却水の不足や漏れ、ラジエーター、ウォーターポンプ、冷却ファンなどの不具合によって冷却性能が低下すると、オーバーヒートが起こることがあります。
オーバーヒートした状態で走行を続けると、エンジン内部の部品が変形・損傷し、高額な修理やエンジン交換が必要になる可能性があります。
オーバーヒートかどうか確認する方法
オーバーヒートは、エンジンを外から見ただけでは判断できません。主に、メーターパネルの表示や車に現れる症状から確認します。
オーバーヒートが疑われる主な表示・症状は次のとおりです。
・水温計の針がH側やレッドゾーンに近づいている
・赤色の水温警告灯が点灯・点滅している
・「エンジン冷却水高温」などの警告メッセージが表示されている
・エンジンルームから蒸気が出ている
・エンジンの出力が低下している
・異音や異臭が発生している
水温計の表示や警告方法は車種によって異なります。また、危険と判断される具体的な温度も車種によって異なるため、一律に「何度を超えたらオーバーヒート」と判断することはできません。
異常を示す警告灯やメッセージが表示された場合は、車の取扱説明書を確認し、指定された手順に従ってください。
オーバーヒートの症状とは?3段階で解説
オーバーヒートが起こったときの症状を、初期・中期・末期の3段階に分けて紹介します。
ただし、症状の現れ方や順番は、故障箇所や車種、走行状況によって異なります。必ずしも次の順番ですべての症状が現れるとは限りません。
オーバーヒートの初期症状
オーバーヒートの初期には、次のような症状が現れることがあります。
・水温計の針が通常よりH側に近づく
・赤色の水温警告灯が点灯・点滅する
・いつもより加速しにくい
・エンジンの回転が安定しない
・アクセルを踏んだときに異音がする
・冷却水漏れに伴う特有のにおいがする
初期段階で異常に気づいた場合は、そのまま走行を続けないでください。早い段階で停車して点検を受けることで、エンジンへの大きなダメージを防げる可能性があります。
オーバーヒートの中期症状
オーバーヒートが進行すると、次のような症状が現れることがあります。
・水温計がH側やレッドゾーンに達する
・高水温を知らせる警告メッセージが表示される
・エンジンルームから蒸気が出る
・エンジンの出力が大きく低下する
・アイドリングが不安定になる
・異音や異臭が強くなる
この状態で走行を続けると、エンジンの損傷が進むおそれがあります。安全な場所に停車し、車種ごとの取扱説明書に従って対処してください。
オーバーヒートの末期症状
オーバーヒートがさらに進行すると、次のような重大な症状が起こる可能性があります。
・エンジンが停止する
・エンジンを再始動できない
・エンジンから大きな異音がする
・焼け焦げたようなにおいがする
・エンジンルームから煙が出る
この段階では、シリンダーヘッドやガスケット、エンジン本体などが損傷している可能性があります。無理に再始動せず、ロードサービスを利用して整備工場へ搬送してもらいましょう。
オーバーヒートが起きたときの対処方法は

オーバーヒートが疑われる場合は、そのまま走行を続けないことが重要です。
ただし、停車後にエンジンを停止するタイミングや、ボンネットを開ける条件は、車種や症状によって異なります。車の取扱説明書に記載された手順を優先し、判断できない場合はロードサービスへ連絡してください。
安全な場所に停車する
走行中にオーバーヒートが疑われる症状が現れたら、周囲の安全を確認しながら速度を落とし、安全な場所へ停車します。
急ブレーキや急な進路変更は避け、必要に応じてハザードランプを点灯してください。
高速道路上では、可能な限り速やかに、十分な幅のある路肩や非常駐車帯などへ寄せて停車します。停車後は車内にとどまらず、同乗者とともにガードレールの外側など安全な場所へ避難してください。
車種ごとの手順に従ってエンジンを停止・冷却する
停車後のエンジン停止や冷却の手順は、車種や症状によって異なります。
赤色の水温警告灯が点灯・点滅している場合は、エンジンを停止して自然冷却し、原因が分かるまでは再始動しないよう案内されることがあります。
一方、HondaのN-BOXなど一部の車種では、蒸気や冷却水漏れがなく、冷却ファンが正常に動いている場合に限り、エンジンをかけたまま冷却するよう指定されています。
次のような場合は、すぐにエンジンを停止してください。
・エンジンルームから蒸気が出ている
・冷却水が漏れている
・冷却ファンが動いていない
・エンジンから異音がする
・車種ごとの対処方法を確認できない
具体的な手順は車の取扱説明書を優先し、判断に迷う場合はエンジンを停止してロードサービスへ連絡しましょう。
蒸気や冷却水漏れを安全な位置から確認する
停車後は、エンジンルームから蒸気が出ていないか、車の下に冷却水が漏れていないかを安全な位置から確認します。
蒸気が出ている場合は、蒸気が出なくなるまでボンネットを開けないでください。高温の蒸気や熱湯によって、やけどなどの重大なけがをするおそれがあります。
蒸気が出ていない場合でも、エンジンルーム内は非常に高温になっている可能性があります。車の取扱説明書に従い、エンジンが十分に冷えるまでは部品に触れないでください。
ラジエーターキャップや冷却水にはすぐ触れない
エンジンが熱い状態でラジエーターキャップを開けてはいけません。
冷却系統の内部には圧力がかかっているため、キャップを開けると高温の冷却水や蒸気が噴き出す危険があります。ラジエーターやエンジンが十分に冷えるまで待ってください。
冷却水が不足していても、補充すれば必ず走行を再開できるとは限りません。冷却水漏れや冷却系統の故障が原因の場合は、補充しても再びオーバーヒートする可能性があります。
冷却水の確認や補充を行う場合は、車の取扱説明書に記載された手順に従いましょう。
ロードサービスへ連絡する
次のような状況では、自己判断で走行を再開せず、ロードサービスや整備工場へ連絡してください。
・水温警告灯や警告メッセージが消えない
・エンジンルームから蒸気が出ている
・冷却水が漏れている
・異音や出力低下が起きている
・オーバーヒートの原因が分からない
・走行を再開できるか判断できない
警告表示が消えた場合でも、オーバーヒートの原因が解消したとは限りません。整備工場で点検を受けるまでは、安易に走行を再開しないほうが安全です。
水温警告灯の色ごとの意味や、点灯・点滅したときの詳しい対処法は、関連記事で解説しています。
オーバーヒートが起こる原因とは
なぜ車のエンジンにオーバーヒートが起こるのでしょうか。オーバーヒートの原因について詳しく解説します。
冷却システムの不調
オーバーヒートの原因としてよく見られるのが、冷却システムの不調です。冷却システムといっても、さまざまな部品から組み合わさっているので、1つ1つ原因を確かめる必要があります。冷却システムが原因のオーバーヒートの修理を順に説明します。
冷却水(クーラント)が原因のオーバーヒート
冷却水が不足すると、エンジンから十分に熱を奪えなくなり、オーバーヒートにつながることがあります。
冷却水が減っている場合は、単なる補充不足だけでなく、ラジエーターホースやラジエーター、ウォーターポンプなどから漏れている可能性があります。冷却水を補充しても短期間で再び減る場合は、冷却系統の点検・修理が必要です。
冷却水は、車種ごとに指定された種類や濃度のものを使用します。緊急時に水を補給できるかどうかも車種によって異なるため、取扱説明書を確認してください。
サーモスタット
サーモスタットは、冷却水の温度に応じて流れを調整する部品です。
サーモスタットが閉じたまま故障すると、熱くなった冷却水がラジエーターへ流れにくくなり、オーバーヒートにつながる可能性があります。反対に、開いたまま故障すると、水温が上がりにくくなることがあります。
修理費用は車種や部品の位置、周辺部品の脱着作業によって異なるため、部品価格だけで判断せず、整備工場で見積もりを取りましょう。
ラジエーター
ラジエーターは、エンジンから熱を受け取った冷却水を冷やすための部品です。
ラジエーター本体の損傷や内部の詰まり、ラジエーターキャップやホースの劣化などによって冷却性能が低下すると、オーバーヒートにつながることがあります。
また、ラジエーターの前面が異物などでふさがれると、走行風が通りにくくなり、冷却性能が低下する可能性があります。高温時に自分でエンジンルームを点検するのは危険なため、異常が疑われる場合は整備工場へ点検を依頼してください。
ウォーターポンプ
ウォーターポンプは、冷却水循環のためのポンプです。サビや劣化により不具合があらわれることがあります。ウォーターポンプの交換は、ファンベルトの取り外しなど、大掛かりな作業をともないます。
冷却用電動ファン
ラジエーターが効果的に作動しにくい渋滞や長時間の低速走行に活躍する冷却装置です。ファンの故障はアイドリング中にオーバーヒートでエンジンが停止する原因の1つ。基本的には交換で対応します。
このほかにも、冷却系で使われるベアリングの劣化やフィンの破損が原因であることもあります。
冷却システム以外にもあるオーバーヒートの原因とは
オーバーヒートの原因が冷却システム以外であった場合、考えられることが潤滑システムの故障です。
エンジンの回転にはエンジンオイル(潤滑油)が欠かせません。しかし、エンジンオイルの劣化が進むと摩擦や焼きつきの増加、サビが発生するなどにより、エンジンの冷却にまで異常を及ぼすことがあるのです。定期的なエンジンオイルの交換が大切です。
また、水温センサーや配線の異常により、実際の冷却水温とは異なる情報がメーターに表示される場合があります。運転者がセンサー異常とオーバーヒートを見分けるのは難しいため、異常な警告が表示された場合は走行を中止し、点検を依頼してください。

オーバーヒートした車の修理費用は
ご紹介したようにオーバーヒートにはさまざまな原因があります。もしも車がオーバーヒートになってしまった場合、オーバーヒートの原因となった部分を修理するには、いくら位の費用がかかるのでしょうか。
オーバーヒートした時の車の修理費用目安
車がオーバーヒートになった時、原因の部分を修理もしくは部品交換するのにかかる修理費用について、目安となる修理費用相場をご紹介します。
オーバーヒートの修理費用一覧表
| オーバーヒートになった原因の修理・交換箇所 | 修理費用の目安 |
| 冷却水の補充 | 1~3千円 |
| ラジエーターの交換 | 2~8万円 |
| ラジエーターホースの交換 | 1~2万円 |
| ラジエーター部品の交換 | 2~5万円 |
| ウォーターポンプの交換 | 6~7万円 |
| サーモスタットの交換 | 6千~1.5万円 |
| 冷却用電動ファンの交換 | 2~10万円 |
| エンジンオイルの交換 | 1~4千円 |
エンジンオイルや冷却水の交換・補充のように数千円の修理費で済むこともありますが、部品交換は1万円超えが当たり前です。エンジン焼きつきなどダメージが大きいときは、エンジンの載せ替えによる修理で20万円以上かかることもあります。
また、オーバーヒートの原因となった部品を修理しても、ほかの冷却系統の部品が経年劣化している場合は、別の不具合が発生する可能性があります。
部品の交換時期は車種や使用状況、メーカーの指定によって異なります。特定の年数や走行距離だけで判断せず、車の取扱説明書や点検結果を参考にしてください。
年式が古く、複数の部品に不具合が見つかった場合は、今後発生する修理費用も踏まえ、修理を続けるか買い替えるかを検討しましょう。
車がオーバーヒートした時によくある質問まとめ
車がオーバーヒートした時の原因や対処方法に関して、よくいただくご質問にお答えしています!
Q.オーバーヒートはどんな症状が起こる?
A.オーバーヒートが起きると、水温計がH側へ近づく、赤色の水温警告灯が点灯・点滅する、エンジンルームから蒸気が出る、エンジンの出力が低下するなどの症状が現れることがあります。
症状の現れ方は車種や故障箇所によって異なります。異常を示す警告灯やメッセージが表示された場合は、そのまま走行を続けず、安全な場所へ停車してください。
Q.車がオーバーヒートになった時の対処方法はどうする?
A.そのまま走行を続けず、周囲の安全を確認しながら安全な場所へ停車してください。
停車後にエンジンを停止するタイミングや、ボンネットを開ける条件は車種や症状によって異なります。車の取扱説明書に記載された手順を優先し、蒸気や冷却水漏れ、異音などがある場合や、自分で判断できない場合はロードサービスへ連絡しましょう。
エンジンが熱い状態でラジエーターキャップを開けたり、冷却水を補充しただけで走行を再開したりするのは危険です。
Q.オーバーヒートの原因は何?どこを修理すればいい?
A.基本的にオーバーヒートはエンジンが熱くなりすぎることによって起こるため、冷却システムが故障していたり、不調になっているかもしれません。
Q.オーバーヒートした車は直すべき?
A.オーバーヒートしてしまった車の年式や走行距離次第では、修理費用が車の売却金額を上回ってしまい、修理をしてから売ることにした場合損をすることもあります。不動車や故障車であっても買取をつけることが出来る業者はありますので、オーバーヒートした後修理して乗るのではなく、売却して乗り換えた方がお得な場合もあります。
まとめ
オーバーヒートの修理代は、原因にもよりますが高額になることも少なくありません。エンジンの焼きつきがあると20万円以上かかることもあります。そのまま乗り続けるのではなく、買い替えや廃車も考えた方がお得になる可能性も高いです。車の下取りに納得がいかず、車を廃車したいなら買取保証のあるカーネクストへご相談ください。







